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テーマJリーグ“ラストワン”終幕。そして今、来季に向けて思うこと

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歩く蹴球事典・後藤健生

2014 12/10  12:42

G大阪大逆転優勝にまたも見えた「逃げ切れぬ日本人」という弱み

12月6日、2014年のJ1リーグは最後の一戦を終え、ガンバ大阪の優勝、大宮アルディージャの降格という結末をもって閉幕した。今週のJ論ではそんなJ1リーグを振り返りつつ、現状のJリーグをあらためて見つめ直す。来季からは2ステージ制が採用され、短期決戦の要素を強めるJ1リーグ。それだけに1シーズン制のラストイヤーで見えてきたものはあるはずだ。続いては大ベテラン・後藤健生が、今年あらためて見えた「日本の弱点」を指摘する。

▼これは浦和の問題にあらず
 優勝を逃した直後の記者会見。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は最後の頃になって本音を漏らし始めていた。

 ヨーロッパのリーグとの比較について聞かれ、「ヨーロッパだったら、勝ち点5も離していれば、守り切ることができるはず。『レッドカードをもらってでも守って来い』と言いたいところだが、ここは日本だから......」と、愚痴とも言える趣旨の発言が飛び出した。

 第31節を終えた時点でガンバ大阪に勝点5の大差を付けていた浦和レッズが、その直接対決の終盤に2失点して敗れてしまい、さらにサガン鳥栖戦でも後半の追加タイムに追いつかれて首位の座から転落。そして、最終戦では首位に立ったG大阪が最下位の徳島ヴォルティス相手にまさかのゴールレスドローという大失態を犯した。

 つまり、浦和は名古屋グランパスに勝ちさえすれば、再逆転で優勝が転がり込んでくるところだったのだ。そして、実際、浦和はリードして後半を迎えていた。後は、このリードを守り切ればよかったのだ。ところが、そのリードを守り切れずに逆転負けを喫し、浦和は2位に終わった。

 しかし、これは何も浦和レッズに、あるいはペトロヴィッチ監督に限ったことではない。日本のサッカー全体の問題ということになる。

▼20年前から変わらぬ日本の課題
 最終節を前にG大阪は勝ち点で浦和に並んでいたものの、得失点差では大きくリード。つまり、徳島相手にとにかく勝ちさえすれば優勝は確実だったのだ。だが、それなのに、結局勝ちきることはできず、優勝の行方は他力本願となってしまった。浦和が負けたから良かったものの、優勝を逃していたらG大阪は批判にさらされていたはずだ。

 さらに、こちらも優勝の目はあったはずの鹿島アントラーズもサガン鳥栖に敗れてしまう。G大阪が引き分けに終わり、浦和も敗れるという千載一遇のチャンスだったのに、である。つまり、優勝の可能性を残していた上位3チームのいずれも勝利できなかったのだ。

「これがサッカーだ」

 やはり、ペトロヴィッチ監督はこの言葉を口にした。そう、サッカーは番狂わせの多い予想不可能のスポーツだ。大逆転劇はサッカーの醍醐味である(ラグビーでは絶対にありえないことだ)。

 Jリーグはきわめて"民主的なリーグ"である。スペインだったらレアル・マドリードとバルセロナがタイトルを独占する。今季のプレミアリーグはどうやらチェルシーの独走になりそうだ。そして、ブンデスリーガではバイエルン・ミュンヘンの牙城を崩すチームが現われるとは思えない。

 毎年のように最終節まで勝負がもつれるJリーグは、世界の中でも珍しい面白いリーグということになる。

 しかし、こうも毎年のように、終盤のどんでん返しを見せられ続けると何か釈然としないものを感じるのは僕だけではないはずだ。

 どうして、すんなり勝ちきれないのだろう?

 要するに、首位に立ったチームが委縮してしまって自滅する。その繰り返しで首位が入れ替わり続け、たまたま34節目にトップにいたチームが優勝する。それがJリーグなのだ。

 メンタル的に弱すぎる。聞くところによると、浦和のある選手が「同点となったところでベンチからG大阪の試合の途中経過を聞かされ、それで慌ててしまった」と語ったそうである。ベンチとしては、「もう1点取れば優勝だ」と激励の意味で情報を流したはずなのに、逆効果だったということになる。

 まるで高校生である。とても、プロ選手が言う言葉とは思えない。

 ペトロヴィッチ監督は、会見でこんなことも言った。

「リードした後、レッズの選手は怖がってしまった」

 この言葉、僕は随分昔に聞いたことがある。Jリーグの初期の頃にサンフレッチェ広島やヴィッセル神戸で監督を務めたスコットランド人のスチュアート・バクスターという監督が、よく言っていた言葉だ。

「うちの選手は、リードすると普通にプレーできなくなってしまうんだ」

 Jリーグが発足して、もう20年以上が経過した。選手の技術は格段に進歩し、今ではヨーロッパのクラブで活躍する選手がいくらでもいる。戦術のレベルも、20年前とは比べものにならないほど進歩した。試合は、本当に面白くなった。

 だが、「リードするとおかしくなってしまう」メンタルの弱さだけは、20年前とまったく変わっていないようなのである。

 なんとか、早く解決しないといけない......。

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続けており、74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授。

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納得(11票)

代表にも言えますね(IP:1.75.208.8)

このメンタル的な課題を克服するには、どうすればいいんでしょうか?
リーグが最後までもつれるのは、どのクラブも上位に立つと、そこから途端に勝ちきれなくなるからですからね。
それじゃ国際舞台でも大事なところで勝てませんよね。

2014年12月10日 13:29

匿名(IP:182.249.244.16)

2-0は危険なスコアっていうのも、メンタルなんだろうか?

2014年12月10日 15:24

匿名(IP:49.96.243.47)

ホームでいつもより客が入ってる時とかもそうだし、プレッシャーを上手く力に変えられる選手、チームが少ないのかなというのはいつも感じる。

2014年12月10日 15:42

名無し(IP:126.237.114.223)

納得というか、実際に自分もサッカーを30年近く続けてきていますが、いつもリードした時に感じる不安はあります。プロと比較することではないのでしょうが、あの感覚は何なのかな?

2014年12月10日 23:07

匿名(IP:1.79.34.184)

20年前から変わらないということは
日本人はそういう人種だからしょうがないし
だから勝てないんだと思う

2014年12月11日 12:28

匿名(IP:180.32.43.87)

日本人は体裁など回りの目ばかり気にする人間が多すぎるからね
そこえ持ってきてマスコミが茶化したり煽ったりしたらすぐ気持ちがブレちゃうから…
そういうのって多分にあると思う。

2014年12月11日 13:24

匿名(IP:126.255.68.95)

やはり浦和の監督は解任。なぜペッツァイオリにしないのか。そっちのほうが大問題。レッズだけにダイヤモンダイ。

2014年12月11日 13:39

hiro(IP:219.162.188.192)

民族的、メンタル的というよりクラブの上下関係がはっきりしてないJリーグは各チームが力関係の中で全うすべきゲームプランが浸透してないだけのような気もします。それにレベルも拮抗してるし。代表は単にプレースタイルを模索している途中なのとまだ世界的にはレベルが足りてないのが大きいのでは?

2014年12月11日 16:19

匿名(IP:111.110.5.207)

メンタルが弱いんじゃなくて戦力が拮抗してるから余裕がないんだよ
例えば相手が大学生だったら勝てたと思う
圧倒的な戦力を補強すれば逃げ切れるに違いない

2014年12月13日 01:52

(IP:126.205.84.123)

この問題はJ2POでより顕著。J2のホームチーム勝率と引き分け試合を合わせた比率は全体の7割弱を占める。
なのに、J2POの過去3年の通算成績は上位チームの0勝2分け6敗。優位に立った方が慌ててしまう日本人のメンタリティが、J2POの引き分けなら上位勝ち抜けというルールをむしろハンディキャップにしているし、3回やって2回も6位クラブ勝ち抜けって事態を招いてる。

2014年12月13日 10:09

匿名(IP:114.149.8.212)

日本人はメンタルに弱い
実はそう言って片付けるのは簡単なんだよw
勝てなかったJの外国人監督が良く使う手だと最近感じているわ
試合を見れば良くわかるんだけど
終盤の浦和は明らかにチームとして色々な面で下降気味だったし
最終戦ガンバ相手の徳島は前節の仙台戦からチームとしてのバランスが良くなっていた
最後はチームとしてどう戦うかを選手達が徹底することだし
監督が普段からどれだけ意識付けさせられるか
結局は監督自身の管理能力も問われるんだよ

2014年12月25日 20:59

異論(15票)

匿名(IP:125.196.222.118)

2010名古屋や2011柏や2012広島はきっちり逃げ切って優勝しているのですがそれは

2014年12月10日 13:46

匿名(IP:180.53.223.214)

メンタル部分の批判から先にすると、批判の為の批判になる。浦和の失速は興梠の怪我が明らかに大きい。ガンバは主力の怪我がほぼ無かった。
なら批判すべきはコンディション不良の選手を起用したペドロビッチ監督のメンタルでは?

2014年12月10日 13:54

匿名(IP:180.53.223.214)

メンタル部分の批判から先にすると、批判の為の批判になる。浦和の失速は興梠の怪我が明らかに大きい。ガンバは主力の怪我がほぼ無かった。
なら批判すべきはコンディション不良の選手を起用したペドロビッチ監督のメンタルでは?

2014年12月10日 13:55

匿名(IP:1.75.3.129)

06年の浦和は最終節ガンバとの直接対決まで持ち込まれましたが逃げ切りました。最後まで縺れる展開が多いJ1優勝争いですが、上の方の指摘通り逃げ切り優勝も少なくありません。
今年の浦和の失速はミシャの采配ミスによるところが大きかったので、後藤さんの指摘は的外れだと思います。

2014年12月10日 15:28

匿名(IP:133.220.72.221)

メンタルうんぬんよりも1点を確実に守りきる守備戦術が身についてないことのほうが大きいのでは?
サッカー雑誌やブログでの試合分析とかを見てると日本サッカーの守備はブロックがバラバラだとかバイタルの使い方が悪いなどが結構指摘されていてそれが失点に直結しているような感じです。

2014年12月10日 16:38

ダメ人間(IP:202.243.144.64)

>なんとか、早く解決しないといけない......。
長年サッカーを見てるわけですからいい加減解決策を示してください

2014年12月10日 17:33

匿名(IP:141.0.8.142)

追われる立場で勝てなかったのが追う立場になっても勝てなかった
どう考えても実力不足です本当にありがとうございました

2014年12月10日 17:43

匿名(IP:125.194.174.219)

安易にメンタルで結論付けるメンタルの方が問題
先ずはディテールに至るまで問題点を追求してから

2014年12月10日 20:18

匿名(IP:114.174.10.159)

日本人全体の問題であるという点には部分的には同意するけれども
ペトロヴィッチの問題ではないという点には同意できない。
ペトロヴィッチのチームが勝負弱さを見せるのはこれが初めてではない。

2014年12月10日 20:19

匿名(IP:121.103.231.13)

G大阪戦から3試合全部見ていたけど、一番メンタルに問題あったのはペトロビッチ監督だと思った。ベンチでの動きを見てもテンパっていた。選手たちは緊張で固かったけど、それなりに力を出していた。レッズの多くのスタメン選手は、優勝経験者。多分、ガンバ戦は最低でも引き分け、鳥栖戦や名古屋戦は逃げ切りたいという気持ちだったのだろう、守備に重きを置いていたように思う。そこに攻撃型の選手を投入して攻めろと言ってバランス崩したのは、監督の采配ミスだと思う。それを選手のせいにするなんて。その上で不満は自分に言ってくれと。言われなくても、サポータは選手よりあなたに不満がある。長く日本にいるから日本人は良く判っていると言っていたくせに、実は判っていない、あるいは判っているけど対応出来ないことが良く判った。後藤さんの「本音が出た」だけ同意。

2014年12月11日 08:11

IP:121.103.231.13 さんに同意(IP:122.210.50.98)

僕もその通りだと思います。
ミシャ監督は体裁を気にするタイプなのかも知れませんね。
5万の大観衆の前でかっこよく勝って決めたいってのが強すぎたのかも。
その考え方そのものには同意するけど、ガンバ戦、名古屋戦ともあの時間帯
で、あのスコアであの交代は無いでしょう。
鳥栖戦は結果はともかく対策的には逃げ切れだったから文句は無いけど。

2014年12月11日 09:27

匿名(IP:202.90.215.37)

国民性なんて簡単に変わらないんだから今更どうこう言っても仕方ない
長いこと日本で指揮して日本人の特性が理解できない監督を批判するべき
レッド貰ってでも死守するべきならそう厳命すればいい
メンタル弱いと思うなら途中経過は伝えるべきじゃない
ミシャの毎度の保身の為の必死の弁明はもうウンザリ

2014年12月11日 17:23

calibra16v(IP:220.215.213.227)

カテゴリ違いで申し訳ないがネルソン=ピケの言である。「レースは今日の一戦だけじゃない。16戦すべてだ。我々にはほかにも勝っているべきレースはたくさんあった。そのとき勝てなかったのが今日のレースにつながっているんだ。レースとはそうしたものだ」(海老沢泰久『F1地上の夢』) 勝ち残り戦の論評ならまだしも、総当たり式の最終戦の総括としてはピケの考え方のほうが健全ではないか?

2014年12月11日 17:42

匿名(IP:101.50.225.178)

独走しないのは、選手の力が拮抗しているわけで、Jリーグのチームがバランスの取れている証拠だろう。
だから、順位がたびたび変化するし最後の逆転もおこりやすい。
Jリーグがどうこうではなくて、そういう環境のなかで起こっているわけで、
だからこそ面白いのではないか。

2014年12月15日 18:48

匿名(IP:113.36.136.194)

国民性なんて生易しいものではなく、この国は長くミスを恐れる指示待ち人間が良き労働者として必要とされきたため、そんな特性を持つ人ばかりが生き残った結果、日本人はメンタルが弱いというのは脳の構造(=DNA)上、もう仕方がない。そういったところを補うための外国人監督だろうに、監督のメンタルが弱いのでは、優勝は無理でしょう。

2014年12月18日 23:41

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