コンサドーレの都倉賢を日本代表へ導くためにコンサルしてみた

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経営コンサルタントを本業としながらも、サッカー日本代表とコンサドーレの熱烈なサポーターとして各種メディアで積極的に情報発信を行っている村上アシシ氏。今回、J論ではアシシ氏独特のサポーター視点、経営コンサルタント視点で日本サッカー界を盛り上げる方法を探る対談企画をスタート。第1回北海道コンサドーレ札幌・野々村芳和社長、第2回前編(コンサドーレの都倉賢にSNS活用法の極意を聞いてみた)の続きとなる後編は、都倉選手が日本代表になるためのコンサルティングを実施してみました。

▼レスターのバーディーの活躍は同世代として刺激になる

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アシシ:都倉選手は北海道ローカルのテレビ局でたくさん取材を受けていますけど、将来のビジョンを語ったことはありますか?

都倉:特にはないですし、あんまり今僕自身もそんな具体的なものがまだないので。

アシシ:ヴィッセル神戸在籍時代に、当時日本代表監督だったザッケローニ氏が視察に来たじゃないですか。最近はそういう話題がなくなってしまいましたが、今でも日本代表は意識していますか?

都倉:もちろん意識しますよ。今でも当然日本代表を目指しています!

アシシ:そのゴールに向けて、僕が勝手に資料を作ってきました。2年後にロシアワールドカップがあります、ロシアワールドカップで都倉選手は32歳ですよね?

都倉:そうですね。

アシシ:可能性は数%かもしれないけど、この2年間で目覚ましい活躍をして日本代表に選出されて、ワールドカップで点を決めるというヴィジョンを描いてきました。この図をご覧ください。

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都倉:なんですかこれ(笑)。

アシシ:僕の本職は経営コンサルタントなので、こういう目標設定と、その目標に向けたアプローチとかを整理するために、こういう図表はよくクライアント先で作ったりするんです。これはそのシンプル版です。詳細を説明しますね。

都倉:はい、お願いします。

アシシ:今季はJ2得点王を明言しているじゃないですか、今年その目標を達成して、クラブもJ1昇格します。来年2017年はワールドカップの前年で、都倉選手は札幌に残ってもらう前提で、J1得点王争いをしてもらって、晴れて日本代表に選出。再来年はそのままの勢いでロシアワールドカップの23人枠にも入って、32歳でワールドカップスコアラーの仲間入りというサクセスストーリーです。いかがですか?

都倉:これ実現できれば最高ですね(笑)。個人的には、今の日本代表メンバーを見ても僕と似たようなプレースタイルのフォワードがいないのはチャンスだなとは思っています。

アシシ:今シーズン、イングランドのプレミアリーグでレスターが優勝したじゃないですか。得点王争いをしているジェイミー・バーディー選手が28歳でイングランド代表に初選出されたのはどう思いますか?(編集部注:バーディーは得点ランク2位でシーズンを終えた)

都倉:僕も同世代ですからね。刺激になります。

アシシ:岡崎慎司選手も同い年ですか?

都倉:そうですね。

アシシ:岡崎選手は元からずっと代表の選手だけど、バーディー選手が28歳で代表に選ばれたのは都倉選手のロールモデルじゃないけど、ひとつの成功事例として参考にできるんじゃないかと。そういう成功例を指標にして、目標をびしっと決めてチャレンジしたら面白いのではないかと思ってます。

都倉:こういう図表とかは作ったりしないですけど、僕も常に日本代表は意識して日々トレーニングしています。

アシシ:素人目線で日本代表になるためのアプローチとして僕が考えてきたのが、都倉選手の場合は『90分間走れる体力作り』と『キックフェイントの習得』かなと。サッカーの素人にこんなこと言われてムカつくかもしれませんが、ご了承ください(笑)。

都倉:いや、大丈夫ですよ。

アシシ:『体力作り』のトピックはありきたりなので置いておくとして、都倉選手の場合、キックフェイントってほとんどやらないじゃないですか。何かポリシーみたいなのはあるんですか?

都倉:いや、そういうのは特にないんですけど、基本キックフェイントするより今の段階では、例えば京都(サンガ)戦で右足で決めたゴールのような、縦に素早くいって決めるのとかを追及してます。僕の場合、リーチが長いからシュートフェイントをやれば相手は引っかかるとは思いますが、シュートフェイントって時間がかかっちゃうから。まず勝負できるところは早く決めたいという思いはあります。

アシシ:確かに京都戦の右足一閃で決めたあのゴールは、昨シーズンまではなかった形ですよね。今までは基本的に都倉選手の利き足である左を止めときゃいいやって相手は思っていたはずが、あの右足弾丸シュートを1回見せられると対峙するディフェンダーも絶対迷うかなと。そういう意味でひとつ引出しが増えたのは意義のあることだと思います。で、そこで更にもうひとつの引出しを作るために、キックフェイント身に付けましょうよ!

都倉:アシシさん、やけにキックフェイント推しですね(笑)。

アシシ:特にコンサドーレサポーターは、去年引退した砂川誠の必殺技、通称『スナイフターン』の威力を見せつけられているので、キックフェイント好きが多いんですよ。都倉選手も実際に砂さんのキックフェイント見ていましたよね?

都倉:砂さんは本当に上手いですよね、教えてもらおうかな。

アシシ:去年まで在籍していたディフェンダーのパウロンだって、あんなに足元の技術がおぼつかなかったのに、キックフェイントできるようになったんですから。都倉選手がキックフェイント身に付けてゴール前で1枚剥がせるようになれば、すごく大きな武器になると思います。

都倉:そうですね。ちょっと考えますね(笑)。

▼海外志向はまだあるが、まずは札幌をJ1昇格に導きたい

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アシシ:ちなみに今回のような『2年後、3年後を見据えた目標設定』みたいな事は、都倉選手はあまりやらないんですか?

都倉:若い頃はめっちゃしていたんですけど、今は大まかになりましたね。結局やったとしても1年目にそれが達成できなかった時に次の目が消えるじゃないですか。途中で軌道修正はしますけど、ここ最近は長期的な目標は立てずに、その1年をどうするかを考えるスタンスでやっています。J1に上がれるか上がれないかで、次の年の目標も変わっちゃいますし。ここ1、2年はその年、その月にどうするかという短期的な目標を立てる感じですね。

アシシ:2年前に1回海外にトライアウト受けにいったじゃないですか。あの時はその数年前から海外を意識していたんですか?

都倉:そうですね。ずっと海外には行きたくて。でも、行きたいって言っているのがただのパフォーマンスっていうか『海外目指しています』と言っとけば、ちょっとが付くみたいなのが心の中でたぶんあったのかなと。でもそんな口だけじゃだめだと感じて、ちょうど神戸を退団するタイミングで海外にチャレンジしました。選択肢を残して行ったらそっちに逃げたくなっちゃうのは自分でわかっていたので、国内のオファーは全部断った上でデンマークのトライアウトを受けに行きました。

アシシ:結果的に移籍は叶わずに帰国したら、成田空港の到着ゲートでコンサドーレの三上GMが出迎えて『札幌に来ないか』とオファーしたという逸話を以前聞いたことがあります。

都倉:そうですね。あれはクラブの熱意を感じましたね。

アシシ:都倉選手は今年で30歳ですけど、まだ海外移籍は考えているんですか?

都倉:めっちゃ行きたいですけど、でも現実的に日本代表になりたいって逆算した時に、僕の年で代表経歴もないと海外に移籍したくても2部や3部にしか行けないんですよ。そこで2年後のワールドカップから逆算したら時間は全くない。可能性として日本代表になって結果的に海外に行くっていう方法しか今はないと思いますね。海外での経験はキャンプだけなので本当に短かったですけど、帰国してJリーグのレベルは改めて高いと感じましたし、ただ海外との移籍市場が別なだけだと思いましたね。Jリーグでしっかりトップになればそれは価値があるというのもわかったので、今はただコンサドーレをJ1に昇格させるだけですね。

▼都倉賢が見据える引退後のセカンドキャリアとは?

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アシシ:話は変わりますが、この春から都倉選手は北海道ローカルのラジオ局で週1でラジオDJを担当することになったじゃないですか。これはセカンドキャリアを意識した上でのことですか?

都倉:特にそういうわけじゃなくて、ラジオDJはただ純粋にやりたかっただけですね。SNSもそうですけどラジオってちゃんとしたメディアで、現役Jリーガーが番組を持てるってのは、北海道ならではじゃないですか。あとはコンサドーレが今年20周年でこの勢いを道民に届けて、道民を巻き込んでJ1昇格の追い風にしたいという気持ちがあります。2年前ぐらいから機会があったらやりたいとは言ってたんですけれど。ラジオは番記者を通さないから、ある程度自分の意思とか声のトーンとかで本当に言いたいことや思いが伝わるメディアだと思っていて。テレビとかラジオとか出させてもらいましたけど、ラジオは自分らしさがけっこう出せるなって思いますね。

アシシ:ラジオ番組ではけっこうプライベートな話をするんですか?

都倉:サッカーの話がメインにはなりますけどね、結局は。でも日常生活の話もしますし、まだ実際に3回ぐらいしか収録をしてないんですけど。土曜の朝9時で凄く良い時間なので、今までまったく札幌ドームに来ていなかった人にちょっとでも興味を持ってもらえればいいなと。僕を切っ掛けにして1人でも2人でもファンが増えればやった価値はありますし。別にDJを上手くやろうっていうわけではなく、基本の軸はサッカー選手なので、ちょっとでもコンサドーレの存在がリスナーの日常の中に食い込んでくれればいいなっていう感覚ですね。

アシシ:都倉選手は引退後に例えば監督になりたいとか、解説者になりたいとか、具体的なイメージは持っているんですか?

都倉: 僕は元々監督になりたいとはまったく思ってなかったんですよ。監督はただの駒いじりと戦術をやっているだけと思っていたので。でも、去年バルバリッチさんに出会ってから、素敵な仕事だなと思いましたね。バルさんは良い意味でモチベーターで、例えばプレーの説明をする時に『こうやってシンプルにやって、ゴール前に行って点を取れればお前は絶対日本代表になれる』って言ってくれるんですよ。リップサービスじゃないですけど、ただこうやれって指導されるよりも、モチベーション上がるようなことを言われたらやっぱやるじゃないですか。それをやってチームも上手く回って僕も点が取れたら、チームの将来も明るくなるし、僕個人の未来もちょっとだけ変えていることになるし、実際、僕はバルバリッチさんの指導を受けて、すごく変わりました。

アシシ:じゃあ選手の晩年ぐらいになってくると、例えばコーチライセンスを取りに行こうとか考えているんですか?

都倉:一応去年C級ライセンスは取ったんですよ。コンサドーレの現役の選手がまとめて取れる機会があって。

アシシ:C級だと子供を教えられるぐらいですか。

都倉:一応12歳までが目安ですけど、C級持っていればコーチはどのカテゴリーでもなれます。

アシシ:僕が思ったのはラジオDJとかSNSとかいろいろ都倉選手はやっているから、例えば引退した後、吉原宏太さんみたいにテレビに出て解説したりとかスポーツ番組でコメンテーターやったりとか向いているかなと思ってたんですけど、その路線はあんまり興味はないんですか?

都倉:引退後にそれを本業にしようとは現時点では考えていないですね。

アシシ:プロデュース力が高い奥さんがいろんなアドバイスをすれば都倉選手は引退後、なんとでもなれるんじゃないのかなと個人的には感じるんですけどね。

都倉:僕の場合は、全然客観的には見れないって妻は言ってました。でも妻の影響は非常に受けています。彼女の周りの人もとても面白い。僕は父もサラリーマンだったのでそういう働き方しか知らなかったですけど、妻の周りはみんな基本フリーランスでやっているから、そういう人たちはみんな自分の個性を活かして仕事をしているので、そういう働き方はすごい楽しそうだなと思いますね。でもこれだけサッカーをやってきたので、スポーツには軸足を置きつつ、可能性は広げていきたいなと。

アシシ:そういう意味でいくと、吉原宏太さんは10年以上前にコンサドーレから移籍して、いろんなクラブ回って引退した後に、最終的に札幌に戻ってきました。今や北海道ローカル局で、色んな番組に出演しています。彼の場合は元日本代表っていうのもあるんですけども、イケメンで喋りの技術もあってというのは都倉選手も共通項があるなと思っています。都倉選手は今季コンサドーレ在籍3年目で、サポーターとしてはずっと現役最後までコンサドーレにいてくれって思うけど、仮に移籍する場合でも、変な遺恨を残さないでほしいと思っています。

都倉:なんともコメントしづらいですけど(笑)。

アシシ:ということで、結論としては現時点のセカンドキャリアは、指導者の道が第一候補ですか?

都倉:いや、監督に絶対になりたいってわけじゃないです。あくまでひとつの選択肢ですね。最近やってみたいなと思っているのが、北海道ってこれだけプロの団体があってオリンピック選手の輩出も日本で1位の都道府県なのに、それに見合ったジムの施設がないんですよ。東京とか海外にあるプロアスリート向けのジムを北海道でもやりたいなと。そういったプロ向けの東京のアスリートジムと契約して、オフの期間に使わせてもらっています。プロ野球選手やプロゴルファーも契約していて、アスリートの横のつながりも増えて、すごく刺激になるんですよ。ダルビッシュ有選手とか普通にいますし。北海道はこれだけアスリートがいるのにそういった施設がない。特に冬なんて絶対に室内でしかできないから必要だと思うんですよね。

アシシ:それは経営に携わりたい、もしくはオーガナイズしたいといった感じですか?

都倉:そうですね。北海道でやってみたいですね。僕みたいにコンサドーレにいて、Jリーガーの中でもけっこうフィジカルに気を付けている、そういった仲間を募りたいですね。それにどう携わるかはわからないですけど、実際ロサンゼルスの本場とかも見てきてますし。

アシシ:その夢は壮大ですね。

都倉:僕がそれをほしいだけなんですけどね、現役中に。北海道にはないので。

アシシ:確かに冬のオリンピック競技など、ウィンタースポーツの選手が多いですからね。

都倉:そうなんですよ。なのに、冬のオリンピックに出場しそうな人の練習風景をテレビで見たら、どこかの役場の空きスペースを利用してますみたいな。それじゃ世界で勝てないでしょ。サッカーやプロ野球はプロ組織がありますが、個人競技とか実業団になると、まだそういう感じでやっているので。

アシシ:もしその夢の実現に向けて動き出したら、また取材させてください!

都倉:いつになるかは全くわからないですけど、是非。

アシシ:その壮大な目標の前に、まずはコンサドーレをJ1に導いてください。サポーターとしての切実な願いです!

都倉:僕も有言実行になるように、精一杯頑張ります。

アシシ:今日はありがとうございました。

都倉:ありがとうございました。
(取材日:2016年5月6日)

村上アシシ

1977 年札幌生まれ。職業は経営コンサルタント・著述家。外資系コンサルティング企業・アクセンチュアを2006年に退職し、個人コンサルタントとして独立して 以降、『半年仕事・半年旅人』のライフスタイルを継続中。南アW杯出場32カ国を歴訪した世界一蹴の旅を2010年に完遂。Jリーグでは北海道コンサドー レ札幌のサポーター兼個人スポンサー。

ウェブサイト:http://atsushi2010.com/
ツイッター:https://twitter.com/4JPN
近著:海外旅行のノウハウ本『ロジ旅

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