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テーマ23年目のJリーグ開宴。津々浦々の百景に想い、願うこと

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博識の党首・大島和人

2015 03/12  16:08

15日開幕のJ3リーグを大胆予想。初心者から玄人までを誘う、「3つめのリーグの楽しみ方」

今季で23年目を迎える明治安田生命J1リーグが3月7日に開幕を迎えた。J2も翌8日に開幕し、週末にはJ3も幕を開ける。今週の『J論』ではそんな開宴模様に焦点を絞って、全国各地の様子をお届けしていきたい。第三回目は1週遅れて開幕を迎える、J3に着目。大胆に順位を予想しながら、博識の党首・大島和人がJ3ならではの事情と注目ポイントを語り尽くす。

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熱狂する長野サポーター。「自分たちのチーム」がある幸せが、このリーグで育まれる (C)大島和人

▼プロとアマが混在する独自空間
 J1は23度目、J2は17度目の開幕を迎えた。3月15日には、2シーズン目の明治安田生命J3リーグが開幕する。

 J3を取材していて、本当に良かったと思う。サッカー選手の生き様、クラブの有り様をよりリアルに観察できるからだ。皆さんがスカパー!のコールセンターに電話をしたとき、オペレーターが若い男性なら、それはFC琉球の選手かもしれない。長野や町田のような"ビッグクラブ"は専業が原則だが、J3全体を見ればプロ契約の選手は半数以下だろう。契約上はプロでも、サッカーだけで食べて行けるとは限らない。選手たちの多くはスクールのコーチ、看護助手、塾講師といった職を持ちながら、ボールを蹴っている。

 J3にはプロとアマチュアが入り混じる、独特の"生態系"のようなものがある。高原直泰のような日本代表経験者がいる一方で、キャンプ期間に仕事へ行けず、翌月の収入が途絶えて困っている選手もいる。これはJ3より下のカテゴリーの例だが、「女性に貢いでもらってサッカーを続けている」という"ヒモ選手"の存在も聞いたことがある。人が食べていく、シビアな現実がそこにはある。

 これをメディアが「Jリーガーがアルバイト」「悲惨な現実」と、同情を誘うような筆致で記事にすることがある。とはいえ実際は施設や用具の心配をせず、遠征費も負担せず、毎日サッカーをプレーできることは、選ばれた者の特権だろう。私立大学のサッカー部に入れば学費や寮費、部費などで年間で2百万円ほどの出費が発生すると聞く。そして「好きなことが思う存分できる」という身分を手に入れる競争も相応に激烈だ。J3のセレクションを見れば、J1や年代別日本代表の経験者が集結していて驚かされる。J3クラブが「給与はこちらが払うからこの選手を獲ってくれ」という、J1からの逆オファーを水面下で断っている例も少なからずある。どんな肩書があっても、それで通用する世界ではない。

▼夢の世界でないからこそ
 グルージャ盛岡の田中舜は清水東高時代に内田篤人と同期で、大学を卒業した後は大手銀行に就職した経歴を持つ。収入面だけを考えれば、サッカー界に足を踏み入れなかったほうが賢明だっただろう。しかし、「人はパンのみにて生くるにあらず」。サッカーの魅力に抗するのは容易でない。選手はサッカーをプレーでき、僕らは選手たちに夢を託すことができる。そこには理屈で割り切れない魔力があり、お金で測れない価値がある。

 エンターテインメントには二つのあり方があると思う。一つは完璧に演出され、暗い影や裏事情を徹底的に隠す"夢の世界"だ。言ったらディズニーランドがそうだし、昭和の映画スターやアイドルもそうだった。しかし『AKB48』や『ももいろクローバーZ』を見れば、そこに演出はあれど、喜怒哀楽のすべてを含んだ"生き様"がエンターテインメントになっている。「酸味、甘味、塩味、辛味、うま味」の五味が揃って料理ができるように、生きていく過酷さ、人の挫折も"喜び"を引き立たせる大切なスパイスだ。J3はサッカーにおける"リアリティーショー"だ。

 一方でJ3には、小さいものが大きく育っていく過程に特有の"ワクワク感"もある。昨年11月に私は「レノファ山口が勝てばJ3昇格確定」というJFL のファジアーノ岡山ネクスト戦を取材した。岡山のカンスタには山口の地上波局がすべて終結し、記者室は50人以上のメディアでにぎわっていた。J1でもこれだけの数が来ることは珍しいという人数である。ニュース番組のキャスターが、生番組出演をキャンセルして岡山に足を運び、"その瞬間"のレポートに備えていた。J2のサポーターにとってJ3降格は恐怖だろう。しかしJFLやそれ以下のクラブにとって、J3入りは"悲願"だ。

 地方クラブにとって最大の価値は、おそらく"そこにクラブがある"ことだろう。自分の家のような気持ちで足を運べるスタジアムがあり、気持ちを一つにして試合を応援できる仲間がいる。それはフットボールカルチャーを発生させるために必要最低限の単位だ。"自分たちのクラブ"として認知されるためには、Jというブランド、リーグや行政の支援、そして報道といったオフ・ザ・ピッチのサポートもかなり重要だ。J3はクラブやサポーターにとっての"初等教育機関"であって、このカテゴリーで得た学びがその後の飛躍につながっていく。

 日本には三重、福井など全国リーグに参加しているクラブが存在しない県がいくつかある。夏の甲子園や冬の高校サッカーがあれだけ盛り上がるのは、47都道府県が揃っているからという理由が大きく、Jリーグも都道府県が揃って初めて"完成"するのだと思う。心優しい日本人は「敵をぶちのめしたい」という憎しみでは燃えないが、「負けたくない」「お隣に比べて恥ずかしい」という嫉妬や妬みに追い込まれると本気になる。私はまだ"本気"になっていない日本サッカーをやや歯がゆく思いながら、そこに近付いてきた様子が見て取れるJ3の取材を楽しんでいる。

▼そして、J3順位予想
 最後に誰もやる人がいないので、あまり知らない人にJ3の戦力を紹介するという意味を込め、順位予想という"すべり芸"を披露しようと思う。

★1位:FC町田ゼルビア
一口メモ:激しい切り替えから、4人5人が狭い距離感で一気に攻め切るスタイルが浸透。若手から中堅に差し掛かる年齢層の選手が多く、昨季からの上積みも期待できる。土岐田洸平、宮崎泰右、重松健太郎といった新戦力にも期待。

★2位:AC長野パルセイロ
一口メモ:13年のJFLを圧倒的な強さで制し、昨季はJ3・2位。新スタジアムをJ3で迎えることになった。美濃部監督は3年目で、スタイルが固まっている。一方で現有戦力を確実に上回る強烈な補強がなく、エース宇野沢祐次が負傷で開幕に間に合わないのも不安要素。

★3位:カターレ富山
一口メモ:昨年の鳥取、一昨年の町田と、J2から降格した直後のチームは苦戦する。富山も主力がクラブを去り、チーム作りはやり直しに。

★4位:SC相模原
一口メモ:森勇介、須藤右介らのベテランに加え、期限付き移籍で若手も補強し戦力は大きくアップ。現場のスタッフも増員している。

★5位:レノファ山口
一口メモ:岸田和人は昨季のJFL得点王だが、イエローも10枚。しかし上野展裕監督は癖のある選手も使いこなす、懐の深い指揮官だ。

★6位:ガイナーレ鳥取
一口メモ:レギュラー格が大量にクラブを去り、それを補うだけの補強もできていない。おそらく予算的に厳しいのだろう。

★7位:グルージャ盛岡
一口メモ:大型FW土井良太は長野に栄転したが、鳥取や富山の主力を複数獲得し、昨季と同等の戦力を維持。しかし昨季の5位は、経営規模を考えると出来過ぎの感も。

★8位:Jリーグアンダー22選抜
一口メモ:リオデジャネイロ五輪世代(1993年以降生まれ)で構成されるため、単純に昨季から平均年齢が1才上がるので戦力もアップするはず。

★9位:福島ユナイテッドFC
一口メモ:湘南からの期限付きが多く、特にJFAアカデミー福島出身のMF安東輝は高卒2年目ながら既にチームの中心。

★10位:FC琉球
一口メモ:薩川了洋監督の記者会見、勝ったあとのドヤ顔はJ3名物。ただ戦力的には物足りない。

★11位:YSCC横浜
一口メモ:昨季は最下位に沈んだが、大卒1年目~3年目の若手も多く潜在的には中位レベル。

★12位:ブラウブリッツ秋田
一口メモ:監督はオシム監督の通訳を務めた間瀬秀一氏。昨季までの徹底的なポゼションサッカーから"考えて走るサッカー"に変貌できるか?

★13位:藤枝MYFC
一口メモ:決して悪いサッカーをしていたとは思わないが、昨季のブービー。すいません、どこかを最下位に予想しなければいけないので......。

 大半のチームは昨季からバージョンアップを果たした感がある。昨季のJ3は上下の格差が他のカテゴリーより大きく、金沢、長野、町田の"三強"が図抜けていた。しかし今季は中堅以下のクラブが良い補強をしているため、リーグとしても接戦になるだろう。

 J2の"オリジナル10"からは川崎F、FC東京、鳥栖、新潟、仙台、甲府といったクラブがJ1に羽ばたいていった。ときに厳しい現実と直面するだろうが、地に足をつけた活動を続けていけば、クラブとサポーターは経験値を積み、未来への足掛かりを作ることができるはずだ。

大島和人

出生は1976年。出身地は神奈川、三重、和歌山、埼玉と諸説あり。柏レイソル、FC町田ゼルビアを取材しつつ、最大の好物は育成年代。未知の才能を求めてサッカーはもちろん野球、ラグビー、バスケにも毒牙を伸ばしている。著書は未だにないが、そのうち出すはず。

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匿名(IP:49.97.108.94)

一昨年まで地決を頑張って追いかけていましたが、その理由もサッカーを通した人間ドラマに惹かれたからでした。
J3、JFL以下のカテゴリーは過酷な環境も多い分、本物のサッカー狂に出会うことも多々あります。
こういう生き様が娯楽になる現代は、下部リーグを育て易い時代なのかも知れませんね。

2015年3月12日 23:40

名無しのリーク(IP:185.17.184.228)

香川県ルー餃子のフジフーヅはバイトにパワハラの末指切断の大けがを負わせた糞ブラック企業

2016年7月 4日 00:15

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