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【Jリーグ】「これからの25年は皆さんと一緒に社会と一緒に作っていきたい(村井チェアマン)」「こういう事こそがJリーグの価値(川淵さん)」「サッカー選手の価値もサッカーをやるだけはない価値が生まれてくる(中村選手)」Jリーグ25周年未来共創『Jリーグをつかおう!』ワークショップより

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「これからの25年は皆さんと一緒に社会と一緒に作っていきたい(村井チェアマン)」「こういう事こそがJリーグの価値(川淵さん)」「サッカー選手の価値もサッカーをやるだけはない価値が生まれてくる(中村選手)」Jリーグ25周年未来共創『Jリーグをつかおう!』ワークショップより(10)『Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~』

5月14日、Jリーグは東京都内で未来共創『Jリーグをつかおう!』ワークショップを開催した。

これは、25周年を迎えるJリーグが、今後社会の様々な分野と連携しながら理念の実現に向けて、各種事業を展開するための意見交換を行うためのもの。
このワークショップにはJリーグ村井満チェアマンをはじめクラブ実行委員、各界で活躍する有識者、Jリーグと社会連携に興味のある社会人、大学生など合計300名が参加した。

今回はワークショップでの中締めの挨拶(村井チェアマン、川淵初代チェアマン、中村選手)をお届けします。

(9)はこちら

○村井満チェアマン
「長時間ありがとうございました。スタートしてから3時間半、搾れるだけのアイデアを絞ってくださいました。今日いただいたアイデアはリーグとしてしっか受け止めて精査していきます。もちろんみなさんエントリーフォームに上げていたただければ活動がスタートとなりますので、私たちはどんどん応援をしていきます。

今回のセッションで感じた事は、日ごろ僕らはリーグとクラブの中に閉じて生活することが多いですが、一歩外へ出ていけばこんな素晴らしいアイデアがいっぱいある。Jリーグがもっともっと開いて外に出ていく決意を固めました。おそらく54のクラブ経営者の皆さんも同じ思いかなと思います。社会にJリーグを開いていく、そんな第一歩ができたかなと思います。

川淵さん、よろしければちょっと檀上にお願いします。(会場から拍手)

○川淵三郎初代チェアマン
「本当にあっという間でしたよ。本当にこういう会がね…(言葉に詰まり涙を見せる)開いていただけるとは夢にも思っていませんでした。本当に成長したんだなと思いました。僕らが始めたころには、Jリーグ以外のサッカーに関係ない多くの方に参加していただいて、本当にJリーグとともに日本を良くするために、どうしたらいいのか真剣に考えていただきました。

僕なんか常になんとなくネガティブになってしまって、何か言ったら『それ違うんじゃないの』とか(同じテーブルの人に)隣の方、本当に申し訳ありませんでしたね(会場笑)。どんな悪くたってとりあえずやってみようよとなかなか言えない年代でして、ちょっと反省しています。前向きに失敗を恐れずに前向きにトライする、そういった雰囲気が今日醸し出されたというか共有されたと思います。

これをきっかけに25周年にこういう会を・・・僕はパーティを開くとばかり思っていましたが(笑)、こういう事こそがJリーグの価値だなと思います。心から関係者の皆さんに感謝をしています。今日一緒に話していて楽しくて、本当に時間が過ぎるのが早かったですね。今日の54個の提案が必ずやいろいろな形で具現化していくと思うのでJリーグの発展を祈念して・・・というか僕が祈念することでもないんですが(笑)、今日は本当にチェアマンありがとうございました」

村井
「Jリーグの理念を川淵さんに策定していただいて、それを25年間貫いて守っていきましたが、これからの25年は皆さんと一緒に社会と一緒に、作っていきたいと思います。

最後に現役選手を代表して中村憲剛選手(川崎F)をお呼びしたいと思います。今日はトレーニングの最中にもかかわらず来ていただきました。

実はこのセッションの仕掛け人の一人が、僕は中村選手だと思っています。例えばフロンターレ社会貢献活動はどういうことをやっていますか?」


○中村憲剛選手
「やっていますね。・・・・すみません、今緊張していて(笑)規模が大きすぎて、陸前高田や、算数ドリル、あとは病院訪問だったりとか、たくさんやっています」

村井
「彼とインタビューをしたときに、『フロンターレはこんなにやっているのにJリーグは何をやっているんですか』と対談の場でお叱りを受けて、ノープランだったんですけど、『僕はやるよ』と約束したんですね」

中村
「正直、会場に入った時に本当にうれしかったですね。自分がチームに加入した時(2003年)は、3000人~4000人くらいが当たり前で。Jリーグが掲げている地域密着をやっていこうよと、僕がちょうど入る前くらいだったんですけど。地域のイベントに出たり、商店街を回ったり、急にサポーターの方が増えたわけではなくて、地道に先輩方の背中を見ながら選手一人ひとりがやっていって、サッカーの成績が両輪がうまく重なって、今はおかげさまでスタジアムの内外に2万人を超える方に来ていただいています。

それを肌で感じていて、クラブだけの努力ではなくて、対談させていただいたときに『Jリーグ・・・何やってるんすか?』と本当に言っちゃったんですけど(笑)。Jクラブはいろいろ地域とクラブと関わりがあるのでできるんですけど、Jリーグ自体は特定の地域がないので地域との絡み方は難しいだろうなと理解はしていたんですけど。Jリーグがやるよと言えば絶対大きなエネルギーになって社会も動かせると僕は思ったので、生意気ながら言わせてもらったんですが、それがこういう本当にすごくありがとうございますと言いたいですし、これからみんなでやっていけたらいいなと、ここへ来た時にすごく感じました」

村井
「対談というのはやってみるもんですね」

中村
「やってみるもんですね。言ってみるもんですね(笑)」

村井
「今日は市民の方々がJリーグと使おうというテーマだったんですけど、アスリートからの目線として、『気持ちはありがたいけど、社会につながることは負担なんだ』とか『選手の成長にはつながらないんだ』という、そういう選手の本音はどうなんですか?」

中村
「最初、クラブでやるよと言われたときに、僕は元々学生上がりなので何もわからないじゃないですか。うちはそういうクラブなんだなと思っていましたし、他のクラブも当たり前だと思っていました。ただどうやらうちだけすごい方向にいくクラブなと(笑)。ただサッカー選手がサッカーをやるだけではなくて、プロの選手として地域の人に見てもらえるのか、どういう風に見てもらえるのかと。
先ほども言いましたけど、もともとフロンターレは見てもらえないクラブだったので、元々ビッグクラブや有名なクラブだったらそういう発想にはならなかったと思います。オフにイベントに出たり多少負荷はありましたけど、それ以上に周りの反応がダイレクトにどんどん返ってきたことで、すごいなと思いました。自分の価値がサッカーをやるだけでなくて、そういう見方もあるんだなと思いました。もちろん選手の性格とか個性はありますけど、僕自身はマイナスではないと思います。基本的にサッカー選手は目立ちたがり屋なので」

村井
「今日は播戸選手もいらっしゃっていますし(笑)」

中村
「大先輩です」

村井
「これから54クラブが連携して、日本の社会をいろいろな問題チャレンジしていきますから、ぜひ選手の皆さんも応援していただくように陰ながらサポートしていただけると。
・・・ジーコさんも何でも使ってくれと言ってくれましたし」

中村
「ジーコさんが言ったんだから、何でもやるんじゃないですか(会場笑)。やらないんだったら本当にやった方がいいです。僕だけの意見じゃないですけど、サッカー選手は使えばやってくれる人たちだと思うので、そこで無理かなと思うよりも、まずやってみて、ダメだったら仕方がないですけど、サッカー選手の価値もサッカーをやるだけはない価値が生まれてくると思うので、ぜひ使っていただければと思います」

村井
「中村選手、どうもありがとうございます。本当に重ねて感謝申し上げます。
皆様のエネルギーを受け止めてやっていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました」

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