「一言で言って理念の実現、これに具体的に役割をアサインしたというのが今回の執行部の体制です(村井チェアマン)」
「一言で言って理念の実現、これに具体的に役割をアサインしたというのが今回の執行部の体制です(村井チェアマン)」~Jリーグ社員総会後の記者会見より(4)~(『Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~』)
3月27日、JリーグはJFAハウスで2018年度第1回社員総会、および臨時理事会を行い、村井満チェアマンの3期目の体制が正式に発足した。
左から米田理事、原副理事長、村井チェアマン、木村専務理事⇒Jリーグの理事一覧はこちら
Jリーグの理事は常勤・非常勤を含めて18人。空席となっていた専務理事にはJ2ファジアーノ岡山社長の木村正明氏が就任。また公認会計士の米田惠美氏が新たに理事(常勤)に就任し、留任した原博実副理事長と共にJリーグの業務を行っていくこととなる。
今回はJリーグ社員総会後の記者会見での出席者のコメントをお届けしています。
⇒(3)はこちら
~質疑応答~
Q:(須原理事へ)今までJリーグとJFAはシーズン制の話など、必ずしも意見が一致していると思わないですが、JFAから派遣された理事として、これからJリーグとJFAとでどう話をしていくのか、JFAとしてもしくは須原さんとしての方向性を教えてください。
「今ご指摘いただいた通り、色々な論点がJリーグとJFAの中であるということは、皆さんもよくご理解されている通りだと思います。
JFAにはJFAなりのいろいろな考え方ですとか過去の経緯ですとかそういったものあります。もちろんJリーグにはJリーグなりの考えがあり、それぞれ非常に重要なものであるということは、サッカー界の人間として理解をしておく必要があると思っております。
ただもっと重要なことは何かということについては、やはりフィールドで活動してくださる方々、その方々をサポートしてくださる方々、サポーターがいます。サポーター、選手、クラブ、審判員、そういった方々に対してのサービスを提供していくのがJFAの役割だと思います。
まずこうしたステークホルダーを一番の上位概念において、その上位概念に置いたステークホルダーの方々に対して、一番良いサービスを提供するためには、過去をあえて否定してでも何かをしなくてはいけない時が来ると思います。その時に、それをどうやって乗り越えていくのかという観点で、Jリーグと一緒になって困難を乗り越えていきたいと考えています」
Q:(村井チェアマンへ)今回の人選の大きな狙いを教えてください。ひと頃のJリーグから随分様変わりしていると思いますが、非常に戦略的な事をしようとする人材の方々を選んでいるような印象を持ちます。Jリーグが25周年を迎え、この後の四半世紀の話が出ましたが、このメンバーでどのようなJリーグにしていきたいか、おおもとのところになると思うんですが、このメンバーでしていきたいことをざっと教えてください。
「Jリーグの理念を実現することをベースにおいて、この理事会は議論をしていきます。理念の実現に近づいているか遠のいているか、もしくは理念の実現にプラスに作用するのかしないのか。色々な意思決定を理念の実現に判断基準を置きながら、ワークしていければと思っています。
理念を構成する3つの要素の一つは、日本サッカーの水準向上および普及が第一項目にあります。日本のフットボールはまだまだ、例えばACLでもアジアの中でぶち抜いて強いレベルにあるわけではありません。Jリーグの選手がワールドカップの代表選手として中心的に人選されているわけでもありません。Jリーグの指揮を執る監督が、日本代表チームを指揮する監督として招聘されているわけではありません。
フットパスの得点もヨーロッパを100点とした場合、日本は40点レベルです。一定程度、日本の将来のフットボールの水準を占うところは 育成であることは間違いないため、この日本の育成を相当程度高く掲げていくことは、原さん中心に指揮していくことになります。これは今までの延長線上ではダメだと思っています。しっかり将来を見据えてイノベーションをしていきたいと思っています。これがフットボールについてです。
昨年発表されたフットパスの数値。ヨーロッパのトップクラブを100とした時のJクラブの数値。個の育成、タレントの発掘・獲得が非常に弱いという傾向が見られた。
中心になるのは、豊かなスポーツ文化の向上と国民の心身の健全な発達への寄与という、これがJリーグの中核概念です。今までJリーグに無かった社会連携本部を、今回の4月の組織人事で設けています。
Jリーグという54クラブまで広がったすそ野、プラットフォームを社会にどうやって活用いただくか。今まではクラブを通じて、ホームタウン活動を通じてクラブが施しをしてきたフェーズですが、それはまだまだ本当に社会に対してまだまだ効果を果たしていないと見ています。もっともっと社会の方々がこのプラットフォームを活用して、豊かなスポーツ文化を使っていくためには、逆からものを見ながら地域からとの関係性を再構築することになると思います。これがイノベーションになると思いますし、これを米田が中心に進めていくことになります。
いずれにしても、理念のひとつである『国際』ということについては、世界中とつながる理事会になりましたので、常に世界を意識しながら国際貢献、国際交流を果たしていきたいと考えています。ただ、何をやるにもプロの興行ですので、一定程度の財政的基盤が必要となります。スタジアム建設、デジタル化を動かしていくにも収益の確保が重要な要素で、ここが専務の木村が担っていくことになると思います。
一言で言って理念の実現、これに具体的に役割をアサインしたというのが今回の執行部の体制で、これを後ろから支えていただける識者の皆様に全面的にサポートいただくということになります」
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