【Jリーグ】「1年1年に将来を念じて種を撒くことを続けていこうと思っています(Jリーグ・村井チェアマン)」
「1年1年に将来を念じて種を撒くことを続けていこうと思っています(Jリーグ・村井チェアマン)」~1月のリーグの理事会より(2)~(『Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~』)
1月30日、JFAハウスにて1月のリーグの理事会が行われた。理事会後に記者会見が行われ、Jリーグ村井満チェアマンから決議事項・報告事項が発表された。
今回は理事会後の会見に出席した出席者のコメントをお届けしています。
本日は質疑応答部分を紹介しています。
○村井満チェアマン
Q:正式な就任は3月(※)かと思いますが、これまでの4年間チェアマンとして仕事をしてこられて、もしやり残したことがあれば教えてください。そして今後次の2年で重点を置きたいことも教えてください。(※3月に行われる、2018年度第1回社員総会で正式に就任する。)
「先ほどACL出場枠の話がありました。ACL出場枠が来年から本戦からが2枠、プレーオフからが2枠の2+2枠となります。私の在任中の競技成績の結果が芳しくなかったが故に、来年から2年間は2+2枠となります。フットボールの競技レベル、―特に今回中国が日本を超えて3+1枠を獲得したわけですが―隣国の中国等との競技面での戦いに十分に結果を残せなかったことが、非常に大きく、反省しているところでございます。
また、なかなか短期間では難しいことですが、スタジアム建設等でサッカーの発展にとても重要なスタジアムが、行政主導もしくはクラブ主導で動いていただいております。私のイニシアティブで加速できたとはいえないと思っています。そのあたりの環境整備については、まだまだ力不足だと感じておりまいた。
また、組織内部の話ですが、組織の形態やガバナンスを整えることに注力していて、時間を要してしまい、世界のプロリーグに比べると、(経営人材を含む各分野で)プロフェッショナルがまだまだ不足しています。本来人材系畑の出身の私としては、不本意だなと思っています。こうして数え上げるとキリがないと思っております」
【解説】
ACLの出場クラブ数はAFC CLUB COMPETITIONS RANKINGによって決定される。東西で1位と2位の国には3+1、3位と4位の国には2+2となっている。【解説】「制度上の問題で相当危機的な問題(村井チェアマン)」2017年のACLで日本勢が絶対に勝ちたい理由。
https://www.targma.jp/jwatcher/2017/06/01/post764/
Q:先ほどチェアマンに選考された理由でパフォームと契約についての評価があったと思います。そのあたりについて、過渡期ということもありますが、今後どのようにしていきたいと考えていますか?
「パフォームとの契約を締結したから続投という認識は、私もそうだとは聞いていませんし委員にも全くないと思います。パフォーム社とWin-Winの関係が続くように、契約は過去のことであって、これから両者がWin-Winになるような結果を残していくことが求められていることだろうと思います。D巨額の投資をいただいておりますが、我々がしっかりとリターンを返せるかどうか、私にはその点を問われているという認識です」
Q:理事会でお話をされた今後2年でやる取り組みや新しいものなど考えているものがあれば教えてください。
「まだ総会決議に向けたプロセスの第1段階ということで、その場で次の2年間の私のマニュフェストを問われたわけではありませんでした。今日の場はどちらかというと委員会の報告『決議をされた』ということをお伝えいただいたので、私どものほうから今後伝えていく、いくつかの節目はあると思います。
今年5月にはJリーグ25周年を迎えます。Jリーグアウォーズまで1年かけて25周年を祝っていくなど、いろいろな節目があると思います。
次の2年間をどうするというよりは、中長期のJリーグはどういう方向に行くべきなのかというところは、そうした節目の中でお伝えしていければと思っております。本日は特に各論はありませんでした。
Q:ここまで2期4年チェアマンを務めてきましたが、先ほどおっしゃったように川淵さん以降は歴代の先輩方が4年でチェアマンを交代されてきました。今回の再任で6年となりましたが、長期の体制はメリットもデメリットもあると思いますが、長い任期であることをメリットにするために、どんなことが大切だと考えていらっしゃいますか?
「結果的に5年目に入りますが、私は常々言っていますが、任期中にはいろいろな果実が花を開いていますが、それは例えば3代目の鬼武健二元チェアマンが集客に向けて『イレブンミリオンプロジェクト』などをクラブ横断で立ち上げて議論してきた結果が、ここのところにきて一つひとつクラブの自覚とか成果が花開いたり、。私の在任期間で入場者数が増えているかもしれません。自身の任期中に何かアクションしたことの果実が出るかどうかに思いを巡らせるよりも、例えば1年の間にどれだけ種を撒けるか。結局任期が長くても、任期中にはなかなか花が開くことばかりでは必ずしもありません。私の任期中には、吹田サッカースタジアム(現:パナソニックスタジアム吹田)のこけら落としがありましたけれど、私より前に井戸を掘った人たちの努力があって、たまたま私の任期中にそれが実ったということだと思います。任期が長ければ、いろいろな成果が出るとは感じてはいなくて、たとえ1年でも種はいくらでも撒くことができます。役割として、私に求められているのはどれだけその種を撒けるかというところだと思っております。月並みですが、1年1年に将来を念じて種を撒くことを続けていこうと思っております。
Q:任期2年は長いようで早いと思います。今おしゃった中でどんな種を撒いていきたいか、イメージしているものがあれば教えてください。
「サッカーの世界は、すべては人が織りなす世界です。選手・プレイヤーも経営者もそうですし、サッカー界には工場があるわけでもなく、特段の特許があるわけでもありません。人間が織りなす世界ですので、どれだけ人を育てていけるかが非常に重要な要素です。
Jリーグでは、経営人材育成を掲げ立ち上げたJリーグヒューマンキャピタルからはじまりSHC(スポーツヒューマンキャピタル)、独立法人化した現在と合わせて5期目に入りますが。育った人がすでにクラブの経営の現場で活躍するようなケースも見られるようになりました。将来チェアマンになりたいと宣言してくれる人もいます。今すぐに何かができるというわけではありませんが、確実にどこかで花を開くだろうな、という人もいます。
内側においても、公益社団法人のJリーグはその下に6つの関連会社がありました。それぞれ6通りの社長がいて6通りの人事制度があってプロパー社員がそれぞれいました。(各会社が)部分最適の中でやってきましたが、それを一つのホールディングスにまとめて全従業員の籍を移して、一つの評価基準に置き直したことは、ここで働く従業員のある種目線やベクトルを将来揃えることにつながり、将来必ず合ってくるものと感じています。物理的な社内のレイアウト変更もして、今はまだまだ混乱の極みですが、人に関わる部分は少し時間がかかると思っています。
また、重点施策に置いている選手育成も、日本はこれまで、選手育成を通じて結果を出したいと漠然と思っていましたが、世界と比べてどれくらいいけていないのかが明らかになっていませんでした。現在地のない地図に立っているような状況でした。
しかし、JFA・Jリーグ協働育成プログラム(JJP)で、まず初めに「フットパス」を通じてリーグやクラブの育成組織を客観的に評価し、世界と比較してみて、現状の課題が徐々に明らかになりました。ここからは、日本も早いと思います。そうした、選手であり、クラブ経営者であり、選手であり、組織であり、またチームスタッフであり、育成であり、という様々な人に関わる点で、少し一石を投じられましたし、これからもと思います」
※2017年2月の理事会後の記者会見
「(Jリーグには)6人の社長がいて、6通りの人事制度があって、6通りのプロパー社員がいて、それぞれがタコ壺の中にいる状態でした」
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