
【田村修一の視点】2025年9月23日 J1リーグ第31節 柏レイソルvsサンフレッチェ広島
J1リーグ第31節 柏0(0-0)0広島
19:03キックオフ 三協フロンテア柏スタジアム 入場者数 13,552人
試合データリンクはこちら
J1でトップレベルを誇るプレークオリティのチーム同士の対決。優勝を目指すうえで、どちらにとっても勝ち点3が欲しい試合だったが、互いに一歩も譲らす結果は無得点の引き分けに終わった。
拮抗した展開ながらも、ゲームの主導権を握ったのは広島だった。高いゾーンから敷くマンマークの守備が機能し、塩谷司をボランチに上げて戦いの場面で局面をリードし、ボール保持者と受け手に自由を与えずに柏のパス攻撃を分断した。ボール奪取後のトランジションもスピーディで柏ゴールに度々迫り、また良質なクロスから生み出される空中戦にも迫力があった。得点を奪えなかったのは、シュートがポストに阻まれるなどの不運もあったが、身体を張った柏最終ラインのディフェンス--特に古賀太陽--によるところも大きかった。
一方、前試合から中2日のスケジュールと、怪我人による戦力低下で厳しい戦いを強いられた柏だったが、終盤に両サイドを交代し、疲れの見える広島守備陣のスペースを突き始めてから一気にペースを掴んだ。特に右アウトサイドに投入された小屋松知哉は、縦横無尽に広島守備ブロックを引き裂き、幾度となくチャンスを作り出したが、こちらも得点を決めきるまでには至らなかった。
力の籠ったデュエルとプレーのスピードと強度。そして選手交代の戦術マネジメント。Jリーグのレベルの高さを実感できた試合だった。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。