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『槙野智章への一発レッド(札幌vs浦和)』は妥当なジャッジなのか?サッカー競技規則から検証する【石井紘人の審判批評】

しっかりと一分近く第四審判と副審とコミュニケーションをとった後で、槙野と都倉を呼ぶ。

浦和レッズのミハイロ・ペトロビッチ監督が解任された。

サッカーで「たら」「れば」を言ってもキリがないが、北海道コンサドーレ札幌との試合に勝利していたら。その敗戦に影響したであろう槙野智章が退場しなければ。

試合後、ペトロビッチ監督は、
「あまりレフェリーのことを言うのは好きではありませんが、若干、われわれに不利だったと感じましたし、相手ゴールキーパーはもう数枚警告をもらっていいくらい時間を使っていた。言い訳をするつもりはありませんが、レフェリングについて私はそういう印象を受けました。こうした展開の中では、自分たちの目指す勝利をつかむのは難しいと思います」(Jleague.jpより)
と語っている。

ということで、槙野がレッドカードを受けるまでの佐藤隆治審判団を批評したい。

佐藤主審のレフェリングの入りは良かったと思う。

・7秒、プレーできる範囲外から遠藤を押した都倉のファウル。

・3分、カウンターのチャンスになりそうな駒井のドリブルを裏から倒したチャナティップに警告。妥当なカードである。

・4分の横山が痛んだ興梠との接触は、プレー後のアクシデンタル的なものだ。佐藤主審は、7分のボールにプレーした阿部のフットボールコンタクトの見極めから李のホールドと基準を示していく。

・17分の武藤のファウルは、倒れた時のハンドリングだろう。宮澤はボールにプレー出来ており、かつ今日の基準から考えてもノーファウルだ。

・22分の柏木の腕もしっかりと見極めた。

・一方で24分のボールアウトは逆で、札幌のコーナーキックだったように思う。

・また26分のシーンは浦和からするとフィフティに感じたかもしれない。

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※画像は動画のスクリーンショットです。

・迎えた35分。左サイドでボールを受けた槙野がパス&ゴーでフリーランニングしようとした所で都倉と接触。槙野が起き上がり、走ろうとした左足が都倉の顔に入る。佐藤主審はクリアに見えていた訳ではないと思うが、何かが起きたのは察知し、試合を止めて、まずは介入して選手たちを離す(参考記事:レフェリーのカードマネジメントとは?)。そして、しっかりと一分近く第四審判と副審とコミュニケーションをとった後で、槙野と都倉を呼ぶ。

おそらく都倉が押し倒した行為の説明し、都倉も口元を見る限り「それは分かる」と受け入れていた。まず都倉に警告を掲出。その後で、都倉も「でもその後に」とアピールした槙野の足に対して、佐藤主審は【乱暴な行為】を適用し、一発退場とした。

乱暴な行為とは、身体的接触のあるなしにかかわらず、競技者がボールに挑んでいないときに相手競技者に対して、あるいは、味方競技者、チーム役員、審判員、観客またはその他の者に対して過剰な力を用いたり粗暴な行為を行う、または、行おうとすることである。
加えて、競技者がボールに挑んでいないとき、意図的に相手競技者やその他の者に対して頭や顔を手や腕で打つ場合、その力が微小なものでない限り、乱暴な行為を犯したことになる。

槙野に都倉の顔を蹴ろうとする意図があったかは分からない。

ただ、倒れている選手がいる中で、あの位置に足を出すと接触する危険性はある。
その点を審判団は考慮し、【過剰な力を用いたり粗暴な行為を行う、または、行おうとすること】とジャッジしたのだろう。

大きな判定があったことで、審判団へのプレッシャーが高まる。

・42分の興梠のスライディングは、テレビでも「しっかりとボールにいっていますね」と実況されたように妥当な判定だ。佐藤主審もヒートアップするベンチをしっかりとマネジメントする。ただ、26分の流れから39分の槙野へのレッドカード、そしてベンチからはファウルに見えたであろう42分のスライディングと続いたため、ペトロビッチ監督は不利な判定が頻発していたように感じたのかもしれない。

39分の適用に対し、是々非々の議論はあって良い。ただ、誤審とは言えないというのが私の見解である。またゴールキーパーの遅延行為に関しては、後ほどFBRJ(参考記事:FBRJとは?)にて記したい。

動画:【公式】ハイライト:北海道コンサドーレ札幌vs浦和レッズ 明治安田生命J1リーグ 第19節 2017/7/29