
【森雅史の視点】2025年9月7日 ルヴァンカップ準々決勝第2戦 川崎フロンターレvs浦和レッズ
ルヴァンカップ準々決勝第2戦 川崎 3(1-0, 1-2, 1-0, 0-0)2 浦和
19:03キックオフ Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu 入場者数 23,214人
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タイムアップの笛が残念な気持ちになる試合、できればこのままずっと見ておきたい激闘だった。
前半は川崎のペース。巧みなパス回しで試合の主導権を握る。18分、脇坂泰人が引っかけられて得たPKをエリソンが決めて川崎が先制した。浦和はカウンターから反撃するがゴールの臭いは薄かった。
ところがハーフタイムに中島翔哉が投入されると、試合の様相は大きく変わった。中島が作る「タメ」に今度は川崎が手を焼き浦和のペースに。川崎は疲れの見える選手を交代させようとしていたが一歩遅かった。74分、金子拓郎のクロスをイサーク・キーセ・テリンが足を伸ばしてゴールに流し込んで、とうとう同点に追いついた。
それでも88分、この時間でもキレのある伊藤達哉が得意の左サイドからカットインするとミドルシュートを決めて川崎が再びリードした。これで勝負あり。そう思われた90分、中島がゴール正面のFKを蹴る。美しい軌道で放たれたボールははGK山口瑠伊にとってノーチャンスと言えるコースに収まった。これで浦和はまたも同点。第1戦では終了間際に同点に追いつかれたが、第2戦では敗戦ギリギリのところから蘇った。
延長に入ると両チームの選手の足が止まった。足を伸ばしている選手が何人もでてくる。ギリギリの状態での対峙が続く中で迎えた96分、ペナルティエリアの中で伊藤がファウルを受け、川崎にはこの日2回目のPKを得た。これを宮城天がゴール右中央に決める。
残り24分、気力を振り絞って浦和が攻める。川崎は193センチの神橋良汰を入れてゴール前に壁を作って対抗した。激しいゴール前の攻防が繰り広げられ、両チームの選手たちは1プレーが終わるごとに息を整える。そして1秒1秒が選手たちの心と体を削っていく24分間は過ぎ去り、いつまでも浸っていたい試合が終わってしまった。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート