【森雅史の視点】2024年7月3日 J1リーグ第16節 横浜F・マリノスvsサガン鳥栖
J1リーグ第16節 横浜FM 0(0-0)1 鳥栖
19:03キックオフ ニッパツ三ツ沢球技場 入場者数8,504人
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ついにサガン鳥栖が危機感を剥き出しにした。
マルセロ・ヒアンに守備の役割はセットプレー以外与えず、前線でフリーにして得点を狙わせる。守備は5バックにしてスペースを埋め、これまでのように人数は揃っているけれども突破されてしまうという状況を消した。もっとも、そのため中盤からボールを奪いに行くという守備はできなくなり、パスが成功した本数も減った。それでも鳥栖というクラブの本来の持ち味の走行距離の長さやスプリント回数は増え、カウンターアタックが奏功するようになった。
そんな狙いが的中したのが54分。マルセロ・ヒアンがボールを収めている間に逆サイドを横山歩夢が突き、流し込んでゴールを奪う。そしてそのあとはゴール前をしっかり固めて勝点3を積み上げ、降格圏を脱出した。
もっともこの鳥栖の勝利は、横浜F・マリノスに助けられた部分がある。連戦の疲労のせいか、横浜FMのスピードが出ない。また、サイドに展開した後はどうするのかという点は、外国籍選手の間では感覚が共有できているものの、日本人の選手が絡むと曖昧さが残る。せっかく宮市亮を入れても、その後どうするかという策は見えなかった。
そんなチームに活を入れようと、喜田拓也がボールを追い回し、雄叫びを上げて選手たちを鼓舞する場面があった。そしてその声に確かに反応した選手たちがいた。横浜FMはぐったりしているが、息の根が止まっているわけではない。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート