J論 by タグマ!

【田村修一の視点】2025年4月25日 J1リーグ第12節 FC東京vsガンバ大阪

J1リーグ第12節 FC東京3(0-0)0ガンバ大阪
19:33キックオフ 国立競技場 入場者数 44,519人
試合データリンクはこちら

 

 

サッカー、あるいはスポーツに起こり得ることとはいいながら、めったに見ることのない最終盤の劇的な展開の末に試合は結末を迎えた。

 

前半は開始早々のG大阪の攻撃を凌いだ東京のペース。左サイドを起点にG大阪ゴール前に迫った。セットプレーを任された15歳北原槙の溌溂としたプレーも光った。

 

後半はG大阪がペースを握り返した。特に第2列の満田誠とファン・アラーノの幅広い動きに、トップのイッサム・ジェバリも連動して幾度となくチャンスを作り出す。東京は積極的な選手交代により流れを変えようと試みるが、さしたる効果なく試合は終盤まで進んだ。

 

個のプレーの強度、モチベーションの強さは感じられるものの、そのどちらも攻撃におけるチームの連動性、トランジションを含めたプレースピードに昇華できないところに、両チームが下位に低迷するもどかしさがよく現れていた。ところがこのまま好ゲームのまま引き分けて終了するかと思われた試合は、ひとつのプレーを契機に大きく動いた。86分、競ったこぼれ球を拾った小泉慶のパスを受けた俵積田晃太がほぼ60mを独走してG大阪のペナルティエリアの侵入。右足から放ったシュートがゴール右隅に突き刺さり東京が先制点を挙げた。勢いを得た東京は90分、高宇洋の技ありのミドルシュート、さらには94分にも俵積田のシュートが相手のオウンゴールを誘い、東京が第3節名古屋戦以来となるリーグ戦3勝目を手にした。

 

東京にとっては、浮上のきっかけとなり得る勝利。一方のG大阪には、受け入れがたい敗戦となった。G大阪は、22分にジェバリがあげたゴールが、VARによるオフサイド判定で取り消しとなったのが痛かった。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。