
【六川亨の視点】2025年4月20日 J1リーグ第11節 浦和レッズvs横浜F・マリノス
J1リーグ第11節 浦和3(1-0)1横浜FM
16:03キックオフ 埼玉スタジアム2◯◯2 入場者41,981人
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4月に入り2分け3敗と黒星先行の横浜FMは、今シーズンから指揮官に就任したスティーブ・ホーランド監督を解任。ヘッドコーチのパトリック・キスノーボに全権を託して浦和戦に臨んだ。しかし「監督の解任により24時間でこの試合に向かったので、たくさんの修正は難しい」のも確かである。まずは失点を減らすため、「前からの(プレスの)強度を上げていこうと選手には伝えた」そうだ。ただ、試合開始1分に右MF宮市亮が左SB長沼洋一との空中戦で脳しんとうを起こし、ヤン・マテウスと交代せざるを得なかったのは誤算だったに違いない。
90分間を通じて試合を支配していたのは浦和だった。しかし決定機の数とシュート数は互角。こうした競った試合で明暗を分けたのは、“飛び道具”と言われるセットプレーからの得点だった。浦和は第10節の町田戦(4月13日)と第20節(4月16日)の京都戦で、いずれも右CKから先制点を奪っていた。そしてこの日も前半アディショナルタイムにマテウス・サヴィオがFKを直接ねじ込み先制点。さらに後半開始1分にはCB諏訪間幸成のクリアミスを渡邊凌磨が見逃さずに無人のゴールに押し込み追加点を奪った。前線からのプレスを遂行した渡邊の“チームプレー”が生んだゴールであり、自陣ゴール近くのスローインをCBに投じた右SB松原健の“意外性”がもたらしたゴールでもあった。
浦和は試合終了間際にも原口元気の左CKからの流れでダニーロ・ボザがダイビングヘッドでダメ押しの3点目。拮抗した試合でのセットプレーからの得点による勝点3奪取と、中3日での連戦でも「スタメンは変えないというリスクを冒して今日は臨んだ。ベストイレブンと言える11人をスタメンから使った」とマチェイ・スコルジャ監督が言うように、“勝利の方程式”を確立しつつある。ホーム5連戦で連勝スタートとなっただけに、残り3試合も埼スタを沸かせることができれば、首位奪取の可能性も大である。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。