【森雅史の視点】2024年4月21日 J1リーグ第9節 FC東京vsFC町田ゼルビア
J1リーグ第9節 FC東京1(1-2)2町田
15:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者30,811人
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町田の強さの源とともに課題が浮き彫りになった試合だった。
14分、前日練習でも同じ形で決めたというナ・サンホが仙頭啓矢のCKをファーサイドで蹴り込んで先制した。だが21分、ペナルティエリア内でのハンドでFC東京にPKを与えると、これを小柏剛がGK谷晃生の手を弾いて決めて同点に。だがそのわずか4分後、ドレシェヴィッチのパスに望月ヘンリー海輝が追いついて折り返すと、オ・セフンがダイビングヘッドで合わせて勝ち越しゴールを奪う。
今シーズン、先制点を奪ったゲームでも前半リードした試合でも負けていない町田はこれですっかり逃げ切り体制に。後半は粘り強くFC東京の攻撃を凌ぐと、首位に返り咲いた。チーム全員が勝利という目標に向かって一致団結し、最後まで体を投げ出す献身性を忘れないという町田の良さが出たと言えるだろう。
だが、勝利は収めたものの後半は守り一辺倒で後半のシュート数はわずかに1本。FC東京ゴールを脅かすことなく終えた。前半からのオーバーペースがたたり、後半は相手のボールを追うだけになってしまったのだ。J2時代はここまでペースが落ちることはなかったので、J1ではまだギリギリ対応できている段階ということなのだろう。今の季節は90分間持つかもしれないが、もう少し気温が上がってくれば厳しくなりそうだ。
普通に考えると、この状況に陥らないためには前線付近で時間を作れることが必要になる。確かに個々人は奮闘したが、チーム全体としてもう少しボールをどうやって保持していくかということを考えなければいけないだろう。パスワークのファンクションはいくつか出来上がっているが、あまりアタッキングサードでは見られない。もっともこれはチームとしても分析できているだろうから、今後はきっとトレーニングを含めて新しい要素が加えられるに違いない。
試合のMVPはドレチェヴィッチ。望月に通したパスは日本サッカーリーグ時代ならダブルアシストの1本目として認められる好配球だった。もちろん守備での貢献度の高さは言うまでも無い。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート