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【田村修一の視点】2024年1月19日アジアカップ イラク代表vs日本代表

アジアカップグループステージ イラク代表2(2-0)1日本代表
20:30キックオフ エデュケーションシティ スタジアム 入場者38,663人
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日本の完敗だった。後半アディショナルタイムの得点までチャンスらしいチャンスも作れず、武器であるハズのパスワークとインテンシティの高いスピーディな攻撃は、イラクの組織的かつ個の力の強い守備により分断され封じ込められた。

試合後、自国選手たちのファイトを称えたイラクメディアに対し、イラクのカサス監督は「戦いとプレーのバランスをとることが重要だ」と語った。対して日本は、そのバランスが取れていたのか。

すべてをロジックに還元し、問題点を合理的に解決しながらプレーも構築していく日本の方法論は、やり方としては絶対的に正しい。だが、スポーツはそれだけではない。《生きるか死ぬか》の戦いが求められる場面がどこかにある。それがグループリーグの第2戦であるのかどうかは判断が分かれるが、少なくともイラクはそんな戦いを挑んできた。

気力を全面に出してきた相手——もちろん技術や戦術の裏付けは必要だが——に対して、森保ジャパンは受け身に立ち対処しきれないことがしばしばある。4年前のアジアカップ決勝がそうであり、イラク戦でも同じことが繰り返された。選手たちはいつ目を覚ますのだろうか。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。