【六川亨の視点】2023年11月25日 J1リーグ第33節 FC東京vs北海道コンサドーレ札幌
J1リーグ第33節 FC東京1(1-0)3札幌
14:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者26,945人
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前半はていねいにパスをつなぎながら分厚い攻撃を仕掛けた札幌。最終ラインを高く保ちつつ、守備的な選手でも果敢にオーバーラップした。それは逆にFC東京が得意とするカウンター攻撃の餌食ともなった。ペトロヴィッチ監督が「両チームとも攻撃的な、魅力あふれるサッカーで、サポーターも楽しめたのではないか。前半はチャンスの多い、攻め合う展開になった」と納得顔で振り返ったのも頷ける。前半41分にはアダイウトンのドリブル突破から、ディエゴ・オリヴェイラが技ありのコントロールシュートを左ポスト際に決めてホームチームが先制した。
ところが後半開始と同時にペトロヴィッチ監督は3BKの左サイドに中村桐耶、左MFにスパチョークと2人の選手を同時に交代。するとこの交代策がズバリ的中する。中村は深くまで攻め込まず、高い位置からスルーパスを供給して後半6分と12分に浅野雄也、小柏剛の2ゴールをアシストした。さらに後半アディショナルタイムの90+1分、今シーズン4試合目の出場となった大森真吾をピッチに送り込むと、「大迫が浦和戦で決めたような」(ペトロヴィッチ監督)、40メートルあまりの超ロングシュートをGKの頭越しに決め、記念すべきJ1リーグ初ゴールを奪取した。
アウェーに続き(1-5)、ホーム最終戦でも完敗したFC東京にとっては、松木玖生とエンリケ・トレヴィザンを出場停止で欠いたのは痛かった。ただしリザーブメンバーに、相手にとって脅威となるような攻撃的な選手がいなかったのも事実である。来シーズンに向けて、攻守に補強の必要性を感じた今シーズンの低迷でもあった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。