【六川亨の視点】2023年8月26日 J1リーグ第25節 FC東京vsヴィッセル神戸
J1リーグ第25節 FC東京2(1-0)2ヴィッセル神戸
19:03キックオフ 国立競技場 入場者数48,634人
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後半アディショナルタイムの表示は13分。今シーズン取材したJ1リーグで最長のアディショナルタイムだ。その理由は両チーム合わせて9人の選手交代があったことに加え、2度のVAR判定から2度ともフィールドオンレビューを実施したからだった。
まず19分、長友佑都の右クロスがDFに当たって右CKになったと思われたが、ここでVARが入り、オンフィールドレビューの結果、長友のクロスはCB本多勇喜の手に当たっていることが判明。FC東京にPKが与えられるまでに5分を要した。松木玖生のシュートはGK前川黛代が左に飛んで弾いたためFC東京は追加点を奪う好機を逃す。そして42分、武藤嘉紀の決定的なヘディングシュートはGK野澤大志ブランドンが左CKに逃れたものの、その前のプレーでペナルティーエリア内に倒れているジェアン・パトリッキへファウルがあったかどうかでVARが入った。こちらもフィールドオンレビューまでに6分を要し、主審の判定はGK野澤に反スポーツ的行為があったとして神戸にPKが与えられた。
大迫勇也の同点ゴールは公式記録によると90+2分。そして第4の審判員からアディショナルタイム13分が表示された。90+10分にはアダイウトンがドリブル突破から勝ち越しゴールを決めたが、粘る神戸は90+14分に大迫のヘッドの折り返しを山口蛍がボレーで決めて再び同点に追いつく。そしてここでもVARが入ったため、アディショナルタイムはさらに延びた。手元のストップウォッチで試合が終わったのはアディショナルタイム16分を過ぎてから。両チームの選手とも、前半のアディショナルタイムを合わせると20分以上のハードワークを強いられた消耗戦だったが、ファン・サポーターにとってはスリリングな試合だったのではないだろうか。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。