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【森雅史の視点】2022年8月31日 J1リーグ第20節 川崎フロンターレvsサガン鳥栖

J1リーグ第20節 川崎4 (1-0)0 鳥栖
19:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数 13,923人
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この試合までの両者の得点数は川崎の40点に対して鳥栖は37点。だが時間帯別の得点を見ると川崎が前半19点、後半21点とばらつきがないのに対して、鳥栖は前半14点、後半23点と極端に後半が多い。また川崎は28失点のうち前半は10点、後半は18点。鳥栖は29失点のうち前半12点、後半17点と分布だけ見れば同程度ということになる。となれば、チーム平均走行距離でリーグトップを走る鳥栖は後半まで粘れば、数字上チャンスがありそうに見える。

前半終了間際のマルシーニョの得点がオフサイドで取り消され、川崎に1点のリードを許しだだけの状態だったら鳥栖にまだチャンスがあったかもしれない。しかし、47分、56分と立て続けに失点してしまっては、じらしのテクニックを持つ川崎相手になすすべはほぼなかった。この日までの得失点以上に両者には差があった。

鳥栖で目についたのは危険な地帯で無理なプレーをしてボールを失い、そこから逆襲されてしまうこと。1失点目はその象徴で、リスクヘッジしない場面でのロングフィードをカットされてショートカウンターを受けてしまった。だがそんな場面でも川井健太監督は選手に厳しいことをいうでもなく見守っている。

「失敗は僕も望んでない。だけど成功すればオッケーです。無謀かチャレンジの言葉の違いだけは認識してあげなければいけない。1失点目も意図がないわけではなかったので、それはチャレンジだと思う。そういうところを成功させるようなことをやり続けていて、そこは時間がかかる。チーム、クラブが前に出ていかなければいけないときなので、失敗を言うのはもっと先でいい。勝ち負けの価値を低くしているわけではないが、そこは考えている」

川井監督はいつもどおり淡々と語った。確かにこの日の鳥栖は手痛い敗戦になったが、それでも前は見ていることだけは明らかだった。

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート