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【森雅史の視点】2021年10月24日J1リーグ第33節 川崎フロンターレvs清水エスパルス

J1リーグ第33節 川崎フロンターレ 1(0ー0)0 清水エスパルス
17:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数11,576人
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清水エスパルスはこの敗戦をどう捉えるのか。

清水の、ラインを高く保ち川崎の守備体系が整わない間に素早く攻めようという意図は、前半30分までうまくいった。少なくとも川崎の攻撃を不活性化していたのだ。サイドの攻防も後手に回ることなく、バタつきは見せながらも封じ込めていたと言えるだろう。もっともチアゴ・サンタナが1人でジェジェウと谷口彰悟を相手にしなければならないという状態では前線に起点が作れず波状攻撃は望むべくもなかったし、後半になれば疲労の色が濃くなるのは必然だったと言えるだろう。

後半の立ち上がり、川崎がいきなりテンポを上げてゴールを奪うと、次第に清水は耐える時間が長くなる。もっともロティーナ監督にとってそれは織込み済みだったはず。勝負は前線の形を変えたあとと考えていたのかもしれない。だが川崎には隙がない。後半交代出場したのは他のチームにとっては羨ましいばかりのメンバーだった。元日本代表が4人(小林悠、大島僚太、車屋紳太郎、山村和也)畳みかけるように出てくれば、清水は守備に専念せざるを得なかった。清水の選手の集中力は高く、川崎になかなか決定機は作らせなかったが、自分たちも決定機をつくることは出来なかった。

負けるとしたら1点差の敗戦が悪い中でも最善と言える。まだ残留圏に留まっている清水にとってこの終わり方は、一番望むものではなかったはずだ。だが、シーズンが終わるときに大きな意味を持っているかもしれない。一方、負傷者が戻ってきて川崎には優勝に向けてブーストがかかった。負ける要素を探すことは出来なかった。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート