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DAZNがもたらす進化し続ける「観戦スタイル」2018年はどのように変化するのか?【Jリーグキックオフカンファレンス・レポート】

あっさりと覆された視聴スタイル

2月15日、2018Jリーグキックオフカンファレンスが開催された。全54クラブから選手、監督が集まり各ブースを彩る。すべてを支えるのはJリーグ。そして大きなブースを設置していたDAZNである。

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▼インタビュアー・鈴木啓太氏

 選手たちが壇上に並ぶ。J1、J2、J3に続き、ダービーマッチのフォトセッションが始まる。エリアごとに複数のクラブを集めた5つのダービーは、何か特別なイベントがありそうな期待感がある。各クラブブースでは、テレビで見たことがある実況陣や、クラブ番組のMCが選手たちと談笑をしていた。鈴木啓太さんが、各クラブブースを巡っている。選手たちにインタビューをしているそのマイクには、DAZNのロゴがあった。

「すべての試合の中継を昨年していただきました」

 村井満チェアマンは、挨拶の一番最後にDAZNについて触れる。2018シーズンも同じくすべての試合がDAZNで放送される。「フェアでタフで、最後まで相手をリスペクトした、子どもたちに見せられるサッカーをぜひ約束してほしい」と監督へのメッセージを贈り、挨拶を終えた。締めの言葉につなげるポジションは、DAZNが重要なポジションであることがうかがい知れた。

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▼あっさりと覆された視聴スタイル

 そのDAZNブースは少し離れた場所で存在感を放つ。ソフトドリンクを無料で配布しているカウンターの前で、「今年は1044試合中継します」と制作本部長・水野重理氏が応えてくれた。そして「ゼロからのスタートだったので、いろいろと大変でしたが、ほぼ計画どおり物事が進んでいる」とアカウントディレクター、ディーン・サドラー氏も応える。「映像の部分だけではなく、自らコンテンツを制作をして全体的なコンテンツも増えたと思います。1年前と比べて視聴者数とも倍以上を記録していますし、成果があったと思います」と1年を振り返った。

 テレビからネットへ移行する。1年前、未知なるものへの不安は自分の中にもあった。「慣れていただいた感じはありますね」と水野氏は、いま自分がスマホでJリーグを見ることが普通になっていることを察しているように話す。

「ハーフタイムの時にハイライトをチェックされたり、帰りの駅に行く道すがらの混雑の際にご覧になっていただいています。自宅に帰られてもう1回見逃し配信でご覧になっている方も多いですね」といろいろな状況下での視聴を説明する。そして、もう1回見るその自宅では「大画面でご覧になられている方の割合も増えています」と機器による違いもある。「平日の視聴者も多いです」と、土・日に見ることができなかった人や複数回見ている人がいることも教えてくれた。そして、サドラー氏は言った。

「インターネット配信というのは映像を供給する手段に過ぎません。通勤や通勤はスマホで、家に帰ったらタブレットや大画面で見ることができますので、ファンの方の生活にあったスタイルで視聴されています」

 1年前の自分に言いたい。現在はPCやスマホを使っていろいろな場所で見ていると。自らの視聴スタイルが、あっさりと変わっていたことをあらためて実感していた。

 そして、今季から金曜日開催、フライデーナイトJリーグが始まる。DAZNとしても、新たな挑戦が待っている。

「土日だけではなく、少し試合の分散をすることによって観る機会が増えます。サッカーに興味あっても、週末の時間を使ってスタジアムに足を運ぶことが難しい方もいらっしゃると思います。金曜日の夜に仕事帰りに居酒屋へ行くよりも、気軽にスタジアムに行ってビールを飲みながら応援していただければと思います。通常の週末にないようなイベントを開催したいですね。生活の習慣の中に、金曜の夜に観戦が入っていただきたいです」

 ここでもサドラー氏は、生活の習慣、スタイルについて触れた。恐らく、1年後の自分にはなじんでいることだろう。

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▼進化し続けるコンテンツ

 今季、DAZNは昨年同様に放送をする。だが、昨年同様ではない。

「昨年、J1が9カメのスペックだったんですが、今季は標準が12カメになります。ゴールネットのカメラが2台増えるのと、ピッチサイドのゴール脇に1台増えます」

ピッチサイドのカメラは、さらに試合中の選手の表情を見ることができる。水野氏はカメラを増やすこと以外に、試合以外の番組についてもバージョンアップを考えていた。

「プレビューショーは昨年同様に、週末の試合に向けて期待感を同じような形でやっていきます。試合後のレビューショーは、テンポアップしてブラッシュアップしてやっていきたいですね」

 そして「機会があれば」とさらなる構想を持っている。昨シーズンあった、FC東京の密着ドキュメンタリーのような特別番組のようなものは、とお願いのような質問にそう応えてくれた。

 今年もDAZNでいくつもの試合を観るだろう。新しいJの楽しみ方が増えるだろう。そして、またすんなりと自らのスタイルに入ってくるだろう。そう思っていた矢先に、DAZNの新しいCMの発表会が始まっていた。