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【六川亨の視点】2021年5月19日 ルヴァンカップグループステージ第6節 浦和レッズvs横浜FC

ルヴァンカップグループステージ第6節 浦和レッズ2(1-0)0横浜FC
19:03キックオフ 埼玉スタジアム2○○2 入場者数4,252人
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4チームにプレーオフステージ進出の可能性があったルヴァンカップのグループCのステージ最終戦。それまで3位だった浦和が横浜FCに2-0と勝利したことで勝点を9に伸ばして首位に浮上。湘南は柏と1-1で引き分けて勝点を8として2位に滑り込んだ。3位は勝点7でストップした横浜FC、そして最下位は勝点6の柏となった。

湘南は6月5日にFC東京と、浦和は6月6日に神戸とプレーオフステージ第1戦を戦い、第2戦は6月13日に開催される。

球際の激しさ、粘り強さ、攻守の連動性などチームとしての完成度の差が出た試合だった。開始早々の3分に小泉の突破から関根の先制点で浦和が先制。後半立ち上がりは横浜FCのシステム変更(4-4-2から3-4-3)に戸惑ったものの、16分に汰木が技ありのカットインシュートを決めて勝利を確実なものにした。

こうなると試合の興味はベンチにいる“キング”カズがいつ交代でピッチに立つかということ。そして早川監督の決断は早かった。26分に小川と交代で前線に入る。4月28日の柏戦に続くルヴァンカップ出場で、54歳2ヶ月23日と最年長記録を更新した。

しかしボールに触ったのは42分に左タッチラインで味方にショートパスを出した1回だけ。それ以外は浦和DF陣のパス回しにプレスをかけることに労力を費やした。味方ボールになると、一瞬の動きでマークを外してフリーになる場面が3回ほどあったものの、味方からパスが出てくることは1度もなかった。

パスが出てこなければフラストレーションが溜まってもおかしくない。それでも文句を言わず黙々と自身のやるべきことを遂行した。

4分のアディショナルタイムの後に試合終了の笛が鳴ると、そばにいた浦和のベテラン阿部とグータッチをした。後半戦に向け、両チームの選手が出てくる際もカズは横浜FCの選手だけでなく、浦和の選手にも声をかけながらグータッチをした。興梠などはつい頭を下げていた。

カズの凄さは、ベテラン選手ほど知っているのかもしれない。そして、難しいとは理解しながらも、誰もがカズのゴールを期待しているのではないだろうか。それは彼の出場に暖かい拍手を送った浦和サポーターも同じ気持ちだったに違いない。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。