【六川亨の視点】2021年4月24日J1リーグ第11節 FC東京vsサガン鳥栖
J1リーグ第11節 FC東京 1(0ー2)2 サガン鳥栖
14:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数4,914人
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試合後、リーグ戦では3連敗となり、当該対戦成績でも4連敗となった鳥栖戦を振り返り、長谷川監督は次のように語った。
「鳥栖(の1点目)はピンポイントのクロスと酒井の高さがあった。2点目はベンチで見ていて寄せが甘いと見ていたら打たれた。相性というか、鳥栖戦はスーパーミドルが何発も入っている。相性とか否めないのかな」
鳥栖の先制点は、右サイドでパスを受けた樋口がトラップして顔を上げた瞬間、ゴール前の酒井が右手を上げてクロスを要求。2人のアイコンタクトが合致したビューティフルなゴールだった。
そして決勝点は、FC東京陣内のミドルサードで森重のボールを奪った仙頭が右に展開し、松岡のパスを受けた樋口がドリブルから右足で鮮やかなミドルを突き刺した。
長谷川監督が指摘したように、後追いとなった東は追いつけず、左から寄せた小川もブロックが間に合わなかった。結果論ではあるが、東はファウル覚悟で止めるべきだったかもしれない。
それにしてもFC東京は昨シーズンも鳥栖にスーパーゴールを決められている。2020年8月1日のホームゲーム(2-3)では、明治大卒のルーキー森下に左足のロングシュートから2点目を決められた。試合後の指揮官は「もう情けないです」と言うしかなかった。
さらに同年9月27日のアウェーゲーム(0-3)では、森下のカットインからのシュートや内田にミドルシュートを決められ完封負け。「今日はすべての面で鳥栖が上回った。完敗です」と長谷川監督は肩を落とした。
そんな2020年8月1日の試合は、当日にPCR検査で鳥栖の選手に新型コロナの感染者が出て、当該選手はメンバー外になったものの、濃厚接触者の特定ができないため鳥栖が試合中止を申し入れた。しかしJリーグの判断で試合が開催されるという状況で、長谷川監督は試合の開催に疑問を呈した。
そして時は巡り、東京を始め4都府県に緊急事態宣言が発令され、Jリーグも5月11日まで無観客での試合開催を余儀なくされた。相性の悪さを含め、FC東京にとっては何かと因縁のある鳥栖戦と思わざるをえなかった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。