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鹿島の勝負強さを警戒する柏木と中村。『最後に勝ったチームがチャンピオン』と気合を入れる植田【チャンピオンシップ合同記者会見】

ブレないサッカーをしていきたいと思います

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▼松木氏が会場を盛り上げる
11月17日、東京都内にて、Jリーグチャンピオンシップ合同記者会見が開催された。まず、村井満Jリーグチェアマンが会見の冒頭で挨拶の席に立ったあと、チャンピオンシップ出場チームである浦和レッズ、川崎フロンターレ、鹿島アントラーズから各選手1名ずつが登壇し、テレビ放送各局からの代表質問に応じた。

質疑応答の回答を通じて、浮き彫りとなったことは、「四半世紀で17個ものタイトルを獲っているクラブ」(村井チェアマン)鹿島に対する強い警戒心だった。「伝統ある鹿島が相手で彼らは勝負強い」(川崎・中村憲剛)。「鹿島は勝負強さを持っているので、対戦するのは嫌」(浦和・柏木陽介)。準決勝で鹿島をホーム等々力陸上競技場に迎える川崎も、決勝で待ち構えている格好の浦和も、Jクラブ最多のタイトルホルダーに対して、短期決戦となるチャンピオンシップでの警戒心を隠さなかった。

会見の終盤には昨年度の大会に引き続いて、チャンピオンシップのアンバサダーを務めた松木安太郎氏が登壇した。登場するなり、松木氏は柏木、中村、植田直通といった各3選手に”名刺”を配布。「1枚では、なんなので……」と言いながら、例えば柏木には、日頃からひいきにしている浦和の有名な鰻店のスタッフへ名刺を渡すように依頼するなど、会見場を和ませた。3選手とのトークセッションでは、「(3チームによる)今年の対戦は全部アウェイチームが勝っている」(松木氏)データを引き合いに出し、川崎の中村に「嫌なこと言いますね」と煙たがられていた松木氏。日本代表でのテレビ中継の解説時と同様に、随所にネタを織り交ぜて、会場を盛り上げるなど、アンバサダーとして、チャンピオンシップの認知度向上に余念がなかった。

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■村井 満チェアマンコメント
「今回はチャンピオンシップはたいへん楽しみなチームが並びました。鹿島アントラーズは四半世紀の中で、17ものタイトルを獲得しているタイトルホルダークラブで屈指の勝負強さを誇るクラブであります。今回はチャンピオンシップの優勝を狙って万全の準備をしていると聞いています。

年間2位の川崎フロンターレは、屈指の攻撃力を誇るチームです。リーグ戦では最多得点を記録しています。シルバーコレクターと言われてきましたが、今回は最もリーグタイトルに近い位置にいます。風間監督5年間の集大成となりますので、クラブをあげて、臨んでくると思います。

そして浦和レッズは見事、年間勝ち点1位、セカンドステージも制覇しています。最少失点で手堅いチームになっていますし、勝負強さも兼ねそなえるなど、近年にはないチームに仕上がっています。その3チームが激突するということで、たいへん楽しみなカードが実現することになりました。今回の大会開催にあたっては、明治安田生命保険さまにたいへんお世話になっております。職員、お客さんの20万人の方々をスタジアムにお連れいただきました。各国例を見ないリーグとのスポンサー関係であります。非常に心強いご支援をいただいています。この場を借りて御礼申し上げます。

また、各放送局の方にもお世話になっております。スカパーさまにはJ1、J2全試合を放送いただき、J3も中継していただきました。今回のチャンピオンシップも全試合放送いただきます。ありがとうございます。

そして、準決勝はNHKさま、決勝の第1戦はTBSさま、第2戦はNHKさまでの放送で決勝に関しては、ゴールデンタイムでの放送となります。この場を借りて、みなさまにも感謝を申し上げたいと思います。今回大会にあたってのメディアの方々にもお力添えをいただいていますが、今回もなにとぞよろしくお願いいたします。すべての方々に感謝を申し上げて、私の挨拶に代えさせていただきます。どうもありがとうございました」

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(以下、代表質問)
—まず、鹿島の植田選手に質問です。鹿島はファーストステージ優勝という結果を出しましたが、その一方でシーズン終盤は苦しんだ時期もありましたが、23日の準決勝に臨む意気込みをお願いいたします。

■DF 23 植田 直通(鹿島)
「ファーストステージは優勝できましたが、セカンドステージはふがいない結果に終わってしまいました。すごく悔しい思いもしましたが、ここからのチャンピオンシップはまったく別物だと思っています。最後に勝ったチームがチャンピオンだと思いますので、23日の準決勝に向けて、良い準備をして挑むだけです」

—続きまして、川崎フロンターレ中村憲剛選手に質問です。今季は川崎のスタイルを確立するシーズンだったと思いますが、その確立したスタイルをいかにして、準決勝で表現しようと思っていますか?

■MF 14 中村 憲剛(川崎)
「風間さんが来て、4年。チームに戦い方は浸透しましたし、メディアさんの評価もいただけるようになってきたと思いますが、それを23日の試合でホームで鹿島相手にいかに出せるかだと思います」

—川崎はリーグタイトルに近付いています。風間監督ら、今季限りでクラブを去る人たちもいるため、タイトルへの思いは人一倍強いのでは?
「自分たちで培ってきたサッカーがありますし、今季に関しては、クラブ創設20周年という特別な年で川崎市民やファン・サポーターなど、いろいろな方々の思いを背負って戦ってきました。それをみんなで形にしようというシーズンで、自分たちで優勝するチャンスをつかみ取れました。結果を持って、川崎に帰りたいという思いは強いですし、それはフロンターレに関わるみんなが思っていることです」

—続きまして、柏木選手に質問です。浦和としては年間1位の先のチャンピオンシップこそ欲しかったタイトルだと思いますが、あと2試合となりました。昨季のチャンピオンシップではかなり悔しい思いもしたのでしょうが、昨年のことも思い出しながら、チャンピオンシップへの思いを聞かせてください。

■MF 10 柏木 陽介(浦和)
「非常に悔しかったですね。今季は引き分けでも決勝に上がれるというレギュレーションですが、昨季は(レギュレーションが違ったため、90分の引き分けでは)決勝まで行けずに、最後に点を取り切れなかったという悔しさも残ったので、この一発勝負の難しさを感じた試合でした。今回は年間1位のチームとして、2試合だけ戦うというような状況で迎えるチャンピオンシップです。ホーム&アウェイという昨季とは違う形になりますし、勝ち上がってくるチームが1試合をこなしているぶん、難しくなるのかなと。勢いのあるチームのほうが良いサッカーをするのかもしれませんが、今年1年間自分たちがやってきたことを振り返りながら試合に臨めれば、勝利につながると思います。ブレないサッカーをしていきたいと思います」

—中村選手と植田選手にお聞きします。準決勝を勝ち抜くために、最も必要だと思っていることは何でしょうか?

■MF 14 中村 憲剛(川崎)
「ホームの等々力で試合をできることは僕たちにとってはすごく大きなことです。等々力はサポーターの方々が良い雰囲気を作ってくれますし、後押しになって僕たちの力になります。伝統ある鹿島が相手なので、彼らは勝負強さも知っています。勝ちたいという気持ちで上回ることが必要なのかなと」

■DF 23 植田 直通(鹿島)
「僕たちはアウェイゲームになりますが、たくさんのサポーターが詰めかけて良い雰囲気を作ってくださるので、選手全員で一致団結して戦えればいいのかなと思います」

—柏木選手へ質問です。準決勝を勝ち上がってきたチームのほうが勢いはありますし、決勝で待ち構えている状況ですと、試合勘の問題も出てくると思いますが、待ち受ける立場としてはいかがでしょうか?

■MF 10 柏木 陽介(浦和)
「正直、浦和というチームは時間を置けば置くほど、勝てないと今までも散々言われてきました。その難しさはありますし、どのモチベーションで臨めばいいのか、不安に思う部分もあります。チャンピオンシップは最後の戦いで、鹿島か川崎という素晴らしい相手が勝ち上がってくるので、それをいつも頭に置いて準備をしていければと思います。23日の準決勝、2チームの良いゲームを見て、『オレらもやらなあかんな』と思わせてくれるでしょうから、それを刺激に変えて、残り2試合で良いプレー、良い試合をして結果につなげたいと思います」

—柏木選手への質問です。10年ぶりのリーグ優勝に関して、選手たちはどのように思っているのか、選手たちの思いを聞かせてください。
「セカンドステージを獲ったときは全員がうれしいという様子ではありませんでした。でも年間1位を獲ったときはポジティブな感情が生まれていましたし、年間1位になったときに『ワー!』と喜びたかったということを選手たちで話してきました。僕もタイトルを獲りに浦和へ来ていますので、現状には満足していませんし、申し訳ない気持ちもあります。チャンピオンシップで優勝することで、『今年1年は浦和が強かったな』と、思われるような1年になると思うので、全力を出して良い結果を残したいと思います」

郡司聡

茶髪の30代後半編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部勤務を経て、現在はフリーの編集者・ライターとして活動中。2015年3月、FC町田ゼルビアを中心としたWebマガジン『町田日和』を立ち上げた。マイフェイバリットチームは、1995年から1996年途中までの”ベンゲル・グランパス”。