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遠距離恋愛サポは切り捨てられてしまうのか(えのきどいちろう)

有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されている有料記事を一部掲載いたします。


遠距離恋愛サポは切り捨てられてしまうのか(えのきどいちろう)J論プレミアム

 

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

遠距離恋愛サポは切り捨てられてしまうのか(えのきどいちろう)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]三十段目

 

#がんばろうJリーグ #チャントリレー アルビレックス新潟

関東在住のアルビサポが、チャントリレーで応援を届けた動画です。一都4県に通行・外出の自粛要請の出された週末、有志が作成&アップしました。

 

■Jリーグから提示されたサポーターに対する再開案

3月25日、Jリーグは公式戦再開の再々延期(?)を発表した。いちばん最初は3月18日再開に設定され、次は4月3日再開に設定されていたのだ。事態は流動的だが、本稿執筆現在(3月30日)、J1は5月9日、J2は5月2日、J3が最も早く4月25日(J3に関しては再開ではなく、開幕)とリ・スケされている。まぁ、しかし、新型コロナ禍の収束の兆しは見えないのだ。ラグビー・トップリーグやバスケのBリーグはシーズン打ち切りを正式に発表している。

※本稿をいったん書き上げて後、神戸・酒井高徳選手の「新型コロナ陽性」の一報に触れた。ついにJリーガーにも罹患者が出てしまった。筆者は新潟時代、高徳のプレーを間近で見ている。一日も早い回復を願って止まない。しかし、これは(まことに残念ながら)公式戦再開に影響必至だろう。

つまり、平たく言うと今後どうなるかまったく見通せないのだ。ヨーロッパ(特にイタリア、スペイン)の惨状等を見るにつけ、これはプロスポーツの出る幕じゃないなぁと率直に思う。日本は幸い都市封鎖に至っておらず、経済活動が維持されているが、油断をすれば同じことが起きてしまうだろう。

ただ「ボールは丸い。サッカーは続く」だ。現場のサッカー人、本稿をご覧のサッカーファンは必ずやまたあの熱狂の舞台に復帰するだろう。「フットボールの熾火(おきび)」を絶やすことはない。今はとにかく準備だ。心構えだ。今はリ・スケされた再開(開幕)日程にしたがって準備するしかない。

だから読者はあくまで3月末の現時点で考えた話だと思って以下をお読みいただきたい。というのは僕は内心、「シーズン打ち切り」の不安を拭えないでいるからだ。

3月25日、リ・スケ以外に具体的な「公式戦再開に際するリスク管理案」が提示された。これは評価に値すると思う。(Jクラブの経営を圧迫しかねない)「無観客試合」をなるべく避けるように、これこれこういう具体だったら試合開催可能なのではないかというラインを設定した。当然、専門医の助言を反映させたものだ。

その内容は既に読者も目を通されているだろう。発熱時の感染自粛を呼びかけ、スタジアムでの検温や消毒液の設置を促す。それから応援スタイルの変更を要請している。ゴール裏への密集を避け、チャントやコールを禁じ、手拍子での応援を推奨する。それから重要なのが「アウェー観戦の自粛」だ。再開されるJリーグ公式戦では、基本的にホームチームのサポーターだけがスタジアム入りする。それもスタジアムの座席の半分くらい(シーズンシートはどうするのだろう?)。

まぁ、これはあくまで「プロトコル」であり「案」だ。が、各クラブはこの目安でまわせるかどうか、今、調整に入っている。サポーターも自粛要請ばかりになるが、「サッカーのある生活」を守るには協力が必要だ。僕らは東日本大震災で思い知ったではないか。「当たり前の日常」はちっとも当たり前じゃない。それが成り立つのは奇跡だった。一度失われてしまえば、それを再び成り立たせるには大勢の人の営為が必要になる。僕はサポーターも「現場を守る」意識を持つしかないだろうと思う。

 

■遠距離恋愛サポどうなる問題が発生

で、まぁ、ここまでは共有されていると思うのだ。具体的な変更点は今後生じるだろうが、Jリーグサポはこの難しいハードルをクリアできると思う。またそれを期待して、村井チェアマンも「案」を投げている。たぶん世界で最も自律的で、公徳心のあるサポーターだと見込んで。

しかし、疎外され、切り捨てられるサポーター層もできてしまう。「遠距離恋愛サポ」だ。ホームタウンに住んでないサポーター。いちばん大きなグループは「関東サポ」だろう。僕はアルビレックス新潟を10年以上追ってきたから「関東サポ」の存在はとても身近だった。例えば大学を出てそのまま東京で就職し、家庭を持ったけれど、郷里のクラブを応援している人。親が新潟県出身で、自分は夏休みにおばあちゃんちへ遊びに行った経験しかないけれど、何となく自分のルーツとして新潟にこだわってる人。非・新潟県出身者だけど、新潟大学で4年間学生生活を送り、その間、ビッグスワンに通ってやみつきになったという人。つまり、遠距離恋愛なのだ。新幹線や高速バスを使って、何時間もかけてホームゲームに参戦する。味スタでやるアウェーゲームはドア・ツー・ドアで1時間かからない。

 

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