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テーマもうすぐ再開。セカンドステージ、反逆児たちの現在地

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貫く鹿島の流儀・田中滋

2015 09/09  12:01

きっかけは監督交代。セレーゾ→石井のバトンタッチで生まれた勝利のスパイラル

明治安田生命J1リーグ・セカンドステージは17試合中9試合を消化したところで、日本代表のW杯予選による中断期間に突入した。順位表に目を移すとファーストステージでは低迷していたチームが上位に名を連ねるなど、2ステージ制特有の現象も起きている。反攻の要因は何か。第3回は現在6連勝中でセカンドステージ首位を走っている鹿島アントラーズにフォーカス。田中滋が首位快走の理由に迫った。

▼クラブ史上2度目の決断
 監督交代後に6連勝を果たし、鹿島が一気にセカンドステージの首位に立った。選手の補強や負傷者の復帰といった戦力の変化があったわけではなく、監督がトニーニョ・セレーゾから石井正忠に交代しただけながら、チームには劇的な「違い」が生まれている。特に練習の雰囲気は、まったく別のチームと言っていいほどに変わった。練習がすべての基礎になることを考えると(6連勝は出来過ぎかもしれないが)、結果が出始めたことに驚きはない。

 始まりはトニーニョ・セレーゾ監督の解任だった。タイトルを目指した今季、ファーストステージでは結果が出ず、セカンドステージ巻き返しを図ったが、下位チームとの3連戦を1勝1分1敗。試合内容も見るべきものがなく、あえなく解任となった。

 シーズン途中での解任はクラブ史上2度目。苦渋の決断を下した鈴木満常務取締役強化部長は、その理由を「タイトルを獲るため」と話した。決断が遅れてチームが下降線をたどれば浮上のきっかけをつかむことができない。まだ余力が残っているうちに決断し、再びタイトルを目指すために監督交代を決めたという。

▼セレーゾ体制の弊害
 ではなぜ、セレーゾは解任されなければいけなかったのだろうか。クラブの考えは「教え過ぎ」というものだった。練習から試合まで、トニーニョ・セレーゾは事細かに指示を送るタイプの監督だった。自分も選手と一緒になって戦う熱血漢。そのため、あまりにも試合に熱中してしまうとコーチングエリアを飛び出し、フィールドに飛び出さんばかりに唾を飛ばす。第4審に注意されてようやく我に返る姿は何度も目にする光景だった。

 その情熱により、若い選手はプロとして必要な技術や知識を徹底的に指導されたが、教え過ぎは自分で考えないという弊害も生んだ。プレスのタイミングやプレーの選択肢を、ピッチの脇にいるセレーゾから指示されるため、選手はワンテンポ遅いアクションを繰り返す。当然、ボールへの寄せは遅くなり、そこから崩される場面もしばしば。しかも、選手は自分の意思やタイミングで動き出していないため、なぜ失敗したのか、どこが悪かったのかを感じることが難しい。そのため、ミスが次の改善に繋がらず、同じような失敗を繰り返す悪循環が生まれている、というのがクラブの見立てだった。

 しかし、トニーニョ・セレーゾはクラブからの忠告に耳を貸さなかったという。トニーニョ・セレーゾと鹿島の付き合いは長く、第1次政権では6年間も指揮を執り、今回も3年目。セレーゾの特徴も熟知しているが、今年ばかりは「なぜか意固地になって、凝り固まっていた」と、なかなか耳を貸さなかったようだ。そこで開幕3試合で結果が出なかったことを受け、解任に踏み切った。

▼石井新監督が施した修正点
 あとを受けた石井正忠新監督は、トニーニョ・セレーゾ、パウロ・アウトゥオリ、オズワルド・オリヴェイラ、ジョルジーニョ、そして再びトニーニョ・セレーゾの下で長らくコーチを務めてきた。選手たちの特長もよく把握しており、チームに起きている問題もクラブと共有していた。

 それは就任初日のコメントからもうかがうことができる。

「個々の能力自体は高いものがあると思うが、それが試合に出し切れていなかったと思う。それは試合に出ているメンバーもそうだし、メンバーに選ばれなかった選手もそう。自分の能力を出していないからかもしれないし、もしかしたら僕らが引き出せていなかったからかもしれないので、そのあたりは、セレーゾ監督とは違った見方をしている部分もあるので、うまく能力を最大限に引き出したいとは思っている」

 石井監督は、まず選手たちを信頼することから手を付けた。

 自分で考えるようになった選手たちは、練習に対する姿勢も見違えるように変わる。常に声をかけ合い、うまくいかなければどうすればいいのか話し合う。そして、その話し合いには監督やコーチも加わる。そこに上下の隔たりはなく、全員がフラットな位置関係で一致団結して、この局面を乗り越えようと努力しようとしていた。

 そんな姿勢は試合自体にも好影響を及ぼす。ピッチの中で選手自身が判断するため、臨機応変に戦えるようになった。ピッチの監督を務められる小笠原満男という存在がいることも大きいが、若い選手たちも積極的に意見を言えるように変わっていった。結果、鹿島が得意としてきた手堅い戦いと、勝負強さが復活。セカンドステージの戦いは、見違えるように変化したのである。

▼タイトル総なめも夢ではない?
 練習の密度は高まり、普段から激しくぶつかり合う往年の練習風景も戻ってきた。石井監督は選手への信頼を示し、それに選手たちも応えようと必死の努力を重ねている。しかし、まだ監督交代から日は浅く、新たな戦力が出現するまでには至っていない。例えば、小笠原不在時の戦いには多少の不安を残す。

 鹿島が本物の力を備えるときは、その不安が少なからず解消されたときだろう。逆に言えば、そうした選手が出現すれば、タイトル総なめも夢ではない。勝てば勝つほど強くなる。いま、鹿島は勝利のスパイラルの中にいる。

田中滋(たなか・しげる)

1975年東京生まれ。上智大文学部哲学科卒。2008年よりJリーグ公認ファンサイト『J'sGOAL』およびサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の鹿島アントラーズ担当記者を務める。著書に『鹿島の流儀』(出版芸術社)など。WEBマガジン「GELマガ」も発行している。

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J論編集部

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匿名(IP:60.46.234.62)

浦和の控えの選手も同様ですね。
ナビスコで使われた選手の中には後ろからのビルドアップにこだわり、前線からプレスをかけられているDFにパスをだしあわやという場面を作られたり、シュートできるタイミングでパスを選択する場面がしばしば見られた。
監督の方針に従って忠実にプレーすることにこだわり、自分の判断でプレーすることを放棄した選手がいた。

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匿名(IP:123.230.37.188)

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