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テーマ『ガルパン』『甘ブリ』『のうりん』。アニメコラボはJを救う特効薬となり得るか?

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アニメとかに詳しいライター・後藤勝

2015 08/19  21:27

ラノベ作家・舞阪洸の視点。「なぜJリーグのスタジアムには○○がないのか?」

コンピュータRPG『プリンセス・ミネルバ』の制作者として知られ、その同名小説から戦記ファンタジー『ロムニア帝国興亡記』まで多数の著作を持つライトノベル作家、舞阪洸さんは、じつは大のサッカーフリークでもある。自作のメディアミックスを経験し、出版物の編集にも携わったことがあるなど、エンターテインメントの側面から物事を幅広く見る眼を持つ舞阪さんは、現状のJリーグ、そして『アニ×サカ!!』の取り組みをどう捉えているのか。連載第3回目は、アニメとかに詳しいライター・後藤勝が、そんな舞阪さんを直撃した。


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『ロムニア帝国興亡記VI ─迫り来る決戦の時─』(富士見ファンタジア文庫)

第二回 『のうりん』関係者激白。コラボの実情と思わぬ波及効果とは?

▼いまのチャンピオンシップは「潔くない」
「子供のころ『三菱ダイヤモンドサッカー』を見ていた者としては、長らく日本にプロサッカーリーグがないことを悔しく思っていました。だからJリーグが始まったときは快哉を叫んだものです。それ以来、ずっとJリーグを追い掛けています。やはり自分の国のリーグ、自分の街のチームというものは、いいものです。観ていて楽しいです」

 しかしそのJリーグが存亡の危機とあっては、心中穏やかではない。低迷から脱しようともがいた末の2ステージ制にも、舞阪さんはもどかしさを感じている。

「今年始まった2ステージ制と、それに伴うチャンピオンシップですが、わたしの感想としては『なんという潔くない制度だ!』ですね。2ステージ制なのに通年勝ち点を持ち出したり、2位や3位のチームにチャンピオンシップ出場権を与えたりして、これ以上なくわかりにくいシステムにしたことが"潔くない"と思う原因です」

 2ステージ制そのものを否定しているわけではない。その見せ方、工夫が足りないことを嘆いているのだ。

「2ステージにするなら、もっと潔い、つまり、もっとわかり易いシステムにするべきだろうというのがわたしの主張です。今のシステムは、どのチームがチャンピオンシップに出られるのか、条件が細かくなりすぎて、コアなサポーター以外にはさっぱりわかりません。2ステージ制にしたのに、年間勝ち点とかを持ち出すからわけのわからないことになるのです。今の順位表を見ると、ファンは混乱しますよ。セカンドステージの順位の横にファーストステージの順位と通年順位が並んでいるんですから」

「2ステージ制なのだから、ステージの勝ち点だけを見せればいいんです。そうしてファーストの1位とセカンドの1位で、プロ野球で言う日本シリーズ(的な試合)をやればいい。両期とも同じチームが優勝したら、そのチームが年間チャンピオン。これ以上わかり易いシステムはないでしょう。同様に、ファーストの最下位チームは降格。セカンドの最下位チームも降格。残り1チームはファーストとセカンドの16位と17位を混ぜて残留決定戦を行う。この場合、両方で18位と17位が、あるいは16位と17位が同じチームだった場合など、幾つかアレンジが必要になりますが、基本的には今よりもずっとわかり易くなります。ファーストで最下位になったチームのモチベーションが保てないというなら、セカンド優勝で降格は取り消しになるとでもしておけばいいのです。優勝だとハードルが高すぎるのなら、3位以内でもいい。それならファースト最下位のチームでも、セカンドステージは、それこそ死ぬ気で頑張るでしょう。あとはステージ2位と3位のチームでACL出場決定戦をやればいい。17試合の短期決戦ですから、それで消化試合は大きく減るはずです」

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『落ちてきた龍王<ナーガ>と滅びゆく魔女の国VIII』(MF文庫J)

▼アマチュアの議論から脱却を
 昨年の議論は「2ステージ制は是か非か」という"べき論"に終始した感があるが、1ステージ制であろうが2ステージ制であろうが、どうすればおもしろくなるか、エンターテインメントの視点で語られた機会はそう多くなかったように思う。現状のJリーグが壁を脱しきれないのはなぜか。とどのつまり、試合の開催について、アマチュアの域を脱しきれていないことが問題なのかもしれない。どう演出すればお客さんにわかりやすく注目される興行になるか、サッカー関係者はいまよりももっと徹底して考える必要があるのではないか。

「そういう意味では、もっと数字を前面に押し出すべきだと思います。野球ファンが個人部門の話題で盛り上がれるように、Jリーグもいろんな公式部門を設けて表彰すればいい。まずは(旧日本リーグ時代にはあった)アシスト部門を復活させるところから始めてほしい。プロ野球は、優勝の可能性がなくなったチームのファンも、ホームラン王や首位打者、打点王の話題で盛り上がれるのです。トラッキングデータシステムを使って『最長距離走破選手』とか『最多スプリント選手』を表彰したって楽しいじゃないですか」

 舞阪さんの思考は、観客動員の質についても及ぶ。

「最近、よく観客動員数の伸び悩みが云々されますけど。まぁ2ステージ制もその流れから出てきたわけですが、けれどそれは、数字だけを見て論じても本質が見えてきません。日本におけるサッカー観戦の最大に欠点はスタジアムに屋根がないということです。雨が降っただけで自動的に観客動員数は落ちるのですから。技術的にヨーロッパの一流リーグに及ばないのは、リーグが始まって10年、20年では仕方のないことですが、スタジアムに屋根をつけるのは、サッカーの技術や経験とは関係のない話です。雨が降ったら中止になる野球ならともかく、雨が降っても試合が行われるサッカーでは、屋根がないと安心して前売り券を買えませんよ。少なくともわたしは札幌ドーム以外では安心して買えない。コアなサポーターは雨が降ろうが槍が降ろうが駆けつけてくれるでしょうけど、ライトなファンはそうじゃないことを理解するべきです。雨に濡れてまで試合を見たいとは思わない。そういうライトなファンをどれだけ確保できるかが観客動員数に大きく影響するんです。ライトなファンというのは裾野です。裾野が広がらないと頂上は高くなりません。ライトなファンが、やがて熱心なサポーターに育っていくんですから、まずはライトなファンを開拓するところから始めるべきなのに、そこをチームもリーグもおざなりにしている気がしてなりません」

 システムとハコを整備するだけで、観戦環境はぐっとよくなる。自ずと、おでかけの対象にもなりやすい。Jリーグに足りないのは、居心地がよい、あるいはほかにはない楽しさがある、そうした「場」をつくろうとする努力なのかもしれない。その意味で、『アニ×サカ!!』の舞阪さんは『アニ×サカ!!』の取り組みをこう評価する。

「いいと思いますね。出発点として、むしろサッカーの試合は見なくても、コラボのグッズは買うというアニメファンを大事にするべきでしょう。彼らはお金を持っていますからね(笑)。それで観客動員が増えなくてもいいんです。例えば四国や九州のアニメファンが水戸までサッカーの試合を見に来られますか? ふつう来られませんよ。でも、彼らはガルパンTシャツなら買ってくれるかもしれない。『アニ×サカ!!』のコラボグッズはアニメショップに売ってないレアものですからね」

 舞阪さんは札幌市で活動する立場から、地元企業の『クリプトン・フューチャー・メディア』が開発したボーカロイドの歌姫、初音ミクを引き合いに出してこうも言った。

「そういう意味では、なぜコンサドーレ札幌は初音ミクのコラボTシャツを出さないのかということを、わたしは声を大にして言いたいわけです(笑)。世界に冠たる札幌の歌姫をもっと使うべきだろうと。そのくらいの営業努力はしようよと。ということを野々村社長にはお願いしたいと思います(笑)。初音ミクのコラボTシャツ出たら、一人で5枚くらい買いますから!」

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ドラマCD『落ちてきた龍王<ナーガ>と滅びゆく魔女の国』(ツクル(ノ)モリ株式会社)

▼成長のヒントは意外なところにある
 舞阪さんの、目標から逆算した考えはおもしろい。Jリーグに活況をもたらそうと思うなら、熱心なサポーターを増やす前に、もっとライトなファンを増やそうよ、同時にサポーターやライトなサッカーファン以外にも手を広げて売り上げを増やそうよ――それが、舞阪さんの主張の根幹だ。

「そこはスタジアムに屋根を付けるのと違って、それほどお金をかけなくても、営業努力でなんとかできる範囲なのですから......まだまだ言いたいことはあるし、アイディアもあるので、もし記事を書かせてくれるメディアがあれば、あるいは、どこかのチームの営業さんがアイディアを聞きたいと言うのなら、いつでも応じます」

 あれやこれやと、次々にアイディアの奔出を求められる作家の提言には、『アニ×サカ!!』に近い、Jリーグを外から揺さぶろうという熱意が感じられる。ともすれば埒外の民と見過ごされがちなサブカル方面の声に、もう少し関心を持ってみてもよいのではないだろうか。それが成長のヒントになる可能性がないと、誰に言えよう。

第四回 ラノベ作家兼磐田サポ・佐々原史緒が語るJのヒントは『タイバニ』『黒バス』『刀剣乱舞』!?

後藤 勝(ごとう・まさる)

サッカーを中心に取材執筆を継続するフリーライター。FC東京を対象とするWebマガジン『トーキョーワッショイ!プレミアム』を随時更新。著書に小説『エンダーズ・デッドリードライヴ 東京蹴球旅団2029』(カンゼン刊)がある。

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納得(5票)

匿名(IP:120.74.165.135)

スタに初めてくる人が屋根のあるなしはわからんよ

2015年8月20日 04:23

匿名(IP:175.184.26.11)

「J論」を読みに来られる方はJの事情もある程度知っていると思われ、屋根の言及については正確ではないにしても十分でしょう。もし一般向けのサイトなら編集サイドで注釈がいると思いますが。
チャンピオンシップ不開催のリスクを減らすため、今回のようなシステムになったのは仕方ないと思ってます。年間順位1、2、3位を入れたため、ステージ優勝の重みが少ないのは確かに難点ですね。
盛り上げるためのチャンピオンシップというアイデアは悪くないと思ってます。ただリーグ戦の重みが薄れる嫌いがあります。
チャンピオンシップでの成績はリーグ戦2試合+1試合の合計得点で決めたいというのが、自論です。

2015年8月20日 09:58

匿名(IP:126.48.239.29)

2ステージ制を生かしきれてないってのはそのとおりだと思う。

屋根については、この記述だけだと何ともいえない部分はあるけど、雨の日や雪の日に観客数が減るのは実際にあることだし、それによってクラブの収益が低下するのも現実。問題提起としては悪くない記事だと考えるが、まあ異論はいっぱい出るでしょうな。

2015年8月20日 11:43

匿名(IP:46.193.0.184)

試合/システムの見せ方、データによる個人部門、屋根(スタの快適性)、サブカルとの関係については同意です。まぁ個人部門は、サッカーそのものが極めて流動性をウリにするスポーツなので、一概に野球みたいにはできませんが・・・。
2シーズン制についてはまだ判断を下すのは早いと思います。どのみちライト層に食いついてもらうにはCSでの露出こそがチャンスでしょうから、その出場への過程については普段から応援しているサポがなんとなく分かっていれば十分な気もします。
ミクについては完全に同意見です。クリプトンには反省していただきたい。ショーを享受する「ファン」を軸とする野球と、擬似経営参加的「サポーター」を軸とするサッカーは理念からして全然ちがうのに(どちらが良いという話ではなく)、なぜN次創作とグローバル性が理念のクリプトンが日ハムのほうとコラボするのか。しっかりせんかい、と。

2015年8月20日 18:55

匿名(IP:175.131.45.239)

云わんとしてることは分かる。コアなサポの視点から見ると、2ステージ制は思ってた以上に緊張感があっていいと思う(代表戦中断はあるにせよ)。15日間で決着させる大相撲を見てる感覚がする。1ステージ制だとこの時期は正直中弛み感があったんで、そういう意味ではまずまずだと思う。
チャンピオンシップで露出を増やす意図も分かる。日本人は一発逆転的なモノが好きだし、観客・テレビ的にもこの日が決勝とする方がいいのもある。しかし方法が分かりにくいのは同意。といって以前のように勝点年間1位がチャンピオンシップに出場できないのは避けてほしいんで、今年1年やって変えるべき点は変えるのでいいと思うが、最低4年間は続けるそうなので、そこまでいじることはできないか。
屋根については大半のスタが行政所有だし、屋根を付けたくても行政には優先順位があるわけで。

2015年8月20日 23:32

異論(6票)

匿名(IP:220.215.177.210)

 失礼ながらよくこの記事公開したねって位、物を考えてない人の意見だと感じました。
 スタジアムの観客席に一定以上屋根をつけることはクラブライセンスに関わる内容です。それなのにまるで客席に屋根が無いようにしか読めず、誤解しか生まない意見だと思います。屋根ついてる席選んで買えばいいだけじゃないですか。
 知らない人が意見を言うなとは言いませんが、明らかにズレた内容だったらライターや編集長でチェックして選り分ける位はして欲しいです。

2015年8月20日 01:02

匿名(IP:119.173.130.227)

ええええっ、アニサカの記事じゃなかったの?
なんで突然2ステージ制の話にしてんの?
肩透かし感半端無いんですけど???

2015年8月20日 21:18

匿名(IP:114.176.201.23)

前半は「アニサカどこ行ったん」みたいな内容。屋根は無いわけではない部分で嘘が語られているし2ステージの改革方法も特に下位が意味不明。J公式HPでは「今の順位だとCSのトーナメント表こうだよ」という図がある。それを報道しないのが悪い。あとこの人の言ってることはベルギーが似たことやってる(上位は優勝決定戦・中位はCL/EL出場権・下位は残留決定戦)。後半のライトファン増加やキャラクター云々には同意。

2015年8月20日 22:50

 他の仕事捜して地道にやりなさい(IP:211.134.146.156)

ステージ制の良し悪しと概要については、現場をよく知る専門記者やファン、そして専門媒体では分析済みの話。今さらダイアモンドサッカー観てただけで、少年団には入ってない素人に御説を戴く意味が解らない。
それと、初音ミクだろうが、同じ事だけど、例えば視覚映像表現としての洋楽PVとか服飾、そういう若者の先端文化、音楽に詳しい人間は、ダサい(大半は キモイ)としか論評しませんね。
この記事に出てるエロ静止画をみて、女性は付いてこないし、一般の男性も例えば子供を連れていく場でのアイコンとして抵抗があると思います。それを、くーるざぱん、なんて本気で信じ込んでる”ネットの狭い世間しか知らない”萌え教の使徒や信者、そして、この日本語の構成としては趣旨の解らない聞き書き記事が、サッカー文化の発展に寄与すると感がている、そんな聞き手は活字文化として捉えても重要でない、そう映ります。

2015年8月25日 16:54

匿名(IP:49.98.14.106)

アニメやなんかとコラボするのは良いがこの頁のトップ画像に代表される女性の胸とお尻を強調した絵のアニメばかりとコラボされるのは何故だろう。
確かにお金は持ってるかもしれないけれどそんな絵があちこちに氾濫したスタジアムは女性は居心地悪いものだよ。

2015年8月28日 12:33

匿名(IP:219.104.39.212)

インタビューする相手を間違っちゃった感じ。
アニxサカについて語っている部分は少ない上にたいした内容じゃないし、
プロのラノベ作家固有の視点を期待してたのに…。

2015年9月 6日 09:51

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