いざ、ギリシャ。日本代表を取り巻く光景と支えるものに思うこと

日本代表のW杯は、第1戦を終えて早くも危機的状況にある。毎週、週替わりのテーマで議論を交わす『J論』では、「初戦敗北。ギリシャ戦に向けた日本の採るべき術策は何か?」と題して、第2戦に向けた日本代表の選択肢を探っていく。今回はJ論編集長・川端暁彦が、ギリシャ戦に向けて物申す。日本サッカーの象徴たる日本代表へ向けて、期待と信頼を込めて。


▼スタバと小学校の風景にて
 先日、都内某所のスタバで原稿を打っていたときのことだ。斜め前の席で二人の女子高生が議論を戦わせていた。

「ホタルは機能していないじゃん。外したほうがいいよ」

「え? 長谷部のほうがヤバくない?」

 斜め前の席という微妙な距離感もあって断片的にしか聞こえてこなかったが、「初戦の結果を受けて、次のギリシャ戦をどう戦う?」という、まさにこの『J論』と同じテーマでの議論が行われていたわけだ。

 こんなこともあった。コートジボワール戦を前にした早朝のこと。実家近くの小学校のグラウンドには野球少年たちが集まっていた。これから練習なのだろう(試合かもしれない)。私がその小学校の前を通り過ぎると、こんな会話が飛び交っていた。

「大久保、出るのかな?」

「柿谷だろ?」

「あー、あと2時間で始まるなあ」

 まあ、たぶん、観たかったのだろう。サッカー少年に日本代表の試合を観る機会を!なんてムーブメントがあったけれど、野球少年では「観たい」と言うことも憚られるかもしれない。なんだか、ちょっとだけ気の毒になった。

 W杯を前にある週刊誌(専門誌ではなく一般誌である)の記者さんと話していたとき、「日本のサッカーのレベルって本当に上がったんですかね?」みたいな質問を受けた。そのシンプルな答えとして、彼にこれらの光景を見せてあげたいな。そんなことを思った。

 サッカーが日常のものとなることと、このW杯という"お祭り"をナチュラルに楽しむ人が増えていること。その二つ以上に日本サッカーのレベルを推し量る要素はないし、押し上げる要素もないように思う。コートジボワール戦の内容にも結末にも失望したけれど、ギリシャ戦の内容には期待しているし、結末についても希望を持っている。

 無理してそう思い込もうとしているわけではなく、それは自然な感情として、である。「この20年で日本サッカーが強く、そして"太く"なってきた」という、自然な実感があるからこそなのだろう。こういう光景を何となく、ごく普通のものとして、自然に受け止められるようになって、今がある。今の日本サッカーがある。

 そしてその象徴として、日本代表がいる。

▼個人的オススメは"オランダ戦"
 6月20日の早朝、日本はギリシャとの決戦を迎える。黒星同士のサバイバルマッチ。通勤・通学の時間帯であるから、日本各地でちょっと微笑ましい光景が見られることだと思う。そうした基盤の上に、日本代表は立っている。

 どんな布陣なのだろう。

 長谷部誠はまた先発なのか?

 香川真司の状態は回復しているのか?

 今野泰幸の復活はあり得るのだろうか?

 ボランチの組み合わせは? ワントップはどうする?

 ギリシャ対策はあるのか? 長身のサマラス相手なら酒井宏樹のほうがいいのか?

 考えを巡らすこと自体の楽しさにホッとさせられる。どうやら私はまだ日本代表に真っ正面からの期待を持っているようだ。コートジボワール戦は確かに拙劣な試合だったけれども、現日本代表の力があの程度でないことは、ずっと観てきたのだからよく知っているつもりだ。このまま終わるようなヤツらでは、ないだろう。その確信はある。

 ここに来ての戦術的転舵はあるまい。人選のポイントは誰が先発かよりむしろ、「誰を残すのか」。大久保嘉人と遠藤保仁を残した第1戦から中4日。今度は別の一手を打つ可能性は高い。個人的オススメは、昨秋のオランダ戦で驚異的戦果を残した「遠藤、香川のダブルジョーカー」である。疲れた時間帯に入ってくる香川が、欧州の大男たちに"効く"のは証明済み。ギリシャに対してボールポゼッションで負けることは考えづらいので、焦らずに"後半勝負"に出られる余力を残しておけば、十分に勝機はあるはずだ。

 語りどころはいくらでもあるし、「語りたがる人」の絶対数がこれほど増えたという実感は、日本サッカーにとって最大の財産である。このタイミングであえて「俺は自分のクラブは愛しているが、代表には興味がねえ」なんて主張してくる人の存在も、むしろ頼もしい。

 先人によって築かれた日本サッカーの基盤が、一度の敗戦によって灰燼に帰すとは思っていない。ただ願わくは、この試合が初戦の屈辱を晴らして余りあるカタルシスをもたらし、そうした「人」がさらに増え、基盤がより強くなる契機となってもらえればと思う。それこそが、現在の日本代表が、今後も続いていく日本サッカーの歴史において、今まさに期待されている役割でもある。


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