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ポーランド主審「Jリーガーはプレッシャーが少ない」メディアがファウルと感じた判定も「これがフットボール」と委員会を支持【レフェリーブリーフィング】

有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されているJリーグクラブ有料記事を全文掲載させていただいておりますこの企画。
今回は審判批評を中心としたWEBマガジン「石井紘人のFootball Referee Journal」からレフェリーブリーフィングに関する記事になります。


【審判批評無料コラム:レフェリーブリーフィング前編①】ポーランド主審「Jリーガーはプレッシャーが少ない」メディアがファウルと感じた判定も「これがフットボール」と委員会を支持石井紘人のFootball Referee Journal
2017年06月02日更新

隔週レポートコラム(参考記事:コラムインタビュー)を一週早め、昨日開催された日本サッカー協会(JFA)審判委員会による『2017 第23回 JFA レフェリーブリーフィング』を全文掲載する。

ダニエル・ステファスキ主審「こんにちは。まずエクスチェンジプログラムで、我々三人を招いてくれたことに感謝を申し上げたいと思います。私たちはポーランドで審判をやっておりますが、日々良いレフェリーになるために精進しております。サッカーは全世界で共通と言えるかもしれません。ただ、細かい所を分析していくと、地域や国によってサッカーに違いが出てくる。その違いをこのプログラムで経験できるのは、私たちにとって素晴らしい経験になりますし、前よりもより良いレフェリーになっていけるのではと感じています。日本の選手は速いプレーをしますし、テクニックに長けている。また日本のピッチはとても素晴らしい。ピッチから5mくらいから見ても、人工芝だと思いました。芝の状況がとても良いということが、日本のサッカーが速いということに影響しているのかなと思いました。ポーランドは、よりタフでフィジカルが求められるサッカーをしております。日本との違いであるのは、DFの仕方が違うと感じました。日本に来て二試合しか吹いていませんが、DFが良い意味で組織立っている。ポーランドでは、相手のPAの近くだとしてもプレッシャーをかけるのですが、日本では中央の所まではプレッシャーが少ない。ポーランドでは、もっと強くプレッシャーをかけるシーンが見られます。もう一つ、日本の選手は行儀が良い選手が多い。私が担当した試合で、オブザーバーから『マネジメントが良い』という評価を頂きましたが、日本人選手の行儀が良いのでマネジメントが簡単でした。ポーランドに戻ったら、ポーランド人選手にも、そういった点を指導した方がいいのかなと感じました。レフェリーのテクニカルな点では、日本人選手はとても速い為、我々審判員もクイックに動かなければいけないし、集中しなければいけない。また小さな違いの話もさせて頂きます。レフェリーは対角線審判法があります。そのレフェリーの動くポジションに、チームの中で動きのある(中盤の)選手、たとえば松井大輔選手のように動いて、ボールにも多くかかわる選手が常にいます。レフェリーはより集中して、何が起こるかを見ないといけない。先の展開もしっかりと予測することで、自分がプレーの邪魔にならないようにしなければいけない。そういったことなども考えるきっかけになりました。ポーランドはロングボールが主体なので、そういったことがあまり起きず、そこまで気にしなくて良かった。日本に来たことでそういったことを感じました。」

上川徹JFA審判委員会副委員長「ありがとうございます。では、前回(参考記事:第二回ブリーフィング)から先週末まで、昨日のルヴァンカップは入っておりませんが、レフェリングの振り返りを。まずはデータです(*レポート最後に)。102の事象について、意見交換がありました。うち31の事象でミスがありました。平均で言うと、去年よりはミスが少なくなってきていると思います。今日も、メディアの皆様へのテストもご用意しました(参考記事:メディアの判定力とは)。

<事象が流され、記者の結果が出る。私は12問正解の2位でした>

では、まずは(参考記事:J1第12節ジュビロ磐田×柏レイソル戦カミンスキーのPK取り消し)。レフェリーのポジショニングが遠い所も気になります。レフェリーは、GKがボールに触っていないと判断しました。笛はコンタクトがあった後に吹かれてはいるのですが、レフェリーはコンタクトの瞬間を見てファウルという判断をしています。しかし、コンタクトのあった後にボールのコースが副審方向に大きく変わっている。そのため、笛を吹いた後ですが、自分の判定に疑問を持った。本来ならば、そこですぐに副審の方に聞きに行くべきだった。なぜなら、磐田の選手たちのアピールを聞いて対処したように映ってしまう。判定に疑問を持ったのであれば、すぐに副審とコミュニケーションをとって、副審が持っている情報を確認しなければいけない。このシーンでは、遅れはしましたが、主審は副審の元に行きました。そして、副審はしっかりとボールにプレー出来ているのが見えていた。であるのならば、主審が笛を吹いた時に、副審はフラッグアップすべきだよねと副審にたずねた所、副審はGKと相手選手の接触する前、別のファウルをとったのかと疑問を持ったようで、踏み込めなかった。レフェリーのポジションは遠いとはいえ、角度としても見える位置にいたので、伝えられなかったようです。それでも、主審と副審で意見交換をもう少し早く行うべきだったと思いますし、そもそもで判定をしっかりと見極めなければいけません。ポジショニングや角度、笛のタイミングもそうです。副審の情報を引き出すことも必要でした。それでも副審の情報を元に、自分のミスを認めて、ドロップボールで再開するというのは非常に勇気のいることだと思います。本人は「正しい判定をすることが第一優先」だと。

それで、この状況ですね。レフェリーもそうですし、柏レイソルの強化担当者にも話をしました。大谷選手のキャプレンシー溢れる対応、レフェリーとの間に入り、味方の選手に”下がれ”と対応してくれたのは、非常にありがたいです。リスペクトがありますし、チームのリーダーとして素晴らしい振る舞いだと思います。

―その前に、主審と副審が確認している時に、磐田選手が主審と副審の元にいっています。詰め寄っているとは言えませんが、近付いてはいて、時間がよりかかってしまう。たとえば、バニシングスプレーで線をひいて、これ以上近付いたらカードという風にはできないのでしょうか?

上川「レフェリーも、『近くに来ないでください。確認がとれませんので』と伝えています。ただ、話が長くなればなるほど、選手も気になって近づいてくる。スプレーを使うかどうかは別として、レフェリーがリーダーシップを示して、『来ると話ができないよ』と。特に磐田の選手が来ています。磐田にとって大きな判定です。ただ、来ることによって、(誤審で不利益を受けている磐田に対し正しい)判定を導けない。今シーズンで最も大きな判定になったのかなと思います。」

―これはポジティヴな評価にはならないのでしょうか?

上川「ポジティヴな評価をしています。テクニカルな面では、最初の判断があるので、指導します。ただその後は(ポジティヴ)。アセスメントレポートには、判定があって、マネジメントがあって、パーソナリティの所があります。それが何点だったかという話はしませんが、パーソナリティの部分は高い評価となります。」

―監督も主審と副審に近づいている。

上川「テクニカルエリアから出ていますので、フォースオフィシャルの対応が必要ですね。

話変わりまして、GKですが、去年もファインプレーをPKにとられている(参考記事:2016J1セカンドステージ第12節の鹿島アントラーズ×ジュビロ磐田カミンスキーのPKは誤審)んです。レフェリーに話を聞くと、映像で見ると凄くクリアにプレーしている。フェアです。ただ、カミンスキー選手は、他のGKと違って”ためる”動きがあるんです。レフェリーの感覚では、”このタイミングでいってはボールに間に合わないだろう”と。(日本のサッカー選手と同じ)感覚をレフェリーも持っています。日本のGKと違う動きが(見極められない要因に)あるようです。そこをしっかりと見極めないといけません。

次です。これは(参考記事:J1第11節横浜Fマリノス×ヴァンフォーレ甲府ドゥドゥのシミュレーション)実際の試合では、レフェリーは白の選手のシミュレーションにしました。が、記者の皆様も全員PKにしましたように、この手がPKですよね。レフェリーのポジションからは、この手がまったく見えなかったと。ちょうど青の選手の影になっている。主審の距離の遠さもあります。これを見るためには、もっと副審側に、争点にも近付かないといけない。レフェリーはまったくそれが見えずに、白の選手が最後、相手の選手の前に体を入れて、左足を残すんですよね(静止映像でメディアからも「なるほど」という声があがる)。レフェリーは、青のホールドは見えていませんが、この映像の瞬間をフォーカスした。自分から左足を残したと見てしまった。そうであるとしても、シミュレーションは厳しい。ノーファウルなら考えられるかもしれないが、そもそもでホールディングでバランスを崩しているんです。副審ですが、シャツを引っ張っているのは分かっていましたが、青の選手が掴むのをやめるんです。そこで、白の選手がバランスを立て直したように見えた。ただ、そうであっても、あれだけシャツが伸びるくらいに引っ張っている訳です。副審が自分の持っている情報を『僕はPKだと思う』と伝え、そのうえでレフェリーがPKなのか、ノーファウルなのか、シミュレーションと判断しなければ。情報を伝えないのはいけない。PKでイエローカードが必要でした。

次は(ルヴァンカップ第4節サンフレッチェ広島×清水エスパルス戦の)の44番のシミュレーションです。レフェリーもしっかりと見極め警告が与えられました。続いて(J2第13節ロアッソ熊本×湘南ベルマーレ戦89分、熊本選手がトラップ後に相手選手を蹴ったということでPKに)です。赤3番はボールに触れていますか?白選手のトラップがハンドリングかどうかはおいて、赤3番はボールに触れていますよね。ボールに触れた後に、戻す足が接触してしまっている。不用意とは見えませんし、危険なチャレンジとも見ません。実際の試合では、白のチームにPKが与えられましたが、我々はノーファウルと考えます。

これも(2017J2第13節アビスパ福岡×ファジアーノ岡山戦73分に裏に抜け出したオフェンスとGKが接触したシーン)ノーファウルの方が3割くらいいました。レフェリーも、ほぼ同時のタイミングでお互いがプレーをしようとした所で接触したと。なので、アクシデンタル的と判断し、ノーファウルにしました。ですが、白の選手が先にボールに触れていますし、GKはボールに触れることができていません。ファウルだと考えますが、カードの色は難しいです。状況的には、【得点の機会阻止】ですが、GKがボールにプレーしようとしているか?そうであるならば、イエローですし、ボールにプレーする可能性がないと見るならばレッドになります。

これは難しい判定で(2017J2第10節FC岐阜×ツエーゲン金沢戦33分、11番への金沢4番のチャージ)レフェリーはノーファウルとしてCKにしました。クラブからは、PKではないかという意見がありました。

*ルヴァンカップ柏レイソル×ジュビロ磐田戦、藤枝MYFC×ギラヴァンツ北九州戦、サガン鳥栖×セレッソ大阪戦、ジェフ千葉×ロアッソ熊本戦、ルヴァンカップFC東京×コンサドーレ札幌戦、ツエーゲンカナザワ×ジェフユナイテッド千葉戦、アルビレックス新潟×浦和レッズ戦、ルヴァンカップFC東京×大宮アルディージャ戦、横浜Fマリノス×ベガルタ仙台戦、大宮アルディージャ×ベガルタ仙台戦、横浜FC×名古屋グランパス戦の適用はこちらから


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