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【FC東京】最後の日を迎えたピーター ウタカ

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最後の日を迎えたピーター ウタカトーキョーワッショイ!プレミアム

FC東京に於ける最後の日を迎えたピーター ウタカが、12月6日の練習後、ファンとの別れを惜しんだ。もちろん、チームメイトに対しても惜別の念がある。
「切ない、寂しい、そういう言葉が思い浮かぶ。ここには一年間しかいませんでしたが、スタッフ、選手、ほんとうにいい仲間に恵まれた一年でした。だから彼らとの最後の一日をすごく切なく感じています」

前線からボールを追わない守備には異論が飛び、出場機会もかぎられた。一方、卓越した個人技を有していたこともたしかで、J1では1276分間の出場で8ゴールという結果を残している。彼が言うところのソロ、個でボールを運ぶプレーにはインパクトがあった。

そして、ときに、底抜けに陽気――という表現すら適切ではないような独自のキャラクター。J1第29節vs.ヴァンフォーレ甲府戦後、彼には驚かされた。試合が終わって記者室に戻ってみると、前半44分に一発レッドで退いていたピーター ウタカ本人がTVモニターの前に座っており、引き分けに終わった結末を見届け、やおら立ち上がるとこちらに向かい「ふぅ」と息をもらしながら肩をすくめたからだ。いやいや、なんとか引き分けてよかったけれど、苦戦した原因の一端はあなたでしょう――と突っ込む間も与えないようなリアクションだった。

練習場で選手同士がけんかしていると、真っ先に仲裁に入った。そのことを指摘すると、彼は笑いながら振り返った。
「そういう状況になったとしても、自分はすぐ真ん中に行って、ジョークを飛ばしたりしていました。まあ、周りのひとは『ウタも加勢しに行ったんじゃないか!?』と思うかもしれませんけれど、自分としてはそんな気はまったくない(笑)。チームの状況、チームの雰囲気をいちばんに考えて、やってくることができたと思っています」

感情を豊かに表現しつつ笑顔の多い選手だった。
「どんな状況、どんなシチュエーションでも前向きであろうと思っていますし、前向きなひとや前向きな言葉、前向きな行動を私は好んでいるので、周りと接していくなかでも、いい影響を及ぼして雰囲気がよくなり、チームメイトが笑顔になればいいと思って接しているので、チームの状況も選手たちも少しでもあかるくなってくれればうれしいと思っていました」
はたして次の移籍先はどこなのか。恐ろしい敵とならないことを祈ろう。

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