
【田村修一の視点】2025年10月18日 J1リーグ第34節 横浜F・マリノスvs浦和レッズ
J1リーグ第34節 横浜FM4(4-0)0浦和
14:03キックオフ 日産スタジアム 入場者数36,442人
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横浜FMの出来が良かったという以上に、浦和の出来が悪かった。それが結果に直結したゲームだった。
浦和のマチェイ・スコルジャ監督にすれば、横浜FMが前線からプレスをかけてこなかったのは想定外だったのかも知れない。だが横浜FMは、ミドルゾーンにブロックを敷きそこからのプレスはタイトだった。それが前線でのボール奪取に繋がり、望外の先制ゴール(6分、谷村海那)が生まれた。
これが試合の流れを決めた。以降、浦和は自分たちのプレーを見失い、攻守ともに横浜FMのペースに巻き込まれた。前半終わって4対0はほぼゲームセットだが、後半の選手交代でも主導権を取り戻すことはできなかった。
横浜FMにとっては恵みの勝利。苦しいチーム事情のなか、自分たちにできるほぼすべてのことをやり尽くしての勝利には、大きな価値がある。だが降格の直接のライバルである横浜FCは、名古屋に2度先制されながら追いつき、勝ち点差2で追走する。残りの対戦相手は、広島と京都、C大阪、鹿島。横浜FCも柏、鹿島、京都、C大阪と、どちらも厳しい相手ばかりである。最終節まで目が離せない戦いが続く。
一方の浦和にとっては、『奇妙な』という形容詞をつけざるを得ない敗北だった。西川周作とマリウス・ホイブラーテンらをベンチに温存したスタメンは、ターンオーバーとも言いうるもので、中断期間中の練習の成果だったのかも知れない。だがそれは、パフォーマンスに結びつかなかっただけでなく最悪の結果を生んだ。
残りの対戦相手は町田と広島、岡山、川崎。底力のあるチーム、今季存在感を示したチームとの、一筋縄ではいかない戦いになる。浦和にどんな爪痕を残せるのか。来季に向けてどんな展望を見せられるのか。スコルジャ体制の正念場である。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。