【六川亨の視点】2024年12月1日 J2昇格プレーオフ準決勝 松本山雅FCvs福島ユナイテッドFC
J2昇格プレーオフ準決勝 松本1(0-1)1福島
14:03キックオフ サンプロアルウィン 入場者12,604人
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ホームの松本は自陣からのロングパスで両ウイングバックを走らせる、リスクを排した立ち上がり。ところが福島は、開始10分に森晃太の快足ドリブルによるカウンターから樋口寛規があっさりと先制点を奪った。その後も福島は森がカットインからクロスバー直撃のシュートを見舞うなど、緩急を織り交ぜた攻撃で松本ゴールに迫った。
ところが後半になると試合展開は一変する。「気持ちよくサッカーをやらせると、1試合を通してペースを奪われてしまう。後半になると疲労もあり相手は落ちてくる。怜央(安永)を含め中盤で引っ掛けたり、自由にやらせなかったのが勝因」と霜田正浩監督が分析したように、前線からのプレスの強度を強めて福島のミスを誘発しては波状攻撃を仕掛けた。そして後半20分、菊井悠介の右CKを野々村鷹人がヘディングシュート。これはゴールカバーに入っていた選手にブロックされたものの、すでにゴールラインを割っていたとしてゴールが認められ松本が同点に追いつく(こぼれ球を押し込んだ高橋祥平のゴールではない)。
その後は矢島輝一ら攻撃的な選手を投入して反撃を試みる福島に対し、松本はフレッシュな選手を起用して試合の強度を維持。引き分けならリーグ戦の成績上位チームが決勝戦に進めるというルールから、「僕らは焦れずに1点を取れればいい」とハーフタイムに霜田監督が選手に念を押した通り、少ないチャンスを確実に生かした松本が富山の待つ決勝戦へのキップを手にした。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。