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【田村修一の視点】2024年11月23日 天皇杯決勝 ガンバ大阪vsヴィッセル神戸

天皇杯決勝 G大阪 0(0-0)1 神戸
14:02 キックオフ 国立競技場 入場者数56,824人
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決勝らしい力のこもった試合だった。だが同時に、決勝らしい大胆さと奔放さに欠ける試合でもあった。

 

前半はG大阪ガンバが、自らのスタイルである自在なパス回しで魅了した。だが、チャンスの数でいえばほぼ互角。そして後半になると、G大阪の運動量が落ち神戸の優位が明らかになっていった。

 

違いは個の強さ、経験値の大きさにあった。百戦錬磨の神戸の選手たちが、個々の判断でチームプレーを作り上げたのに対し、G大阪のスピーディなパスサッカーは、選手の疲弊とともに勢いを失っていった。

 

G大阪にとっては、宇佐美の突然の負傷欠場が大きく響いた。ダニエルポヤトス監督は、影響はなかったと試合後に語ったが、恐らくは監督自身がその影響を最も大きく感じていたのだろうと思う。とはいえ就任以降のチーム改造はこの試合でも十分に見て取れ、来季に大きな可能性を示したといえた。

 

一方、神戸の吉田監督は、スペイン勢中心の時代から日本人を主軸にシフトして結果を残したことに対して、その手応えと得た自信を力強く語った。ベテラン勢主軸のチームではあるが、日本代表のほぼすべてを海外組が占める今日において、国内サッカーで何が可能であるのかを今後も積極的に提示し続けて欲しい。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。