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【六川亨の視点】2024年10月6日 J1リーグ第33節 東京ヴェルディvs湘南ベルマーレ

J1リーグ第33節 東京V 0(0-1)2 湘南
16:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数19,010人
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東京Vの城福浩監督は、試合中も試合後の会見でも喜怒哀楽の激しいことで知られている。しかし湘南戦のあまりにも不甲斐ない前半に、試合後の会見では怒りを通り越して呆れていた。いわく「サポーターには本当に申し訳ないことをした。自分たちの表現したいサッカー、サッカーに向き合う姿勢を前半は見せられなかった。もろもろ、私の準備、私の力が足りなかった」と最初に謝罪の言葉を述べた。そして続けて「あの失点(1点目)は本当に受け入れられない。打たれる部分で歩いていた。そういう選手をピッチに立たせてしまった。私の責任です」と具体的な場面を指摘した。

 

 

試合は立ち上がりから、前節の鹿島戦で0-2から逆転勝利を収めた湘南が「勝つことで前向きになれることもある」と山口智監督が言う通り、前線からのアグレッシブな攻守でワンサイドゲームを展開した。32分には小野瀬康介が巧トラップでチャンスを広げ、鈴木雄斗が先制した。ハーフタイム、指揮官から「サッカーに対する姿勢が話にならない」と激怒された東京Vは、前半とは打って変わって2トップだけでなく中盤の選手も怖がらずに前線に飛び出したりワイドに開いたりしてパスコースを作り、ワンサイドゲームを展開した。しかし反撃ムードの高まった後半6分、湘南ゴール前でのスルーしたプレーを小野瀬にカットされ、福田翔生のカウンターから最後は鈴木章斗にダメ押しの2点目を奪われた。

 

 

後半の湘南のシュートはこの1本だけ。一方の東京Vは齋藤功佑や山田剛綺が決定的なシュートを放ったものの、いずれもGK上福元直人のスーパーセーブに阻まれてゴールが遠い。競り合いで「やられていたのはウチの選手ばかり、イエローは出なかったが湘南(の選手)は戦っていた。このチームは何も示していない。あの前半は恥ずかしい限り」と振り返ったように、東京Vが完敗した試合であり、残留を決めているチームと残留争いの渦中にあるチームとの差が出た試合だったかもしれない。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。