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【六川亨の視点】2024年10月5日 J1リーグ第33節 FC東京vsサガン鳥栖

J1リーグ第33節 FC東京 1(0-0)1 鳥栖
15:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数21,140人
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FC東京は第30節のホーム名古屋戦(国立競技場)を4-1と快勝。続くアウェーの難敵・浦和と横浜FMも2-0、3-1で退け、第10節から12節にかけて以来となる今シーズン2度目の3連勝を飾った。こうなると目ざすのは初の4連勝だが、最下位とはいえ試合内容はけして悪くない鳥栖に苦しめられ、辛うじて引分けるのがやっとだった。

 

その原因として、直近の3連勝は得意とするカウンター攻撃がハマり、複数得点を記録して勝点3を獲得した。ところが鳥栖戦で効果的なカウンターを発動できたのは、前半30分に荒木遼太郎のパスを受けた俵積田晃太が敢行した1回だけ。しかしシュートはブロックされてチャンスを生かせなかった。では、なぜカウンターの機会が少なかったのかというと、鳥栖の攻撃パターンにあった。

 

得点源であるマルセロ・ヒアンは第27節の札幌戦で左足を負傷し、戦列に復帰したのは第32節の福岡戦。このためFC東京戦でも木谷公亮監督は「ケガの部分は大丈夫だが、コンディションの部分は100パーセントではない」と明かした。それでも得点源の復帰により、鳥栖はロングボールをヒアンに供給する攻撃パターンでFC東京を苦しめた。左サイドを使ったカウンターでは、木本恭生は何度も冷や汗をかかされ、左サイドでのポストプレーには森重真人が反則覚悟で挑まなければならなかった。それでもヒアンにゴールを許さなかったことで、FC東京は敗戦を免れたと言えよう。

 

試合は鳥栖が新外国人選手のヴィキンタス・スリヴカの来日初ゴールで先制したが、FC東京も左CKのこぼれ球から高宇洋が同点弾を決めて引き分けに持ち込んだ。4連勝こそ逃したものの、3勝1分けの4試合負けなしは今シーズン4度目となる。ただし、5試合目はいずれも敗れて無敗記録はストップしている。FC東京の19日の相手は5日現在で2位につける神戸。昨シーズンも達成できなかった“5試合目のジンクス”を払拭できるか。アウェーの一戦が注目される。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。