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【森雅史の視点】2024年9月8日 ルヴァンカップ 準々決勝 第2戦 FC町田ゼルビアvsアルビレックス新潟

ルヴァンカップ 準々決勝 第2戦  町田 2(2-0)0 新潟
18:03キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数6,726人
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双方にとって有益な試合だった。

 

新潟は第1戦の5-0という「パンパンの財布」を持って試合に臨んだ。対する町田は試合開始早々から「残り10分」という状況のような攻めに出た。ゆったり構えられるほうか、切羽詰まったほうか、いずれにせよ先にゴールを挙げたほうが勢いづくのは目に見えていた。

 

攻める町田に対してじっくりカウンターの機会を狙う新潟という構図のまま試合は進む。前半0-0なら新潟はもう勝ったも同然だろう。そんな皮算用が成り立とうとしていた41分、ペナルティエリアの中でボールを受けた中島裕希が「練習でやっていた形」という振り向きざまのシュートを決めて町田が先制する。さらに45分、下田北斗がこぼれ球をコントロールショットでゴールに送り込み、町田が2点を奪った。これでさらに試合は熱を帯びた。

 

だがハーフタイムを終えてピッチに出てくると、新潟は落ち着きを取り戻していた。町田は相変わらず怒濤の攻めを見せるが、新潟は巧みにいなして時間を経過させる。後半はその新潟の冷静さが光る展開となり、結局後半はスコアレスで、試合は2-0で町田が勝利した。

 

この日のスコアと第1戦の結果と合わせて新潟が準決勝に進出した。次の相手は第19節のホーム戦で2-2と引き分けた川崎。9月27日の第32節でも対戦予定となっており、対策も立てやすいだろう。一方の町田は黒田剛監督就任以来、対戦5回目にして初めて勝利を収めることができた。第1戦の大敗から立ち直り、次のリーグ戦に臨むことができる。第1戦で大差がついていても、第2戦にはちゃんと意味があると教えてくれた試合でもあった。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート