井上潮音が帰ってくる(練習レポート)【東京V】
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今回は東京ヴェルディを中心としたWEBマガジン「スタンド・バイ・グリーン」から井上潮音選手に関する記事になります。
【無料記事】【練習レポート】井上潮音が帰ってくる(17.6.2)(スタンド・バイ・グリーン)
2017年06月02日更新
ようやく復帰のメドが立ち、井上潮音の表情は明るい。
■もしかしたらこのまま
「先週からトレーニングに部分合流していて、来週から完全合流の予定です。対人プレーの練習はもうやってますね。いまはフルにメニューをこなせるように体力を上げている段階」
と晴れやかに語るのは井上潮音。3月25日のJ2第5節、FC岐阜戦で左足太ももの肉離れを起こしてから約2ヵ月、地道なリハビリを経て、ついに戦列に復帰しようとしている。
「けがをして最初の1ヵ月は何もできない状態。昨年、故障したときはすんなり立ち直ったんですが、今回はちょっと違いましたね。開幕前に一度けがをして、復帰してすぐにまたプレーできなくなった。もしかしたらこのままダメになっちゃうのかなと。リハビリの期間は、たくさんの人たちに助けてもらいました」
外からチームを見ていて、どんなふうに感じたのか。ひとつ下の渡辺皓太が自分と同じポジションに入り、試合を重ねるごとにパフォーマンスを上げていく様には複雑な思いもあったはずだ。
「皓太、いいプレーをしていましたね。あいつの活躍に加えて、チームも調子が良く上位にいて、後ろからきちんとボールをつなぎ、自分たちの目指すサッカーをやれていた。勝ち切れない試合もありましたが、着実に前進しているなと見ていました。一方、自分がいるのはピッチの外。落ち着いてリハビリに取り組もうとしても、やはり不安や焦りが込み上げてきた」
■故障のリスクを抑えるために
昨年、今年と井上は筋肉系のトラブルが相次いだ。今後、故障のリスクを抑えるためには、根本的な改善策が求められる。
「復帰してからもハムストリング(もも裏)の補強は継続的に続けます。練習後の自主トレをやりすぎたのが故障につながった面もあるので、これからは故障しないことを第一に考えてやりたい。もっと巧くなるためにトレーニングは必要ですが、ただしそれは身体に支障をきたさない程度に。大事なのは、そこのバランスですね」
今回のことで、青柳雅人フィジカルコーチをはじめ、メディカルスタッフやトレーナーは、さまざまな角度から井上にアドバイスを授けている。将来のために土台を見直すきっかけになれば、この程度の代償は充分にお釣りがくるだろう。
「走り方の改良はそのひとつ。どうも僕のフォームは、太ももの前の筋肉に頼った走法らしいんですよ。それで後ろの筋肉の強さが足りないみたいで。身体の使い方も、けがをしやすいものとリスクを抑えられるものがあると教わっているところです。できることから、ひとつずつ直していきたいと思います」
最後、井上に訊ねた。前節のV・ファーレン長崎戦、東京ヴェルディはボールを握り続け、特に後半はゴリ押しに攻めたが最後までゴールを割れなかった。もしあのピッチに自分が立っていたとしたら、どうやって戦局を打開しようとしたか。
「ボールは思ったとおりに回せていましたよね。後ろからつなぎ、サイドに運んで、攻め込めていた。ただ、ポゼッションしていても、相手にとって怖いプレーは少なかったのでは。どこで勝負の縦パスを入れるのか。決定機をつくるには、そこがやや足りないように感じました」
まだ井上の復帰戦のタイミングは計れないが、順調にいけば遠からずその日は訪れる。コンディションを万全に整え、相手の急所をえぐる仕事を存分にやってもらおう。
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