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【六川亨の視点】2023年10月21日 J1リーグ第30節 ヴィッセル神戸vs鹿島アントラーズ

J1リーグ第30節 ヴィッセル神戸3(2-0)1鹿島アントラーズ
14:03キックオフ 国立競技場 入場者53,444人
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鹿島のFW鈴木優磨は1人で局面を打開でき、ゴールも決められるストライカーで、今シーズンもここまで13ゴールをあげている。彼のようなFWの“軸”となる選手がいるチームは、攻撃のパターンが確立されている強みがある。ところが神戸には、大迫勇也と武藤嘉紀という“軸”になる元日本代表が2人もいる。その恩恵を受けたのが2ゴールを決めたMF佐々木大樹だった。前半16分の先制点はMF井出遥也の左クロスにファーサイドから走り込んでヘッドで決めた。そして3点目もMF扇原貴宏の右CKからFWジョアン・パトリッキのシュートが左ポストに当たって左サイドにこぼれるところ、右足の強シュートでゴールネットの天井を射貫いた。いずれもゴール前で大迫や武藤が厳しくマークされるところ、ファーサイドで構えることでフリーとなった。

過去、神戸ではJ1で4シーズンを過ごしながら2点にとどまっていたが、今シーズンはすでに7ゴールと大迫(20点)、武藤(9点)に次ぐ結果を出している。吉田孝行監督も「圧倒的なフィジカルとキープ力で攻撃の起点となった。大樹(佐々木)もいる、嘉紀(武藤)もいるということで、いろんなところで起点になれる」と高い信頼を寄せている。

この日の結果、鹿島優勝の可能性はなくなり、名古屋が4位に浮上して優勝戦線に踏みとどまった。優勝の可能性があるのは2位の横浜FMと3位の浦和を含めた4チーム。その浦和とは11月12日(第32節)に埼玉スタジアムで激突するし、11月25日(第33節)には名古屋との対戦が控えている。優勝の行方を占う天王山となることは間違いない。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。