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【森雅史の視点】2023年9月2日 J1リーグ第26節 湘南ベルマーレvs鹿島アントラーズ

J1リーグ第26節 湘南 2(2-1)2 鹿島
19:03キックオフ レモンガススタジアム平塚 入場者数11,089人
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このゲームを白熱させたのは、前半の飲水タイムではなかっただろうか。

湘南のキックオフでスタートしたゲームだったが、すぐさま鹿島が激しいプレスをかけて追い込んだ。そしてそのまま主導権を握ると、8分、佐野海舟の見事なドリブルシュートで先制点を奪った。その後も牙を抜かれた状態の湘南は後手に回り続け、逆に鹿島は思い通りにゲームを回していた。

ところが飲水タイムで湘南が落ち着きを取り戻す。そして開幕当初に見せていたような、ロブを使いつつ次々に縦にボールを入れてリズムを掴もうとした。ここで鹿島が混乱する。守備陣は落ち着かせるためにテンポを下げようとしたが、攻撃陣はそれまでのいい攻撃を継続したいとばかりに前に急いだ。

鹿島は次第にディフェンスラインが手薄になり相手に詰められない。そこに湘南のパスが入るようになる。そして35分、大橋祐紀が同点に追いつくと、43分、鈴木章斗が逆転ゴールを決めて鹿島を慌てさせた。

後半に入って両チームとも選手交代を行って主導権争いを繰り広げるが、お互いに決定機で沈められない。最後はタレントが豊富な鹿島は昌子源を入れて植田直通を前線に上げ、パワープレーに。その植田がダイビングヘッドに行くところに湘南はたまらずファウルして、終了間際にPKを獲得して同点に追いついた。

湘南にとっては前節の浦和戦がウソのようにパスのテンポが上がり、少し希望が見えたというゲームだった。鹿島にとっては最下位の湘南をもっと簡単に追い込みたかったところだろうが、湘南が開幕当初のようなプレーを取り戻したため、この結果は妥当と言えるはずだ。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート