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【田村修一の視点】2023年6月7日 天皇杯2回戦 川崎フロンターレvs栃木シティ

天皇杯2回戦 川崎フロンターレ3(1-0)1栃木シティ
19:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者5,325人
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Jリーグ屈指の強豪川崎に関東リーグの雄栃木シティが挑んだ一戦は、期待に違わぬ好試合だった。

キックオフから攻守にわたり全力で川崎に襲いかかる栃木。しかし120%の強度で臨んでも、トップレベルとの経験不足を露呈して川崎にいなされペースを握られてしまう。そんな中から遠野の先制点も生まれ、スコアは1対0ながらレベルの差を感じさせる前半となった。

だが後半は、10分の選手交代から流れが変わった。より攻撃的な布陣に変更した栃木が、前への勢いを徐々に発揮して流れを掴みだした。注目すべきは、あれだけの強度を保ちながら栃木のフィジカルがまったく落ちなかったことだった。疲れの見え始めた川崎を、運動量と質で凌駕し、幾度となくチャンスを作った。同点ゴールもその流れから生まれた。右サイドで加藤からの縦パスを受けた交代出場の藤原が、相手ディフェンダーの足先をかすめるクロスをゴール前に送ると、やはり相手ディフェンダーとともに走りこんだ戸島が、叩きつけるヘディングでゴールに押し込んだ。栃木らしさが遺憾なく発揮された、真骨頂のゴールだったといえるのだろう。

その後も互角の展開が続いたが、一瞬の守備の隙をついて遠野にこの日2点目となる勝ち越しゴールを決められると、最後は終了間際に交代出場の宮代に見事な走り込みボレーを決められて万事休した。善戦しながらの敗戦は、必ずしも栃木にとって望むべき結果ではなかったが、それでも今後に向けての自信になったのは間違いない。

一方の川崎は、長期離脱のレアンドロ・ダミアンが本格的に復帰し、今季は出番の少なかったチャナティップも確かな存在感を見せた。瀬古や宮代の活躍も好材料で、今後のリーグ巻き返しに向けて態勢が揃いつつあるといえる。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。