【六川亨の視点】2023年3月11日 J2リーグ第4節 大宮アルディージャvsジュビロ磐田
J2リーグ第4節 大宮アルディージャ1(0-0)0ジュビロ磐田
14:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者数8,732人
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「決めるべき時に決めておかないと、何が起こるかわからない」――そんなサッカーの一面をよく表した試合だった。開始15分は前線からの連動したプレスで大宮の苦し紛れのロングパスを誘い、ワンサイドゲームを展開した磐田。12分にはFW杉本健勇、15分にはMFドゥドゥが決定機を迎えるが、左ポストをかすめたり、GK笠原昂史に阻まれたりして先制点を奪えない。その後も30分は金子翔太がGK笠原と1対1のチャンスを迎えるも、シュートをGKに当ててしまう。さらに前半アディショナルタイムにも2度の決定機を作ったが、なかなかゴールを割ることができなかった。
試合後の相馬直樹監督が「ゲームは立ち上がりからマイボールにならず、ずっとボックスから出られない展開になってしまったが、そこで失点しなかったことは非常に大きかった」と振り返ったように、大量失点してもおかしくない前半を無失点で乗り切ったことが勝因だ。後半もサックスブルーが押し込む展開が続く。遠藤保仁と針谷岳晃のダブルボランチが巧みなパスワークで大宮守備陣を剥がしにかかる。大宮の耐える展開は前半と変わらないものの、大宮もFWアンジェロッティが単独ドリブルでカウンターを仕掛けるなど反撃に転じた。
試合の流れが変わったのはアディショナルタイムに入ってからだった。2分、交代出場のFW河田篤秀がタテパスに抜け出し、GK梶川裕嗣と1対1になりかけたところでCB中川創が後ろからユニホームを引っ張って倒し一発退場。この反則で得たFK、アンジェロッティのシュートは壁に阻まれたが、4分、MF泉澤仁の左クロスをファーサイドでCB袴田裕太郎が頭で折り返すと、フリーのアンジェロッティが叩きつけるヘディングシュートで決勝点をもぎ取った。
「サッカーは、こういうことが起こりえるのは重々わかっている」とは敗れた横内昭典監督。磐田にすれば、負けた気がしない試合だっただろうし、なんとももったいない試合だった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。