【六川亨の視点】2022年5月21日 J1リーグ第14節 FC東京vs柏レイソル
J1リーグ 第14節 FC東京0(0-0)0 柏レイソル
15:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数13,603人
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アルベル新監督の下、それまでのカウンタースタイルからボールを保持するサッカーへと舵を切っているFC東京。対する柏のネルシーニョ監督は、今シーズンで4年目を迎える百戦錬磨の“マジシャン”だ。FC東京がボールを保持するサッカーへ進化を遂げようとしているものの、現実にはディエゴ・オリベイラとアダイウトンを中心としたカウンターが武器であることに変わりはない。
そこでネルシーニョ監督は高橋祐治、上島拓巳、古賀太陽の3BKに加え、両サイドの大南拓磨と三丸拡を最終ラインに下げてスペースを埋め、FC東京の3トップを封じにかかった。インサイドハーフの安部柊斗と松木玖生に対しては椎橋慧也と戸嶋祥郎、マテウス・サヴィオの3ボランチが、「ボールサイドで連動してスライドすること」(ネルシーニョ監督)で、数的優位な状況を作り、特に左サイドでは右SB長友佑都の攻め上がりに対してパスカットからのカウンターでFC東京ゴールを脅かした。
結果は0-0のドロー。互いにGKと1対1のチャンスが1回、クロスバーを叩いたシュートも1本と決定機の数も同じだっただけに妥当な結果と言える。後半45分には三丸の右CKから上島がゴールを決めたが、これはオンフィールドレビューの結果、ハンドで取り消しになったのも、両チームとも納得の結果だろう。
この試合で特筆したいのは柏GK佐々木雅士である。韓国代表GKキム・スンギュがコンディション不良のためゴールマウスに立ったが、弱冠20歳で今シーズン初出場だ(昨シーズンは3試合に出場)。後半に入るとFC東京のロングパス攻撃に対し、ペナルティーエリアを飛び出して、ハイボールをヘディングでクリアするシーンを何度か見せた。彼だけでなく、同じ20歳でスタメン出場したFW細谷真大も、この試合を視察したU―21日本代表の大岩剛監督へいいアピールになったはず。ここらあたりの選手起用の“妙”もネルシーニョ監督らしいと言えるだろう。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。