J論 by タグマ!

『タグ祭り!サッカーライター大忘年会2018』イベントレポート

2018年12月21日、Jリーグを語りたいライター陣と、Jリーグの話を聞きたい100名のサポーターたちが渋谷に集う。WEBマガジン『タグマ!』で執筆中のライターたちによる『タグ祭り!サッカーライター大忘年会2018』が開催された。

このタグ祭りは、その他のサポーターと直接接点を持てる場所でもある。Jサポが多数来場する中、Jではないテーマを話すライターたちからタグ祭りは始まった。

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トップバッターはアジアサッカー通の2人。タイのサッカーシーンを伝える『FOOTBALL THAILAND』の本多辰成さんは「Jサポのみなさんはタイに興味があるのか」と少し心配をしていた。だがタイと言えばチャナティップ。2018年のベストイレブンに選出されたスターの存在がいる。「タイ人選手がJリーグに入ってACLでも対戦して、日本との接点が増えてきている」と本多さんは話す。

その横で『フットボールフィリピン』の池田宣雄さんは「お客さんと同じサッカーを愛する者同士の間柄で話しやすい」とその場を楽しみ、「タイを頂点とした東南アジア」の情勢をフィリピンの目線から語る。タイとフィリピン、池田さんはそこから広がる東南アジアを「J論ならぬASEAN論みたいな」と、本多さんと共に日本と同じアジアのサッカーを伝えていた。

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続いて登場するのは、こちらも初参戦。渋谷の街で『サッカー番長 杉山茂樹が行く』姿がお目見えとなった。「いろんなクラブから代表に選ばれた方がいい」と、サポーターの気持ちを「代弁するのが僕の仕事」と話す。

もうひとりの初登場は川本梅花さん。『フットボールタクティクス』の名が示す通り、グアルディオラやサッリなど世界のサッカーの戦術について語る。「ビルドアップから作り上げるところをもっと日本はやっていく必要がある」と、目の前で解説を聞いた司会を務めた椛沢佑一さんは話した。

宇都宮徹壱さんは、『ウェブマガジン』だけでは収まりきらない地域のサッカーシーンを披露。「マニアックなテーマ」を担当した宇都宮さんは、「Jリーグと紐づけて話していくとわかっていただける」と振り返った。

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テーマはいよいよJリーグへ。「鈴木さんのトークがいまいち」と『群馬サッカーNEWS Gマガ』の伊藤寿学さんがいじると、「僕は控えめにしようかな」と『栃木フットボールマガジン』の鈴木康浩さんと返す。『デイリーホーリーホック』の佐藤拓也さんはその隙をうかがうというコンビネーション。北関東サッカーライター3人が、J3はつらいよと自虐的に笑いを起こす。「片田舎の小さなクラブ」であるザスパを取材する伊藤さんは、自らが発信するその地域ならでは情報を「漁師のまかない料理」と表現。J3の世界を知ってもらえる機会を楽しんでいた。

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大所帯だったのは、J2。その主役は、松本山雅。「華やかな場は苦手なので」と『松本雷鳥通信』の多岐太宿さんは照れ気味。「身が引き締まる思い」と言いながらも、「J1だろうがスタンスは変えず、山雅の情報を伝えていく」と新しい戦いに備える。その横には司会を務めた『スタンド・バイ・グリーン』の海江田哲郎さん。「本当にJ2なのって今でも信じられなくて、なんとかならないのかなと思ったりする」と東京ヴェルディの激動の一年を振り返っていた。そしてサイバーエージェントグループとなった町田の中心とした『ゼルビアTimes』の郡司聡さんは、「急には変わらないかもしれないけど、少しづつ変わっていく」と少し先のことを匂わせていた。

「つたない司会でしたけど」と河合貴子さんが時計を気にしながら、出演者をチラチラと見る。その方向には「せっかくこんな時間まで年末位の忙しい中に来ていただいたので、多少なりとも笑って帰ってもらえれば」と轡田哲郎さんがしゃべり続けている。『浦レポ by 浦和フットボール通信』のコンビに挟まれた『川崎フットボールアディクト』の江藤高志さんは、「みなさんの前で優勝が報告が出来た」と笑っていた。

「会場にはいろんな種類のユニフォームを着た人たちいた。それが価値観の多様性」。

代表について語った杉山さんの言葉である。東京ヴェルディを担当する海江田さんは「勝ち負けだけじゃないところもある」と話す。『ぎふマガ!』の後藤勝さんが話す、FC岐阜には「ギッフィーがいて音楽芸能、アニメとのコラボ」はそのひとつ。サッカーを様々な角度で見る宇都宮さんは「サポートクラブ関係なく関心があるテーマ」であるスポーツビジネス、クラブの働き方、SNSなど「知らないから面白い」と感じている。日本ではないタイを取材している本多さんは「ニッチな情報をJリーグとできるだけつなげて」と考えている。

J3の栃木を見守る鈴木さんは「お金のない市民クラブの抱える普遍的なテーマ」を見て、『SIGMACLUBweb』の中野和也さんは「選手と読者に寄り添う形で、広島の内側が理解していただけるように」と日々取材をし、J1を制覇した川崎の江藤さんは「普遍的な感情に働きかける」ものを探し続けている。

好きだから話したい、好きだから聞きたい。ライターとサポーターの強い気持ちが作ったサッカーの価値観の多様性が、タグ祭りを盛り上げていた。