コンサドーレ野々村芳和社長が語る壮大なビジョン『年間20億円の胸スポンサー』を獲得する秘策とは?

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経営コンサルタントとサッカーライター、ふたつの顔を併せ持つ村上アシシ氏が著名人と対談する連載企画「村上アシシのJにアシスト!」。今回のゲストは第1回でお招きした株式会社コンサドーレの代表取締役社長、野々村芳和氏。前編ではメディア戦略をメインに語ってもらったが、今回の後編ではコンサドーレが描く中長期ビジョンについてお話を伺った。


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▼2018シーズンの目標設定は現場に任せている


アシシ:単刀直入に聞きますが、2018シーズンの目標を教えてください。

野々村:社長の立場で現場の目標を言うのはあんまりよくないかなと思ってて。

アシシ:最終節後のインタビューで、横山選手が「来年も残留目指して頑張ります」的なことを発言したじゃないですか。サポーターの中で揺れているのは、2018年は一桁順位を目指すのか、また残留ラインが現実的な目標になるのか、という点です。

野々村:それは三上GMとか監督が決めればいいと思う。経営者としては少しずつでも戦力に使えるようなお金を増やす、売り上げを伸ばすということかな。

アシシ:社長が現場介入するのは良くないと。

野々村:そこまで口出しちゃうと、あの社長は何やっているんだとか、ワンマンチームじゃないかって突っ込まれるのよ(笑)。

アシシ:たしかに。ちょっと話は変わるんですけど、ベイスターズの元社長の池田純さんの本を先日読んだんですよ。そこで印象的だったのがベイスターズの哲学みたいのを文書化して、それを社員とか選手全員に読ませて、会社の哲学の共有を図っているということでした。素晴らしいなと。どこの企業も大きいところはやっていると思うんですけど、中小企業だと労力的に難しかったりもします。これから10年、20年後を見据えた時に、コンサドーレの哲学みたいなのを明確化して、関係者に浸透させていくのは、緊急度は低いけど重要度は非常に高いかなと。

野々村:今売上100億円になるためのロードマップを作っていて。どこまでできるかわからないけど、それはやりたいなと思っていて。

アシシ:それは経営計画みたいなものですか?

野々村:そう。その経営計画を作っていけば、そういった哲学的な、うちのクラブがどういう存在になっていくべきか、というのがわかりやすく出てくるかなと。

アシシ:北海道の中でコンサドーレがどういうふうに見られたいとか。

野々村:このクラブっていろんなことに役立つと思われることがすべてかな。

アシシ:そういう基本方針を明文化して、選手に限らず営業部隊にも刷り込んだ上で売り込みにいけば、社員全員が同じベクトルで仕事ができて、組織として更にレベルアップできると思うんですよね。

野々村:そういうものがあってもいいかなと思うけど、それが絶対的にブレないものかっていうと、そうでもない。それって3年とか5年経ったら変わる内容になるかもしれないし、そういう方針に引っ張られすぎるのも良くない。とにかく変わらないといけないということは常に言っている。

アシシ:なるほど。

野々村:うちのクラブは今まで予算も少なかったから、日本人選手が比較的多くて、日本のグループという感じでしかやってこなかったかなと。そこにイングランド出身のジェイ・ボスロイドみたいな選手が来ると、外国仕込みの彼のスタンダードをどう扱うかみたいな話になる。今までの日本のクラブだとなかなか枠にハマらないでしょ。でもサッカーって世界でどこでもやっているスポーツで、グローバルな視点でのクラブ作りとか雰囲気がないと大きくなれないと思ってて。たとえがいいかわからないけど、大相撲みたいな成り立ちというか、ああいうのとは違うじゃない。そのへんをしっかり意識させるようなクラブにならないとね。

▼鳥栖戦のジェイの「2-0」ジェスチャーは誤解


アシシ:元々ジェイ・ボスロイドって問題児みたいな、負のサイクルにハマるとヤバいみたいなイメージがあったと思うんですけど、2017年シーズンを見ていると何一つ問題がなかった。そこはうまくマネージメントできた自負はありますか?

野々村:とにかく情報を集めて、その情報を基にうまくコントロールすればいいと思っている。名波浩からたくさん話は聞いているしね。それでもジェイが練習中に不貞腐れるわけじゃないけど、何かしら意思表示をする。そうすると、日本人のコーチは反乱分子に捉えがちなんだよね。そんなの今まで自分が教えていた日本の子供にはいないわけだから。そこでコーチが裏で愚痴を言うのは絶対によくなくて、じゃあそのジェイをどうやってコントロールすれば練習がうまくいくかというのを議論すればいいと思っている。

アシシ:最終節の鳥栖戦でも、ジェイ・ボスロイドが指で2-0とアクションしたことで、ピッチ上でもめてイエローカードもらった「事件」がありましたね。

野々村:ジェイは侮辱するためにあんなアクションをしたわけじゃないんだよ。あれはあくまで不可抗力のファールなのに、相手選手が執拗に訴えてきたから、ジェイは「オレたち2-0で勝ってるのにそんなことするわけないじゃん」って意味であのアクションをやったのよ。そしたら相手が過剰に反応してきて、もめたわけ。相手もカードを出させるためのパフォーマンスだったと思うけど、それを審判が見抜けないというのは、日本もまだまだだと思う。

アシシ:そういう背景があったんですね。スタジアムで遠目から見ているだけではわからないシーンでした。

野々村:イングランド人のコミュニケーションの仕方など、日本人ももっと理解していく必要があると思う。

▼ペトロヴィッチ監督就任でアンダー世代の育成方法が変わる?


アシシ:あと、これは現場よりの話なので、社長に聞く話ではないかもしれませんが、ペトロヴィッチ監督招聘によって、アンダー世代の育て方を変えるつもりはありますか?

野々村:今までどう育ててきたんだというのが自分の中ではあって。誰一人として攻撃的なポジションで、国内で圧倒できる面白い選手が出てこないのよ。そこは絶対的に変えなきゃいけないと思ってる。日本人の今までやってきた人たちは、すごい一生懸命努力してくれていると思うけど、結果的にポテンシャルの高い子が出てこない。それはうちのクラブだけじゃなくてサッカー界全体にも言える。ミシャが今までなかなか気づかなかったことをアカデミーに伝えてくれることで、そういう選手が出てくる可能性は高くなるはず。

アシシ:ミシャはユースに関わるわけではないですよね。

野々村:関わるわけではないけど、ユースとかアカデミーとかが積極的にトップチームの練習の仕方とかを見るようになる。

アシシ:そこで学んでいって、底上げになると。

野々村:新しくサッカー観とか哲学みたいなものが育っていくと思う。

アシシ:たとえば、アカデミーでもミシャと同じフォーメーションでやってみるとか。

野々村:同じフォーメションでやっても全然いいけど、それはユースで決めればいい。その哲学があるかないかで全然違う。子供の頃から哲学を持った人たちの下で指導を受けた選手とそうじゃない選手は絶対違うんで、長い目で可能性を広げていきたいと思ってる。

▼社長が広告塔として表に出るクラブが成功する?


アシシ:いろんなクラブを見ていて思うんですが、たとえば57クラブある中で、長崎の髙田社長みたいにトップが表に出てきてアピールしているところが、結構成功をおさめていて、そういう意味では札幌も社長が派手にメディア露出していて、好循環を引き起こしているクラブだなと感じます。

野々村社長が表に出てくればいいってもんじゃない、いろんな人がいていいと思うんだよね。

アシシ:メリットデメリットがありますからね。変な言い方ですが、社長が「広告塔」としてうまく機能していて、うちは間違いなくそのメリットを享受しているクラブですよね。

野々村:最初はそれでいいと思っていたから積極的にやるけど、選手とかがもっと目立って陽の当たるところにドンドン出ていくような流れになればいいと思ってる。

アシシ:最後になりますが、10年後、20年後を見据えた時にこういうことをしていきたいみたいな、長期的ビジョンはありますか?

野々村:将来的に年間10億円、20億円規模の胸スポンサーを新たに連れてくるには、コンサドーレがアジアでも知名度を高めて、たとえば東南アジアでも赤黒のユニフォームを着ているファンが多くなったり、アジアチャンピオンズリーグに出場してテレビの露出を増やしたり、といったところを目指していきたいと思っている。

アシシ:来ましたACL! 僕も日本代表サポーターとしてではなく、札幌サポーターとして、赤黒ユニ着てアジアを遠征するのが夢なんです。

野々村:単にACLに出るのが目標、というのではなくて、これだけの金額を出してくれたらアジアチャンピオンズリーグ出場を狙える戦力が整う、アジアにうって出たら、これだけクラブの価値があがる、というところを見せていく必要があると思っていて、今はだんだんそういう流れになってきている。今までのコンサドーレは、地域のためにやっているから何とか一緒にお願いします、もっと言うと助けてくださいというセールスが多かったと思うんだよね。そうじゃなくて、アジアを見据えていけば、コンサドーレはこれだけのポテンシャルを持っているんだよ、というのをだんだんアピールできるようになってきた。

アシシ:確かにこの5年間ずっと右肩上がりで成長してきてますからね。そういうビジョンを聞くと、100億円クラブって夢物語ではない気がします。

野々村:それができると思っているけど、先方の大きな企業がその価値をまだわかってもらえていない。それをどうわかってもらうか、チャンスが来た時に伝えられるような材料を用意しておこうと思っている。

アシシ:個人的には社長の口からACLという言葉を聞けたことが、一番の収穫です。今日はありがとうございました。

野々村:2018年も応援、よろしくお願いします。

(前編はこちら「就任後5年で売上が3倍に!? コンサドーレ野々村芳和社長が語るメディア戦略」)

※一部修正しました。ご指摘ありがとうございます。

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