J論 by タグマ!

「われわれスカパー!がJリーグの試合中継を放送することはいったん終わりますが、みなさんが楽しみにしている”最高の週末”は変わりません」【ありがとう、スカパー!・後編】

2007シーズンから10年間、スカパー!はJリーグオフィシャルブロードキャスティングパートナーとして、J1・J2全試合生中継を行うなど、長らくJリーグファンの視聴環境の普及に寄与してきた。10年という区切りを迎え、オフィシャルブロードキャスティングパートナーとしての契約は終了したが、Jリーグファンはこの10年間を恩義に感じている。『ありがとう、スカパー!」』と題した今回の特集では、この10年間のJリーグとスカパー!の関係性を振り返り、今後新たな関係を築くことになる近未来に関して、スカパー!関係者にお話をうかがった。前・後編の2回シリーズでお届けする。(前編「Jリーグ中継を通じて日本サッカーの進化につながるような試みにトライしてきました」)

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(写真・左)
スポーツコンテンツ事業部サッカー事業チーム
渡辺 俊晴さん

(写真・右)
スポーツコンテンツ事業部サッカー事業チーム
アシスタントマネージャー
植田 恭輔さん

▼さまざまなコラボレーション

—-ここまでJリーグと関わっていく中で、最も思い出に残っていることは何でしょうか?

植田:スカパー!がオフィシャルブロードキャスティングパトーナーになった初めの年、2007年当時の私はまったく違う部署にいたのですが、「Jリーグのプロジェクトはスカパー全社の事業です。若手社員は各試合会場に行って、とにかくファン・サポーターと会話しなさい」というお達しがありまして、スタジアムのスカパー!加入者促進ブースに立ち、ファン・サポーターの方々とたくさんお話したことを覚えています。最初はスカパー!という会社名は分かるけど、全試合生中継はピンと来ない、という印象でしたが、それが次第に浸透していったことも思い出深いです。

—-年々、中継を重ねることでファン・サポーターの間にJリーグ全試合生中継が浸透していったのか、それともスカパー!さん側から、早くファン・サポーターの間に浸透するように、何か積極的に働きかけてきたことで浸透したのでしょうか?

植田:Jリーグ推進部という部署が中心となって、Jリーグやクラブと手を組み、ファン・サポーターの輪に入れていただくことで視聴者のニーズを嗅ぎ分けてそれを中継に反映すること、さらに加入販促ブースでの告知だけではなく、スケジュールシートを配布するなど、いろいろな取り組みを通じて、ファン・サポーターの方々の支持を得たのかなと思います。

渡辺:2016シーズン、アビスパ福岡さんの開幕スペシャルムービーを作ろうとした時の話が印象に残っています。声優の田村ゆかりさんが2015シーズン途中から福岡の試合をテレビ観戦するようになったとSNSを通じて知っていましたから、田村さんに何か協力してほしいと、弊社のアニメチャンネルのスタッフに田村さんを紹介していただき、スペシャルムービーに声で出演いただきました。

その時の映像は川島ソーナーさんという福岡の煽り映像を制作している方に制作していただきました。以前から川島さんが福岡のサポーターであることは知っていましたから、オフィシャルな仕事として一緒に映像を制作してくださいとお願いし、快く引き受けていただきました。実際に制作していただくと、スカパー!が制作をしていても、あそこまでファン・サポーター目線をしっかりと捉えた映像はできなかったのではないか、というぐらい素敵な映像を作っていただきました。スカパー!からの発信だけではなく、ファン・サポーター・クラブの方と一緒に制作できたこともすごく良かったと思っています。

—-そのプロモーション映像に対する実際のリアクションはいかがでしたか?

渡辺:実際にYahoo!のリアルタイム検索で『アビスパ』がトップになっていたことを確認した時は「やって良かったな」と思いました。2016年はアビスパがJ1を戦うため、ただでさえ盛り上がるシーズンだと言えましたが、そういう中でも『アビスパ福岡』というワードを世の中の多くの方に発信できたことは良かったです。クラブの話題が世の中に広がっていく力になれたかと。

—-2016シーズンに各スタジアムでブースを出す中で、ファン・サポーターから言われた言葉で印象に残っているものはありますか?

渡辺:来シーズンのJリーグ中継について、いろいろな報道も出ていましたから、心配の声をたくさんいただきました。その中で「スカパー!で見たいんだよ!」と言っていただくことが何度もありましたから、その時はかなり胸が熱くなり、励みになりました。夏場にはスカパー!加入者をスタジアムに招待して、おもてなしをする『スカパー!Jリーグからのおもてなし』という企画をやらせていただいた時にも、その参加者の方々から「スカパー!さん、応援しているからね!」と言っていただけたことなど、一つひとつの言葉が印象に残っています。
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▼Jリーグファンへのメッセージ

 

—-ここまでのお話と重複する部分はあると思いますが、この10年を振り返って、あらためて支えてくださった視聴者の方、Jリーグファンの方々にメッセージをいただけますか。

植田:本当にありがとうございました、という言葉しかないです。Jリーグ中継はスカパー!の中心コンテンツになっており、全社的にも非常に重要なコンテンツになっていましたから、この10年間、見ていただきましてありがとうございました、という言葉をお伝えしたいと思います。そして2017シーズンは天皇杯などカップ戦の中継は行いますので、引き続きよろしくお願いいたします、と言いたいです。

渡辺:私も本当にありがとうございますという言葉をお伝えしたいと思います。この10年間のことを思うと、感謝の気持ちしかありません。各試合会場のブースでは、毎回ブースに立ち寄ってくださる方や「今日も頑張ってください」と言ってくださるサポーターの方もいらっしゃいました。その方々一人ひとりの顔も覚えていますし、またいつの日か、スタジアムでお会いしたいなと思います。天皇杯などカップ戦の放送は続きますので、引き続きよろしくお願いいたします。

あと、12月15日にお知らせを掲載したあと、ホームページやSNS、カスタマーセンターにいただいた反応や昨年末12月30日放送の『Jリーグマッチデーハイライト』の最終回で、ツイッターを通して視聴者の方々から送っていただいたメッセージは、全部われわれの下に届いています。私たちの部署だけではなく、部をまたいだ会議でもみなさまからのお声はしっかりと共有されています。スカパー!全社員が視聴者の方々に感謝の思いを抱いていることも、この場をお借りして、お伝えできれば幸いです。
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▼2/4に24時間サッカー専門チャンネル『スカサカ!』を開局

 

—-過去のお話はこれぐらいにしまして、ここからは2017年以降のスカパー!さんとJリーグの関わり方について、お話いただければと思います。

植田:Jリーグの試合中継の放送はありませんが、われわれスカパー!はこれからも変わらずJリーグと関わっていきたいと思っています。放送や中継がないとは言っても、試合は全国各地で開催されています。たとえ、映像はなくともサッカーの話はできると思っていますので、テレビ番組を通じてJリーグを応援するという新しいチャレンジをしていきたいと考えております。乞うご期待です。

—-現状、お話できる範囲での具体的なコンテンツのイメージを聞かせてください。

植田:どのボリュームで番組をやるのか、まだ検討段階ではありますが、大勢の実況や解説者の方々、レポーターなど、多くの方に携わっていただいたことでこの10年間で積み上げてきた人の資産は結構大きいものになりました。そのため、そういった方々に思う存分サッカーを語っていただくような番組を制作したいと思っています。

また、2月4日20時に24時間サッカー専門チャンネル『スカサカ!』を新生開局致します(注:プレミアムサービスのみで視聴可能なチャンネルが、スカパー!サービス(CS800)でもご覧いただけます)。

『スカサカ!』は徹底的にファン目線でありたいと思っています。開局特番は絶賛制作準備中ですが、中継コメンタリー陣による3時間の生討論番組を放送します。そのあとは香川真司・岡崎慎司・清武弘嗣選手ら日本人海外組のスペシャルインタビュー特番や、セリエAの生中継も放送する予定で、開局記念で32時間無料放送をします。無料放送ですので、ぜひ番組をご覧になっていただき、『スカサカ!』はこういうチャンネルなんだという、われわれの意思を感じていただけますと幸いです。

—-『Jリーグラボ』やクラブ応援番組は継続の方向で、天皇杯の試合中継や育成年代の大会の中継は、今後も継続されると聞いています。

植田:『Jリーグラボ』のMCである野々村芳和さんには引き続き、J1クラブの社長として出演していただけます。育成年代のほうですが、クラブユース選手権決勝やSBSカップなど、ユース年代の公式戦中継は2016年に約20試合を放送しました。今後は主に高円宮杯プレミアリーグが中心になる予定ですが、育成年代の試合も数多く放送できるように調整しております。また不定期にはなりますが、『Jのミライ』も継続して放送いたします。

—-それでは最後にスカパー!さんとJリーグは今後、違った形で関わっていくことになりますが、今後のことについて、Jリーグファンやサポーターに対してメッセージをいただけますか。

植田:昨年12月15日のお知らせにもあったように、われわれスカパー!がJリーグの試合中継を放送することはいったん終わりますが、みなさんが楽しみにしている”最高の週末”は変わりません。われわれとしては2月以降、新たな番組で発信されるものをみなさんにご覧いただきながら、よろしければ引き続きお付き合いができればと思っております。10年間、本当にありがとうございました。

渡辺:今季のJリーグも非常に盛り上がると思います。ぜひ、ファン・サポーターのみなさまには変わらずJリーグをお楽しみいただき、少しでもわれわれスカパー!がご協力できることをしていきたいと思っています。『スカサカ!』を筆頭に、WebやSNSなどを通じて、少しでもサッカーの魅力を伝える努力を今後も続けていきますので、引き続きお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。10年間、ありがとうございました。

 

郡司聡(ぐんじ・さとし)

茶髪の30代後半編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部勤務を経て、現在はフリーの編集者・ライターとして活動中。2015年3月、FC町田ゼルビアを中心としたWebマガジン『町田日和』を立ち上げた。マイフェイバリットチームは、1995年から1996年途中までの”ベンゲル・グランパス”。