J論 by タグマ!

「50クラブの社長らがアツマーレを視察!Jリーグ実行委員会がクラブハウスで初開催」【HHレポート】

有料WEBマガジン『タグマ!』編集部の許可の元、タグマ!に掲載されているJリーグクラブ記事を全文掲載いたします。


「50クラブの社長らがアツマーレを視察!Jリーグ実行委員会がクラブハウスで初開催」【HHレポート】※無料記事デイリーホーリーホック

【写真 米村優子】

「豊かなスポーツ文化を地で行く施設」の見学や城里町の新ご当地グルメに舌鼓

4月10日、J1からJ3まで全クラブの社長や代表者が一堂に会する「Jリーグ実行委員会」が城里町「アツマーレ」で開催。
「廃校活用したアツマーレは、Jリーグが目指す豊かなスポーツ文化を地で行く施設。全クラブに体感して貰い、全国に広げたい」という村井満チェアマンの強い希望で今回開かれました。
この実行委員会は通常、日本サッカー協会のJFAハウスで毎月1回、各クラブの社長らがJリーグの課題や展望などについて議論を交わす場。地方での開催は大変珍しく、Jクラブのクラブハウスでは今回が初となりました。

【写真 米村優子】

この日は全54クラブ中、50クラブの51人が参加。
水戸の元強化部長でファジアーノ岡山の代表取締役ゼネラルマネジャーとなった鈴木徳彦さん、今季からJ1に昇格したV・ファーレン長崎の髙田明社長、元プロ選手で現SC相模原代表の望月重良さんなど、そうそうたるメンバーが城里町に集結しました。
冒頭で沼田邦郎社長、城里町の上遠野修町長が挨拶すると、その後は昼食で提供する城里町の新ご当地グルメ「藤井川ダムカレー」について常磐大学の総合政策学科・砂金ゼミナールの学生が開発秘話や特徴について説明。
その後は実行委員らが複数の班に分かれて、水戸スタッフや城里町の職員の説明を受けながら施設内を視察しました。
町役場の支所から、クラブ事務所、トレーニングルームへと進むと、選手らのロッカールームやシャワールームへ。そしてグラウンドを見た後は2階に移動し、トレーナールーム、選手らのリラックスルーム、食事やミーティングをする部屋、町が管理運営する図書館や調理室など、20分ほどかけて回っていました。
中には熱心に写真や動画で撮影し、選手への講習など水戸の取り組みについて質問をする実行委員も。
「どのクラブよりも規模が大きい。これだけのスペースがあるならば、色々な展開を考える楽しみも増える」
「まさしく地方創生。アイデア次第でこんなことが出来るんだと感動。一つの事例として広がる可能性がある」との声が聞かれ、各クラブ、今後の事業展開の参考になったようでした。

【写真 米村優子】

ちなみに昼食の「藤井川ダムカレー」は、今年3月に完成したばかりの新たなご当地カレー。町の地域活性化を図ろうと常磐大学、水戸桜ノ牧高等学校常北校、城里町の高台官連携によって生み出された新名物です。
町のブランド推奨品「しろさとキングポーク」「ななかいの里コシヒカリ」や「里の山吹」の卵、七会きのこセンターの「舞茸・花びら茸」と町の食材がてんこ盛り。これからは全て、町の陶芸家が作った藤井川ダムを模した皿に乗せられています。
白飯に刺さっている2本のウインナーを抜くと、カレーが放流されるユニークな仕掛けもあり、社長らも楽しみながら舌鼓を鳴らしていたようでした。
その他、町のブランド推奨品の赤ネギ「レッドポアロー」や主に町産の野菜を使用したサラダ、こちらも町ブランド推奨品の「古内茶」、ご存知「SAZAコーヒー」も振る舞われ、茨城の恵みや名産品をたっぷりと堪能。
自身もカレー好きという村井チェアマンは「具材から全て地元の食材を使ったカレーに感動していた人がいた」と笑顔。
「藤井川ダムカレー」は町内の「ホロルの湯」内の食堂でいつでも味わえるので、練習見学の際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

【写真 米村優子】

今回の会議を終えて、「50クラブの社長方が大変喜んでいたのが印象的。一つのモデルとして全国に広がればいいと思っていたが、『参考になった』との声を聞いて、今回の事業への手応えが確信に変わった。非常に嬉しく思う」と沼田社長。
ホーリーホックが城里町から全国へと地域活性化策を発信し、今後の全クラブの運営に一石を投じた今回の会議。地域密着を掲げるJリーグのモデルケースとして、水戸の取り組みがこれからも各方面で注目されていくことでしょう。

【写真 米村優子】

コメント
○村井満チェアマン

Q.会議を終えた感想を聞かせて下さい。
「50クラブの社長や代表者が朝からバスに乗って、ここに集まりました。こうしたJリーグの施設外での実行委員会は、私の代では初めての取り組みでした。地域密着というのを大事にしてきたJリーグが、本当に地域に根ざすクラブと一緒に地産地消のお昼を食べたりして、みんなエキサイティングな会議ができました」

Q.以前はアツマーレの竣工式の時にいらっしゃいましたが、2ヶ月半程経った施設を見ていかがですか?
「あの時はまだピッチが雪で覆われていて、芝が見えなかった。今回は緑に映える芝、市民の方がマシンでトレーニングしたり、本当に可動し始めているなと実感できました。嬉しかったです」

Q.どういった経緯でアツマーレでの実行委員会の開催に至ったのでしょうか?
「竣工式の時にこの施設を見て非常に感動して、全クラブを呼んでここで会議をしようとその場で決めました。そしたら地元の人達が調理室もあるから、地元の食事を作って、まかないするよと言ってくれて。私がきっかけで呼んだ次第です。Jリーグは今年の5月15日で25周年を迎えます。地域密着ということで初代の川淵三郎チェアマンがJリーグを創設した。その25年の歩みのお陰で裾野が54クラブ、38都道府県にまで広がったのですが、今年からちょうど第二四半期に入る訳です。裾野を広げる段階から今度は根を深く深く地域に張っていくようなステージにしたいと思っています。例えば地域が抱える過疎の問題、シャッター通りが増えるだとか、健康の問題、医療費が増えるだとか、介護や教育、国際交流の問題だとか。実は日本が抱える多くの課題はスポーツを通じて解決できるなと今日はみんなで議論したんです。まさにここの施設は行政サービスの拠点でもありますし、市民が集まって健康維持をしたり、図書館に来たり、バーベキューをしたりする。本当に豊かなスポーツ文化を地で行く施設でしたので、これを54のクラブが体験して、一気に全国に広げていって、廃校を利用して施設をもっともっと活性化していく大きなきっかけになればなと思いました。北は北海道、南は沖縄まで来ましたが、みんなすごく感動していました」

Q.社長達からは具体的にどんな感想が聞かれましたか?
「色々あります。今日は具材から全て地元の食材を使ったカレーを食べたんですが、そういうことに感動していた人もいました。『自分のクラブよりも遥かにトレーニング施設や社長室があったり、天然芝の2面のピッチなんて、ここまでの施設を持っていないよ』という声も。自分のクラブと比較して、非常にみんな驚いていました」

Q.財政難のクラブでも今後、こういった施設を作れると思いますか?
「みんな手応えを感じたのではないでしょうか。城里町は人口が2万人弱だと思いますが、その町がこんな素敵なクラブと地域住民がコラボレーションしている様を見れば、自分達もできると思った人はすごくいたと思います」

Q.実際に今後取り組もうというクラブはありますか?
「これから出てくると思います。ウェルビーイング指数、幸福度指数。人生が豊かであるかどうかは健康やお金だけでなく、地域との絆や繋がりも含めて、すごく幸せを図る指標があったりします。決して豊かではないエリアでも、住民が幸せに暮らす雰囲気を見れば、どこのクラブも過疎や廃校はあると言っていましたので、大きなうねりになる可能性もあると思います」

Q.竣工式から今日まであまり日数もなく開催に至りましたが、急ぎたかった理由はあるのでしょうか?
「5月15日が第二四半期に入る訳ですが、やはり全クラブの社長が地域密着とはどういうことかと、頭で理解するだけでなく、体で体感して欲しかった。どうしても25周年前にここでやりたかったんです」

Q.地域に深く根を張る際に各クラブに気をつけて欲しい所とは?
「一つひとつのクラブは零細企業です。そんなに売上や利益がたくさんある訳ではない。手数がたくさんある訳ではない。週末のサッカーをこなしていくだけで、本当に汲々としている中でやっている。クラブが社会に施しができると、あまり思い上がらない方がいいと思っています。そういう活動はなかなか長続きしない。でもサッカーがもっている広いスタジアム、観戦者、伝播力を上手く地域の人に使っていただく。まさに今回は水戸ホーリーホックというクラブがこの町に上手く使っていただいたということなんですね。そういう意味では我々が地域と伴走しながら地域市民として真面目にやっていくことで、こうした信頼関係が生まれて、こうした施設を提供していただけたり、クラブを利用していただいたりする。あまり思い上がらない。地域とともに考えるスタンスが大事だと思います」

Q.本日の会議ではどういう議論が行われ、どういう方向性が決まったのでしょうか?
「まず25年間で得られたこと、6大会連続オリンピックやワールドカップ出場を決めたこと、競技力の向上や入場数が1000万人を超えたとか。Jリーグが出来たことで、競技力やスポーツ観戦が生まれたということに関して成果がある一方で、まだまだ課題はあります。実は1000万人来場していただいていると言っても、Jリーグの場合、一人あたり10回程度なんです。ということは相当コアなお客さまが100万人ぐらい来ている状態です。日本の人口の1%ぐらいで、まだまだ我々の存在感や影響力は少ない。一方で社会がこうやって水戸ホーリーホックと城里町が連携していくこと、こういう形の循環があれば、クラブは競技力をつけていく。そうすればいいサッカーができる。我々が競技力をつければお客さんが来るというのではなく、地域の方と一緒に連携することでクラブの施設が充実して、競技力がついてくる。こうやって競技力がつくと多くの方に来場していただける。来場することになると財政的なものがついてくる。全ての循環を回していく最初のキーとなるのは地域との連携だろうという所を今日は共有しました。具体的に2030年までに我々が目指すフットボール、財務戦略はどうかを今後に渡って議論していくというテーマ出しをしました。何か結論を出した訳ではなく、こういう議論をしていこうということを共有しました」

○ファジアーノ岡山 鈴木徳彦代表取締役ゼネラルマネジャー

「私が強化部長として水戸に在籍していた頃は、まだこの城里町に新練習拠点を作る話は全くなく、スタジアムとツインフィールドなどの芝の整備の話ぐらいしかしていませんでした。沼田さんはJリーグ実行委員の現メンバーの中で一番長い。在籍年数が長いからこそ、こういう地域との幅広い繋がりをキャッチできたのではないかと思います。グラウンドやクリーニングできる設備など、選手がプレーする環境がとても良くなりましたよね。クラブハウスの規模もどのクラブよりも大きいのではないでしょうか。これだけのスペースがあるならば、色々な展開を考える楽しみも増えることでしょう。あとは、これからこの町をどれだけ盛り上げられるか。そこが重要になってくるのだと思いますね」

○V・ファーレン長崎 髙田明社長

「アイデア次第でこんなことが出来るんだと思いました。これは一つの事例として広がる可能性がありますよ。水戸ホーリーホックにもHPなど使って、もっと全国へ発信して欲しいですね。藤井川ダムカレーも次の試合からスタジアムで出せば、その後はそこにくる人が口コミで宣伝してくれますよ。これだけのクラブハウスを一からまともに作るには、町長さんが20、30億円かかると言いましたが、確かに3、4億円では出来ませんね。中を見たらキレイで十分じゃないですか?V・ファーレンも昨年12月にクラブハウスを作りました。これは前の体制で決まっていたことなので、そこを買い取って改築したのですが、何億かかっても、ここの5分の1もないようなスペースです。これだけ活用できるのはすごいですよね。まさしく地方創生になるのではないでしょうか。本当に感動しました」

Q.水戸の廃校活用の取り組みは長崎でも活かせると感じましたか?
「全国で活かせます。どこも廃校はありますので、どんどん少子化で。サッカーというのは、サッカーだけでなく、地域にバリューを持っていくのが大事。サッカーだけでできる限界もあるし、クラブとして色んなことが出来ていくのはすごくいい。帰ったら、まず社員やみんなに熱く語ろうと思っています。ここで取った動画なんかもHPに乗せられたらなと思うぐらい。伝えていきたいです。素晴らしいです」

Q.地元の人達がここに来て、クラブと一緒に過ごす時間があることもポイントです。
「大事ですよね。サッカーがサッカーファンだけじゃなく、作り方の問題ですけれども、よく考えられているなと思います。町長さんは39歳と仰っていましたが、あれだけ若くて、色んなアイデアを持たれると地方は変わりますね。だからここはサッカーだけにしない所がいいですよね。お年寄りの方との交流もあって、『じゃあ今度スタジアムに見に行ってみようかな』という人口が増えていく。広がる時には『キャズム』という言葉がありますが、どこかの線を超えた時にはグーッと行く。商品の販売でもそうなのですが、そこの『キャズム』を超えることが出来れば、すごくいい事例になりますよね」

Q.例えば、長崎でどんな試み方ができるでしょうか?
「ジャパネットの方も色々なスタジアム構想を練っているようですが、色々な考え方があるんだなと今日は学んだ。だから考え方の軸を学んだような気がします。会議でそういうこともあるよと伝えたい。やはり実際に歩いて見るというのはいいですね。現場に行ってみないとなかなかわからない所があるので。長崎も人口減が激しいので、とくに離島が多い県でもあります。そういう所に人が来ないと決めつけるのではなく、アイデア次第でどうにでも出来ると感じますね」

○上遠野修町長

Q.城里町でJリーグ実行委員会が開かれた感想は?
「大変光栄なことだと思っています。人口2万人に満たない小さな城里町ですが、全国のモデルとなるような事業、そして日本のサッカー界、クラブのあり方を作っていくような事業を小さな町でも出来るんだということが本当に誇らしく思っております」

Q.今後、町としてはどういったことを期待していますか?
「今回の会議をきっかけにアツマーレが更に注目を浴びて、更に多くのお客さんが来る施設となることを期待しています」

Q.今後、Jリーグにアツマーレを使って具体的にして欲しいこととは?
「実はすでに実行委員会の前に連携した事業はしていまして、3月にサッカー教室と大会を開いていただきました。それぞれ200~350人ぐらいの参加者がありました。その他、町田ゼルビアとのホーム戦の際は、町田のスクール生と保護者60人がアツマーレでサッカーをして、山びこの郷でバーベキューを楽しみ、ふれあいの里で宿泊をして、サッカー観戦をして帰るツアーをやっていただきました。一つのサッカーの試合をきっかけとして、この町に観光客を呼び込むような活動を連携してやっていきたいと思います。更にJリーグとしても試合だけでなく、こういった会議だとか講習会だとか、この施設を利用していただければ有り難いと思います」

Q.竣工してから2ヶ月程経ちましたが、この施設の運用への手応えは?また町民からどういった声が寄せられていますか?
「町民の方から一番好評なのはトレーニングジムです。数週間前に聞いた所、すでに200人以上が利用登録をして、常北地区、桂地区からも来ているそうです。大変ありがたいなと思います。順調に町民の利用が伸びつつあるのかなと思います。今までの保健センターでは利用できなかった土日も開いていますので、町民から喜ばれています。その他、使われなかった場所が若い人が来る活気のある場所になって、本当に有り難いという声も聞かれています。経済効果という観点からは、毎日60人ぐらいの方が働いていることで、お昼ご飯を食べたりと町内の商工業者から仕事が増えているので有り難いという声もあります」

Q.城里町の活性化へと繫がることは間違いないと確信していますか?
「ええ、間違いないと思います。城里町としましては、実行委員会にも資料を提供させていただきましたが、ホーリーホックのクラブハウスによる経済効果は年間約1億円という試算を出して議会にも説明をしています」

Q.別な自治体からの視察は来ていますか?
「これまで茨城県南の自治体が団体で来ましたし、今月は県議会の皆さんが来る予定です。県外からはまだです。他クラブは練習試合の時に視察をしていますね」

Q.アツマーレのバーベキュー場はいつオープンするのでしょうか?
「すでにオープンしていますよ。完全予約制で土日しか基本的にお客さんを取りません。河川敷でよく手ぶらでバーベキューとやっていますよね。そのような可動式の屋根やコンロを注文が来てから出すような形です。事前予約制になっています。できれば100~200人のサッカー教室や大会と合わせてバーベキュー大会もできるようにしていければ有り難いなと思います。そういう流れを作っていきたいと思います」

○沼田邦郎社長

Q.実行委員会を終えた感想を聞かせて下さい。
「50クラブの社長様方が大変喜んで帰っていただけたのが印象的でした。町の方々に協力していただいて廃校利用をさせていただいたことを全国に広がればいいなと思っていたことが、色んなご意見を聞いて確信できたと思います。一つのモデルとしてこういったことができるということを持ち帰っていただけたと思いますので、非常に嬉しく思います」

Q.この地域に根を張って行けているなという手応えを持った出来事などありますか?
「ここに来る前から地域貢献活動をさせていただいた中で、『本当に水戸から離れてもいいのか?』と色々な方にご心配やご意見を言われてきました。我々の住む場所、拠点がしっかりあるということ、周辺地域の方と一緒にこの地域をどれだけ大きなものにできるかということ。それがどれだけ重要かと実感しています。地域の方も『頑張れよ』としきりに言ってくださるし、受け入れていただいています。本当に有り難いなと思います」

Q.本日、社長達から掛けられた言葉の中で印象に残ったものはありますか?
「色んな方々に『モデルにしたいですね』『参考にしたいです』と思っていただきましたが、髙田明さん(V・ファーレン長崎社長)から言われたのは、『是非、このことを全国へ発信して下さい』ということ。『長崎も何億とクラブハウスに掛けたけれども、これだけ立派なものは建てられなかった。行政や皆さんに協力をいただいて、あるべき姿がここにある。全国的に発信していただきたい』と髙田さんに言われたのは印象的でした。七会中学校は歴史ある学校でしたが、廃校になってしまった。こういうことが全国的に起こっている。我々がここに来ることによって、また歴史が繫がる。『全国にこういうことを訴えてよ』と。すごく関心していただきました」

Q.ここはクラブ単独の練習拠点ではなく、行政の拠点でもあります。トレーニングに集中したい中、地域住民に見られたり、話しかけられたりすることもあると思います。ある社長の話では「地域と共同使用することに対して、監督や選手の理解を得られたのはすごい」という意見もありました。
「選手も自発的に地域の方と触れ合っている。クラブのスタンスとして、そういうクラブでなくてはならない。小さなクラブですので、地域に支えられていくことが大事。目の前のお客さんを大切にしなさい、と話はしてあります。来ていただいたお客さんに対して、喜んで対応しなさいと。そこはクラブとして当たり前。Jリーグ全体でもその部分に対してプロの選手に遠慮しているとか、それは有り得ないこと。一体、どこからお金をいただいているのか。ファンサービスとして当たり前です。そこが出来ていないJリーガーがまだいるならば悲しいこと。私は当たり前だと思います」

Q.ここに拠点を置いたことで変わった部分とは?
「選手とすれば練習環境が整ったことへの安心があると思います。練習後にまた若手だけで練習するという光景もある。安心してできるからこそ、心に余裕が生まれるのかなと思います。選手やスタッフの距離が近くなった分、私も声掛けしやすくなりましたし、一体感も生まれたのではと思います」

Q.成績も好調ですし、J1ライセンスを取る上でも弾みとなる施設となったのでは?
「ライセンスとは切り離さなければいけないことかもしれませんが、ライセンス基準としてクラブハウスのこともあります。我々としては今まで住む場所がなかった。ですがそれができて、ちゃんとした練習環境が整うことで育成の部分も土台ができた。ライセンス取得に弾みがつくかという部分はまた違う話。観客席数の1万5000人という所がネックになっていますが、地域の皆さんの応援があって初めて観客席数の部分がスタートすると思っています。1万5000席を作っても、平均5000人の集客ならばスカスカになってしまう。いかに満員のスタジアムに持っていけるか、これからJリーグとしても考えていかねばならない。満員のスタジアムで応援していただいている環境作りがこれからのJリーグ。地域によってバラツキがあっても当然いい。これから環境作りも大事だと思います」

【写真 米村優子】

(米村優子)

*****
デイリーホーリーホック」のオススメ記事

「今季初の2日連続オフ。2時間ハードなトレーニングで戦う身体を呼び覚ます」【練習レポート】

福井諒司選手「ベテランとして若い選手に気持ちの部分でも負けてはいない。若手をどう乗せるか、褒めるかも大事な所」【コメント】