マスコット、スタグル……。ピッチ外の魅力がふんだんに詰まった開幕前の、”Jの祭典”【FUJI XEROX SUPER CUP 2018レポート】
今年は何にしようか。もうグルメライターと化していた。
▼ガッツリ系にスイーツ系に「インスタ映え」
全国各地からやってきたキッチンカーが、浦和美園駅からやってきたサポーターを出迎える。ここはグルメパークでもある。いや、サッカースタジアムである。FUJI XEROX SUPER CUP 2018は試合が始まる数時間前の、開門の朝の9時半から始まっていた。
と、目に飛び込んできたのは、Jリーグキッチンカー。ついに本隊が動いた。Jリーグキングの焼き印が押されたパンは、「インスタ映え」と店員さんイチオシのグルメだった。FUJI XEROX SUPER CUP 2018のアーチを越えてすぐの登場は反則。いきなり入口で満腹になってはいけないと思いつつも、袋に入っていたのでおやつ的に……と手が伸びてしまった。どこもかしこも行列、サポーターはもうフードファイターのような雰囲気にも感じてしまう。そんな自分も、昨年は千葉の喜作のソーセージ、山形の炎のカリーパンを食べた、今年は何にしようか。もうグルメライターと化していた。
何か趣旨を間違えてしまった自分は、埼玉にやって来ていたはずが長崎の香りにやられてしまう。長崎角煮バーガー。皿うどんの麺が入っているところが、長崎としてのアイデンティティーがある。今年はこれに決めた。その場で蒸したバーガーは、寒い冬にはピッタリだった。
そしてもう一つ、目を奪われるインスタ映えを発見した。群馬のとちおとめメロンパン。ガッツリ系が多い中、スイーツ系はひと際異彩を放っている。やはり、行列には女性が多い。しかもドーンと乗ったいちごだけじゃない、メロンパンはその場で焼いている。お買い上げとなった。
食料を調達し、スタジアムをグルっと一周回ってみる。北門の前には、師匠がいた。マスコットたちがグリーディングをしている。その横では、金太が独自に活動をしていた。「ヴァンくんです」「ヴァンくんです」「ヴァンくんです」。3人そろってイチオシが同じ答えだった3人組の女性は、もちろん甲府のサポ。子どもも大人も、一緒に写真を撮影していた。
▼ハンパない、あのマスコット
一番のエンターテイナーは仙台のベガッ太。ビシっとタキシード姿で、仮面をつけて登場している。サインに応じる際は、ちゃんと仮面をファンに持たせていた。かわいい、かわい過ぎると思っていると、背後から何やらとてつもないオブジェの気配を感じた。オブジェじゃない、キヅール。座布団に座っている。東京ドロンパのように踊ってはいない、微動だにしないキヅール。ちょっと下半身は、いけないものを見てしまったような罪悪感を持たせるキヅール。遠くから見ても、人だかりからひょこっと顔が見えてしまうキヅール。存在感はハンパない。スッと立ち上がって、帰っていく後ろ姿には神々しさも宿っていた。
どっちに聞いても私って答えますよね。川崎とC大阪の女性二人組は「そうですね」とハモった。代表戦で出会い仲良くなった二人は、「早く新しいユニフォームが届いてほしい」と話す。J1優勝の川崎フロンターレサポは、胸の星を自慢したくて仕方がない。天皇杯優勝のセレッソ大阪サポは「ウチは二つ星あるよ」と、ルヴァンカップ制覇も付け加える。「ウチの星一つは大きいもん」と二人は笑っていた。二人は、埼玉スタジアムに誇らしげにやってきていた。その横では、痛ゲーフラの撮影会。この日試合をしない水戸や岐阜のフラッグを掲げていた。
FUJI XEROX SUPER CUP 2018は、No.1 vs No.1と銘打たれている。それはJリーグチャンピオンと天皇杯覇者のためだけにある試合ではない。川崎や大阪はもちろん、日本各地のサポーターが来ている。多種多様な要素を全員が受け入れ、互いに尊重し合いながら楽しんでいる。みんなが待ち遠しかった、今年のJがここから始まる。Jのすべてを楽しむことができる、25年間愛され続けた大切なお祭りである。