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【田村修一の視点】2025年11月2日 J2リーグ第35節 ジェフユナイテッド千葉vs北海道コンサドーレ札幌

J2リーグ第35節 千葉5(1-1)2札幌
14:03キックオフ フクダ電子アリーナ 入場者数 16,703人
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小林慶行体制3年目、千葉の成熟度を感じさせたゲームだった。

 

先制は千葉(7分、カルリーニョス・ジュニオ)。ところが同点(21分、スパチョーク)に追いつかれた後は、本来はMFの荒野拓馬を鈴木大輔に当てる札幌の戦術とピッチコンディションの悪さが相まってミスを重ね、プレーの強度とスピードを失い札幌にペースを握られた。ここを慌てず凌ぎきったことで、後半は再び千葉のペースに。カルリーニョス・ジュニオの勝ち越し点(50分)を契機に、前がかりのプレスからのスピーディなトランジションを取り戻し次々と得点を重ねた。

 

J2で突出した戦力を誇るわけではない。だが、チーム戦術の理解度、コレクティブなプレーの習熟度において、小林が3年をかけてチームを構築してきた千葉は、他のどこよりも高いレベルに到達している。残る3試合も、J1昇格とJ2優勝に向けて、迷うことなく自分たちの戦いを続けるのだろう。

 

一方、敗戦により昇格プレーオフ進出の可能性も消えた札幌だが、スパチョークの同点弾から前半終了までのプレーには目を見張るものがあった。ハイプレスと強度の高いトランジション、流動的なコンビネーションで千葉を圧倒。チームとしてのポテンシャルの高さを垣間見せた。

 

その強度を90分間継続できないところに札幌の問題がある。何が原因なのか。来季に向けて、クラブが真剣に考えるべきことである。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。