
【田村修一の視点】2025年9月28日 J1リーグ第32節 FC東京vs横浜F・マリノス
J1リーグ第32節 FC東京2(0-0)3横浜FM
18:04キックオフ 味の素スタジアム 入場者数 33,460人
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FC東京の出来の悪さに横浜FMが救われた。そんなゲームだった。
プレーの強度とスピードが向上した結果、3連勝でJ2降格の危機をほぼ脱したFC東京と、J1残留のためにはもはや勝ち点1も落とせない横浜FM。だが試合の前半は低調を極めた。どちらも動きに乏しく、組織的にもまた個の力でもなかなか得点機を作り出せない。ただ、30分過ぎから横浜FMが積極性を見せ、クルークスのバーを叩いたシュート(34分)や、VARによりオフサイドで取り消しになったものの、谷村海邦のシユートがFC東京のゴールをこじ開けたのは、見どころの少ない展開の中での大きな見せ場だった。
後半の横浜FMの集中力は見事だった。角田涼太朗のクロスを喜田拓也が頭で決めた51分の先制点から、59分と62分の谷村海邦の連続ゴールまで、瞬く間に得点を重ね試合を決定づけた。終盤、FC東京に2得点(89分の高宇洋のゴールと90+7分のアレクサンダー・ショルツのPK)を許したのは、不安定な戦い(特に前節ガンバ戦での逆転劇)を続けていたチームの弱さの露呈であった。だが、もともとは自力のあるチーム。やはり勝利を得た横浜FCとの競り合いはこれからも続くが、この勝利が残留への契機となるかも知れない。
一方、敗れたFC東京も、終盤にあわやという見せ場を作り、実力の一端を最後に見せた。チームのベースとなる戦いの基盤はここ数試合で確立した。あとはそれを突き詰めていけば、来季に向けての展望も開けていくだろう。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。