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【田村修一の視点】2025年6月21日 J2リーグ第20節 ジェフユナイテッド千葉vsジュビロ磐田

J2リーグ第20節 千葉 0(0-1)1磐田
19:03キックオフ フクダ電子アリーナ 入場者数 16,820人
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リーグ戦では4月29日に敗れて以来負けがない磐田(6位)と、前半戦を首位で折り返したとはいえ5月11日の今治戦以来勝利から遠ざかっている千葉。内容的には僅差の好ゲームではあったが、両者の勢いの差がそのまま結果に表れた試合だった。

 

磐田にとっては狙い通りの展開だった。前半は前線からのプレスでゲームを支配し、左サイドの突破で度々チャンスを作り出していた倍井が得たPKをクルークスが決めて(24分)先制した。後半は千葉の反撃を許したが、中盤の戦い・個の戦いでは一歩も譲らず、千葉に得意とする形を作らせなかった。終盤のパワープレーも、3バックへの変更とゴール前の空中戦の強さでキッチリと対応し、ゲームを締めくくった。

 

選手の意識の高さと個の強さ、コレクティブな強さ。攻撃にはさらなる進化の余地があるが、ジョン・ハッチソン監督も語ったように、リーグ後半戦に向けて土台が築けたといえる勝利だった。

 

一方の千葉は、開幕当時に築いていたチーム力のアドバンテージは、数試合前から失われてしまった。もちろん現在も、リーグトップレベルの組織力と守備力を持つチームではある。ただし攻撃力に関しては、小林慶行監督も認めるように、再現性のある組織的な攻撃が構築できず、得点チャンスをなかなか作り出せない。

 

ボールを止めて蹴る基本的な技術と戦いの強さ。そうした個の能力と、その力を組織力に昇華し、プレーのスピードと強度を上げていくチームとしての強さ。両者を再び整えていくことでしか、悲願のJ1昇格への道は開けてこない。立て直しに期待したい。

 

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。