【田村修一の視点】2025年1月13日 全国高校サッカー選手権大会決勝 前橋育英vs流通経済大柏
第103回全国高校サッカー選手権大会決勝
前橋育英1(1-1,0-0,0-0,0-0, PK 9-8)1流通経済大柏
14:05キックオフ 国立競技場 入場者数58,347人
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前橋育英(以下前橋)と流通経済大柏(以下流経)。ともに一歩も譲らぬ戦いは、期待に違わぬ好勝負となった。
先制は流経。信条である鋭いプレスと前へのスピードある攻撃で優位に立った(先制点は12分、亀田のゴール)が、前橋も反撃(31分、柴野の得点)に出て前半は1対1で折り返した。流れは後半途中から傾いた。前橋はジョーカーのドリブラー、白井を投入(57
分)するが、流経守備陣がボールの受けどころを抑えて加速させない。逆に63分に3枚替えでペースを上げた流経の出足の速さに、疲労が出始めた前橋が次第に守勢に回るようになった。だが流経も決めきれない。延長に入ると攻め疲れも見えて、試合はPK戦での決着に。
「(両者の力関係を鑑みたときに)PK戦ぐらいじゃないと勝てなかった」という思いで試合に臨んだ前橋の山田監督。
一方、流経の榎本監督は、「(PK戦は)一つの勝敗を決める方法ではあるんでしょうけど、1人にこれだけ(の責任を)背負わせるのは個人的には酷かな思います」と疑問を投げかけた。
恐らく再試合が最もフェアな決着方法であるのだろう。それが日程的に難しいのであれば、PK戦なしの両校優勝で構わないのではないか。そんな思いを強くさせた決勝戦だった。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。