【田村修一の視点】2023年7月29日 クラブ親善試合 川崎フロンターレvsバイエルン・ミュンヘン
クラブ親善試合 川崎フロンターレ0(0-0)1バイエルン・ミュンヘン
19:03キックオフ 国立競技場 入場者45,289人
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得点差以上に内容に隔たりのあった試合だった。
バイエルンに優れたストライカーがいれば――シュポモティングが怪我で離脱していなかったら、あるいはテルが本調子であったならば、バイエルンが4~5点取っていておかしくない試合だった。
川崎とバイエルン。両者の違いはプレー強度にあった。川崎に限らず横浜FMもC大阪も、今回の欧州チームとの対決のように、これほどのプレー強度とトランジションの速さのチームと対決する機会はまずない。アジアの規格を完全に超えたチームとの対戦だった。
だが横浜FMもC大阪も、そこで怯むことなく自分たちのスタイルをまっとうした。それが結果にも現れた。横浜FMはセルティックを破り、C大阪はパリ・サンジェルマンに見事な勝利を飾った。
川崎もバイエルン相手に高い強度でゴール前まで迫る場面が何度もあった。しかし強度を上げられずに、せっかくボールを保持しながらチャンスを作り出せない場面も多々あった。そこが90分を通して強度を保ち続けた横浜FMやC大阪との違いであり、鬼木監督が最も悔いていることなのだろうと思う。
バイエルン(やPSG、マンチェスター・シティ、セルティック、インテルミラン)にとっては、プレシーズン合宿での調整試合。対する川崎は、今後のJリーグを戦っていくうえで、位置づけが難しい試合だったとは思う。
だが、そこを踏まえたうえで、この試合から得たものを、今後の糧にして欲しいと切に願う。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。